〈そばめし〉第2回 ふと思い浮かぶ誘惑の存在、「幻の焼肉」
長田生まれ、長田育ちの45歳青森功樹さんは、そばめし発祥の店「お好み焼き青森」の3代目。休日は小学生の娘さんと遊ぶのが楽しみなのだそう。
店内に満ちるソースの香り、お好み焼きが焼けるジュワっとした音。食べたくなる誘惑に耐えて質問しました。ご主人の「長田区で一番のごちそうは?」「焼肉ですかね、営業日には食べられないから特別感があって。行きたいと常に思っていて。」朝早くから仕込みを始め、夜遅くまで営業していたり、定休日が被っていたりして、焼肉屋さんへはなかなか行けません。お気に入りはご近所の庄田軒さん。「常に憧れの存在。」
ちなみにお店の鉄板で焼肉を?「焼肉は年に一回(お店で)こっそり焼いてます。自分だけですね。」と独り占めのごちそう自慢を笑いながら教えてくれました。「おばあちゃん(初代)の教えで(お店を)鉄板焼き屋さんにはしたらあかんので。お酒もあまり出すなって言ってました。回転が悪くなって食べたい人が食べられなくなるから。」
先代の教えを引き継ぐご主人にとって、お好み焼きとそばめしとは「普段毎日食べよるんでごちそうって感じじゃないですね。」「朝ごはんで食べるパン、くらいの感じですね。」お好み焼きも、そばめしも、小学生の頃から見よう見まねで作っていたご主人には当たり前の存在。隣でほぐした卵を焼いているお母様(2代目の奥様)とそば焼きを焼くご主人の手さばきがシンクロしていました。