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木造建築の粋。思わず見とれる多重塔

いきなり視界に飛び込んできて驚くことがあります。三重塔や五重塔などの多重塔です。京都や奈良のイメージが強いですが、探してみると兵庫県内の住宅街やニュータウン近くでも荘厳な建築に出合うこともあります。播州人3号が紹介します。

人との比較で大きさを想像してください。

専門職大生 養父と出雲大社
縁や歴史を劇に
名草神社三重塔の前で上演

 芸術文化観光専門職大学(豊岡市)の学生が23日、養父市八鹿町石原の名草神社三重塔の前で、創作劇「わすれなぐさ」を上演した。神社の歴史や出雲大社(島根県)との縁などを盛り込んだ物語で、杉木立の中、国指定重要文化財にまつわる壮大な歴史ロマンの世界観を表現した。
 同神社は、妙見山の中腹に当たる標高800メートルに位置し、本殿と拝殿、三重塔の建造物がある。2012年の大雪で破損した本殿と拝殿の修理工事が完成し、この日午前には関係者が集い、記念式典が開かれた。
 創作劇は記念イベントの一環で披露された。出雲大社から1665(寛文5)年に移築された高さ約24メートルの三重塔を囲むように、40メートルを超す杉が林立する。その中に舞台が設けられた。
 物語は「記憶をなくした女子高生が少年と出会い、出雲大社を目指す」というもの。出雲大社本殿に妙見杉が使われた縁で、お礼として三重塔を譲り受けた経緯などが盛り込まれた。澄み切った青空の下、山の傾斜などから登場するなど、屋外劇ならではの趣向を凝らした演出で観客を楽しませた。

(2022年10月25日付朝刊より)

40㍍を超す杉も気になりますが、よくぞ木材でこれだけの高さのものを、と驚かずにいられません。

建築に使われているのは乾燥した木材です。保存・継承は火災との闘いでもあります。

加古川 貴重な文化財を後世に
鶴林寺を守る消防訓練

 文化財防火デー(26日)を前に、国宝や重要文化財がある鶴林寺(加古川市加古川町北在家)で22日、消防訓練があった。加古川市中央消防署や同寺の自衛消防隊などの計30人が参加し、動きを確認しながら放水した。
 同デーは、1949年1月26日に法隆寺金堂(奈良県)が焼損したことを受け、55年に制定された。鶴林寺でも76年に放火で三重塔が、2005年には不審火で仁王門が、いずれも一部焼損する被害が出ている。
 この日の訓練は、三重塔から出火し、初期消火に当たった自衛消防隊員1人が負傷し、取り残された状況を想定して進められた。直後に、境内に消防車両が到着。中央消防署の隊員が取り残された隊員を「救出」し、仏像の模型も搬出した。最後は一斉放水で締めくくった。
 同消防署の辰己弘一署長(58)は「自衛消防隊の動きや表情から、鶴林寺は自分たちが守るとの強い意識がうかがえた。多くの文化財があり、消防としても責任の重大さを再認識した」と話した。

(2023年1月23日付朝刊より)

鶴林寺でも被害があったことが分かります。

ライトアップされればこんな表情になります。

(2020年4月)

加西市の国宝でも火災から守る訓練が実施されていました。

加西・一乗寺で消防訓練
国宝・三重塔 火から守れ

 「文化財防火デー」の26日を前に、加西市坂本町の一乗寺と同市北条町北条の酒見寺で22日、文化財の消防訓練が行われた。北はりま消防組合加西消防署の隊員や消防団員が、真剣な表情で消火手順を確認した。
 文化財防火デーは1949年1月26日、法隆寺(奈良県)金堂で壁画が焼損されたのを受けて制定された。毎年、この時期に全国で訓練が行われている。
 一乗寺では午前9時、国宝の三重塔から出火し、周辺の山林に延焼したと想定し訓練。同寺関係者が119番通報した後、境内の消火栓にホースをつなぎ初期消火を実施。駆けつけた隊員や消防団員が、池や防火水槽からホースで水を引き放水した。
 訓練後、約60人の参加者を前に、同寺の太田実秀住職(85)が「寺には大切な文化財がたくさんある。周囲の山からも出火しないように全力を尽くしたい」とあいさつし、深田哲也消防団長が「初動態勢が非常に大事。日頃からホースやポンプなど資機材の点検をしてほしい」と訓示した。

(2023年1月23日付朝刊より)

兵庫県内全域に多重塔があります。

丹波市の柏原八幡神社
三重塔 10年ぶり公開
18日、かいばら厄除け市で

 丹波市柏原町の柏原八幡神社にある県指定文化財の三重塔が18日、「かいばら厄け市」で公開される。広く一般に公開されるのは、台風被災後の改修記念を最後に約10年ぶり。同塔は約30年前までは毎年2月17、18日の「厄除大祭」で、参拝者に公開されていたという。
 三重塔は約540年前に建てられ、戦乱と落雷で2度焼失。現在の塔は1816(文化13)年に再建された。神社にあった全国の塔は、明治政府の神仏分離令によって取り壊され、塔が現存する神社は同神社を含め県内で3カ所。柏原八幡神社の塔は「八幡文庫」として存続が許された。
 高さは約26メートル。柏原八幡神社がある小山は約42メートルで、塔最上階は70メートル近い高さになり、近隣のほか氷上地域の山並みまで一望できる。
 塔を支える中心の「心柱」にはお経が書かれている。その上にくぎで打ち付けられた寄進者の札は、太平洋戦争に出征する兵士が「弾除けになる」と持ち出したため、心柱にはくぎ跡が多数残る。

(2005年6月12日付朝刊より)

空から多重塔を見ると、こんなふうに見えます。

華やぐ山あいの古刹
丹波・高源寺

 赤や黄色に染まった山深い谷間に、三重塔や山門などの仏閣がたたずむ。丹波市青垣町桧倉の高源寺。定時の拝観前、許可を得て小型無人機(ドローン)で上空から撮影すると、境内はよりいっそう華やいで見えた。
 丹波紅葉もみじ三山の一つで、鎌倉時代に建立された古刹こさつ。開山した禅師が中国から持ち帰ったとされる天目カエデ200本をはじめ、約2千本が順次色づく。
 「今年は色づき始めたのが例年より早く、鮮やかな期間がいつもより短い」と同寺。ひとときの美しさも残りわずかで、見頃は来週半ばまでという。

(2021年11月13日付朝刊より)

古い文化財ばかりではありません。
「平成」に完成した塔もありました。

ジェンヌ 菩薩姿で奉讃歌
宝塚・中山寺で無縁経大会式
400年以上経て再建
五重塔の落慶法会も

 故人を供養し、社会の平穏を願う「無縁経大会式むえんぎょうだいえしき」が2日、宝塚市中山寺2の中山寺で営まれた。大会式の前には、昨年再建された五重塔の落慶法会らっけいほうえも開かれ、多くの参拝者でにぎわった。
 中山寺は聖徳太子が開山し、「安産の寺」として知られる。五重塔は400年以上前、織田信長の焼き打ちで本堂とともに焼失。京都府木津川市の海住山寺かいじゅうせんじなどの様式を参考に2013年11月に着工し、昨年完成した。
 再建された塔は、高さ約28メートル。仏の知恵と東方を表す青竜をイメージし、全国でも珍しい青色で彩られており、参拝者らは「とても鮮やか」と見上げていた。
 午後に行われた無縁経大会式は、開山当初から続く伝統行事。昭和初期からタカラジェンヌが参加するようになり、この日も華やかな菩薩姿の歌劇生6人と、稚児装束に身を包んだ3~12歳の子どもら40人が参加した。
 参拝者が境内から見守る中、タカラジェンヌらは一列になって本堂の回廊を練り歩き。ハスの花をかたどった紙「散華さんげ」を参拝者に向かってまいた後、平穏を願う「中山観音奉讃歌なかやまかんのんほうさんか」を歌い上げた。

(2017年4月3日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。ちょっとした時間ができると、本屋か寺院を探します。ともに適度に時間がつぶせます。以前は駅前に設置された地図などを頼りにしてましたが、最近はスマホが便利です。小さな寺院も見つかり、アクセスだけでなく、歴史や文化財まで案内してくれます。

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