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ターミナル、出会いと別れの交差点

ターミナル駅」と聞けば、出発を待つ長距離列車なんかが登場する映画の1シーンを思い浮かべます。そもそも「ターミナル」ってどういう意味でしょう。再開発の進む神戸・三宮を歩きながらふと疑問が浮かびました。播州人3号が神戸のターミナルを探します。

ターミナル駅、ターミナルビル、ターミナルホテル…。ミナトを通じて外に開かれた都市だからでしょうか、神戸には「ターミナル」の付く施設が多数あります。

「終点」「末端」の意味を持つ「terminal(ターミナル)」が語源で、鉄道などの終点、終着駅の意味に使われます。路線や交通機関が交錯する大規模な乗換駅に使われることも多いようです。
JR、阪急、阪神、神戸市営地下鉄の各駅が集まる三宮は間違いなく「ターミナル」でしょう。

名前に「ターミナル」がついている駅もありました。

神戸ターミナル駅開業
貨物輸送の新たな拠点に
JR貨物

 JR貨物の「神戸貨物ターミナル駅」が1日、神戸市須磨区大池町のJR鷹取工場跡地に開業した。前日、廃止された神戸港駅(中央区)に代わり、神戸地区の鉄道貨物輸送の新たな拠点となる。
 短時間でコンテナの積み降ろしができるよう、約2・2ヘクタールという広大なホームを整備。1日の発着数も16本と神戸港駅から六本増え、初年度は2万トン増となる約38万トンの取り扱いを見込む。
 この日は午前8時前、最初の貨物列車が大阪から真新しいホームに到着。大型のフォークリフトで職員らがコンテナを手際良くさばいた。JR貨物関西支社は「サービス向上で、利用を増やしたい。トラックに比べ環境にやさしい点など、鉄道の利点もアピールできれば」と話している。

(2003年12月1日夕刊より)

貨物向けなのであまり馴染みはないですが、姫路にも「姫路貨物ターミナル駅」があります。

鉄道だけではありません。
バスにもターミナルがありました。
JR三ノ宮駅前には再開発に伴い、西日本最大級のバスターミナルが整備される予定です。

三宮高層ツインタワー概要判明
空中庭園 六甲山系一望
地上32階163メートル、外観は竹籠風
坂茂氏デザイン

 神戸・三宮再整備の中核となり、西日本最大級のバスターミナルが入る高層ツインタワー1期ビル(神戸市中央区雲井通5)の建設計画で、同ビルは地上32階で高さ約163メートル、総事業費が約870億円に上ることが2日、関係者への取材で分かった。途中階に六甲の山並みを一望する屋上庭園を配し、ホテルやオフィス、ホールも備える。デザインは神戸・有馬温泉の伝統工芸「有馬籠」をモチーフにした外装など、和の雰囲気をかもし、国内外の観光客の呼び込みを狙う。
 ツインタワーは、商業ビル「サンパル」や中央区役所がある雲井通5丁目地区に1期ビルを、西側の商業ビル「サンシティ」が立つ6丁目北地区に2期ビルを配置する計画。1期ビルは、市が主導する再開発会社が建設する。6月から解体工事を始め、2027年度の開業を予定している。
 関係者によると、1期ビルは地上32階、地下3階、延べ床面積は約10万平方メートル。JR西日本が29年度の完成を目指す三ノ宮新駅ビルと同規模の高層ビルとなる。有馬籠の竹籠に似せた外装をはじめ、低層階を中心に世界的建築家の坂茂ばんしげる氏がデザインを手掛けた。
 また、中・長距離バスのバスターミナルは、1階に乗降場、2~3階に待ち合いスペースを設ける。2期ビルの完成時には乗降場をさらに広げ、約1700便のバスが発着できるようになる。
 4~8階はホールが入る予定。約1800席の大ホールと区民ホールにも利用できる多目的スペースを設ける。9~10階に新設される三宮図書館と10階の屋上庭園を一体的に整備する。庭園からは六甲山の山並みが眺められるという。
 高層部分の11~22階はオフィス、24~32階には最上階にプールがあるホテル「エヴォルホテル コウベ」(仮称)が入る。
 2期ビルは1期ビル完了後の工事着手を目指すという。

(2022年6月3日付朝刊より)

本社近くのJR神戸駅にもバスのターミナルがあります。
夜間には、こんなふうに見えます。
映画に登場するとすれば、SFや近未来を描いた作品でしょうか。

神戸駅前に宇宙基地!?
縮小方針のバス発着場

 銀の屋根をかぶった平たい施設が街に光を放つ。まるでSF映画に出てくる宇宙基地のよう。通勤客が電車を待つ駅のホームすら、近未来的に見えてくる。
 この施設の正体は、JR神戸駅(神戸市中央区)北口前のバスターミナル。全国でも珍しい八角形の発着場として、1974年10月に開業した。乗り場が集約されており、目当ての路線が分かりやすいとされる。
 同駅前は現在、駅舎開業100年の2030年度に向け、再整備の計画が進む。歩行者に快適な広場を造り、回遊性や景観をよくするため、このバスターミナルは位置をずらして縮小される方針だ。
 かつて地下街とともに駅周辺の活性化に貢献したターミナル。高所から見た外観は今も独特の輝きを放ち続ける。

(2022年4月14日夕刊より)

昼間はこんな感じです。

「神戸」がつく駅ですが、乗車人数で比べると、三ノ宮駅の半分程度です。
兵庫県外の人から「神戸(駅)に降りたら意外に人が少なかった」という話をよく聞きます。

港にもターミナルがありました。
「神戸ポートターミナル」です。
神戸に寄港する豪華客船に出合います。

神戸港・客船の汽笛
「長音三声」別れの調べ 

 海を揺らすような重低音がこだまする。5秒以上続く3度の汽笛。「長音三声」と呼ばれる、見送る人へ向けた儀礼の習慣だ。英国の豪華客船「クイーン・エリザベス(QE)」は、別れのあいさつも気品と威厳に満ちていた。
 春のクルーズ船入港ラッシュに沸く、開港150年目の神戸港。中でもQEは3月、初の日本発着クルーズを神戸から運航させ、節目の年に花を添えた。神戸ポートターミナルには2度の停泊日に計約8万人が訪れ、人気の高さをうかがわせた。
 「幼いころ、私も父と見に来ました」。接岸作業に携わった係船作業員の男性。「仕事で関わるようになるなんて感慨深い」とほほ笑んだ。
 QEの運航会社によると、日本ほど大勢の人が見に集まる国はないという。「長音三声」について担当者は「神戸の歓迎ぶりに応えたんじゃないでしょうか」。
 海の女王よ、再び。港都の願いを込めた花火が打ち上がると、返礼の汽笛がもう一度響き渡った。

(2017年4月13日付朝刊より)

ポートターミナルには「ポートターミナル駅」があります。
三宮と神戸空港を結ぶポートライナーの駅です。

こちらはフェリーのターミナルです。

新港突堤「神戸三宮フェリーターミナル」完成
海の玄関 利便性アップ

 神戸市が神戸港の新港第3突堤で建て替えていた「神戸三宮フェリーターミナル」が3日、完成した。名称も「新港フェリーターミナル」から変更し、神戸の中心地・三宮に近い立地を強調。3階には南北両面にテラスを設け、海と山の景色を楽しめるようにした。
 旧ターミナルは1998年に整備されたが、施設が狭くエレベーターもなかった。そのため、新港地区の再開発に合わせ、約10億円をかけて隣に新ターミナルを建設した。
 新たなターミナルは鉄骨3階建てで、床面積を3倍の約2500平方メートルに拡大。船体をイメージした総延長約190メートルの搭乗デッキで船着き場と結ばれ、3階テラスには軽食コーナーを設けた。
 神戸と小豆島、高松を結ぶジャンボフェリー(神戸市中央区)が7日夜から利用するほか、10月1日には宮崎カーフェリー(宮崎市)が宮崎航路を開設する。同社社長は「新ターミナルは鉄道や高速道路のアクセスが抜群。ここを拠点に年間20万人のお客さんを運びたい」と話した。
 旧ターミナルは9月中に取り壊す。

(2014年9月3日夕刊より)

陸、海とくれば、次は空です。

写真は神戸空港のターミナル。
国際化されることが決まり、新たなターミナルの整備計画が紙面に載っていました。

神戸空港国際化で市が配置イメージ
西側に新ターミナル
23年度に11ヘクタール拡張着手、駐機場を倍増へ

 国際線の定期便就航が決まり、拡張を予定する神戸空港について、神戸市は、施設の配置イメージをまとめた。空港の面積を西側に約11ヘクタール広げ、サブターミナルや駐機場(スポット)などを整備。現在のターミナルもリニューアルする方針だ。
 神戸空港は2006年2月に開港した。面積156ヘクタール(空港島全体は約272ヘクタール)で、運用時間は午前7時~午後11時、滑走路は1本(長さ2500メートル、幅60メートル)。現在の旅客ターミナルは4階建て、延べ床面積は約1万7千平方メートル。
 国際線定期便の就航は2030年前後になる見込みで、市は、大阪・関西万博が開かれ、国際チャーター便を受け入れる25年までに新ターミナルを増設する考えを明らかにしている。
 イメージを示した配置図によると、拡張するのは、現在のターミナルや駐車場がある敷地の西側区域。出入国管理や検疫、税関の施設を備えたサブターミナル(延べ床面積1万5千~2万平方メートル)、駐機場、駐車場を整備する。空港の面積は167ヘクタールに広がる。
 駐機場は、現在の10から21スポットに倍増させ、空港の東側にも今の貨物ターミナルを撤去した跡地に設ける予定。貨物ターミナルの機能をどうするかは今後検討する。
 まず、23年度に駐機場の西側の拡張工事に着手し、25年度の完成を目指す。東側の整備時期については現時点で未定。
 財源は、駐機場の拡大など空港基本施設の整備費(約143億円)については半分まで国の補助を充て、残りは借金や一般財源などで賄う。サブターミナル建設費(約60億~90億円)は借金などでの調達を想定し、空港の施設利用料や賃料などで償還するという。
 神戸空港を巡っては、今年9月にあった関西3空港懇談会で、国際線定期便を就航させることで合意。発着回数の上限を1日40回と決めた。国内線の上限も現在の1日80回から120回に拡大することになった。

(2022年11月16日付朝刊より)

神戸市沖の人工島・ポートアイランドには大量のコンテナが集まるターミナルがあります。
「神戸国際コンテナターミナル(KICT)」です。

珍しいターミナルが見つかりました。
扱うのは「液化水素」です。

液化水素 船での運搬成功
川重など神戸で式典 「脱炭素への一歩」

 液化水素を海上輸送するサプライチェーン(供給網)の実証事業成功を祝う式典が9日、神戸市中央区の神戸液化水素荷役実証ターミナルであり、岸田文雄首相や関係者約50人が出席した。
 川崎重工業(神戸市中央区)や岩谷産業など7社でつくる技術研究組合「HySTRA(ハイストラ)」が取り組む、世界初の事業。昨年12月、川重が建造した液化水素運搬船が神戸から豪州へ向かい、低品質石炭から製造した液化水素を積載。同ターミナルに戻り、今年2月末、貯蔵タンクに充てんを完了させた。
 式典で首相は、ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー供給の在り方が問われているとし「安全保障と安定供給を両立し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)を実現する鍵が水素、アンモニアだ。一刻も早い商用化が求められる中、この成功はわが国、世界のカーボンニュートラルの歩みを力強く後押しする」と述べた。
 本年度末までに豪州との間をさらに複数回往復し、技術データを取得。商用化には水素の調達コストを下げる必要があり、川重子会社などが、運搬船の大型化など別の実証事業を進めている。

(2022年4月10日付朝刊より)

<播州人3号>
1997年入社。神戸にこれほど「ターミナル」があるとは驚きです。神戸以外にもありましたが、神戸と比べると、こぢんまりとしたバスや船の「ターミナル」でした。投稿の中で「大規模な乗換駅」と説明しましたが、大きさはあまり関係ないようです。

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