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シン・長田を彩るプレイヤー ~ミシン業界に新しい風を起こす、時代の風雲児~ (後編)


本記事では、田中さんがミシンを発信する理由や普段大事にしている考えなどをお届けします。
※2021年7月にKOBE007が取材をした記事のリメイクです。


田中 翔さん
長田区で田中ミシン機工株式会社に勤務し、営業活動を行っております。
営業活動ではSNSを駆使してミシンを発信しており、
長田区の地場産業であるミシン業界を活性化させています。




SNSを駆使してミシンを発信する理由

-記者-
Instagramを発信する目的はどういったものだったんですか。

-田中さん-
Instagramを始めた時は具体的な目的はなかったんです。とりあえずやってみて・・・といった具合で。でもそこからInstagramを通じてミシンに関する困りごとの問い合わせがたくさん来たことで、お客様がどういうことで困っているのかがわかって、僕もわからないことを調べることで僕自身のインプットになって成長できました。

-記者-
教えることで自分の考えが整理されますもんね。

-田中さん-
あと、最近はミシン屋さんが減ってきているので全国的に認知されたら売り上げが上がるのではないかっていう目的を今は持っています。まとめると「自身の成長と売り上げアップ」のためにやっていることになりますね。

-記者-
田中さんのYouTubeを観たんですけど、ミシンのトラブル解決方法の動画を発信している理由は何ですか。

-田中さん-
理由としては、「お客さんとのつながりを重視する」ということですね。ミシン初心者の方がミシンを買ったあと、トラブルでミシンが動かなくなったり、調子が悪くなったりしたときに、修理動画があればお客様は安心してミシンを購入できると思ったんです。

-記者-
利益を出すためというよりは、ミシンを使う人を増やしたい、ミシンで困っている人に安心してもらいたいという思いなんですね。

-田中さん-
ミシンを使いたいけど「メンテナンスは難しいし、自分には使いこなせない」って思ってしまうと、ミシンの購入をためらうかもしれないですよね。でも動画があることによって「私でもミシンを使えるかもしれない」と思っていただけたら、ミシンを買う人が増えて、結果的に、田中ミシンの売り上げが上がるんちゃうかなと。ミシン屋はこれから絶対数が減っていくんで、それやったら動画発信にメリットがあるんではないかなと。

-記者―
ミシン買う人の客層が変わったり、新しい客層が増えたりということはありましたか。

-田中さん-
今は、個人でモノを作ってネットで売る方が増えてると思います。
例えば、カバン教室の生徒さんとかは教室だけでなく、家でも作りたいとか、ネットで売れるってなったら、他の仕事をしながら副業にもできるので、ネットで販売するお客さんが増えていますね。

-記者―
主婦業やりながら、副業としてミシンを使うなど、手軽にできる環境が整ってきているのでしょうか。

-田中さん-
そうだと思います。これから、ミシンに挑戦される方は、まずミシンをどこで買ったらいいかわからないと思うんです。そういった方に、動画で顔を出すことで認知してもらえたらと思っています。

-記者―
反響もあるんですか。

-田中さん-
結構ありますよ。売り上げにもつながっていると思います。

-記者―
SNSきっかけでミシンを買いたいという相談もあるんですか。

-田中さん-
ありますね。ダイレクトメッセージで月平均5件くらい注文が入ります。会社のHPからの問い合わせでも「Instagram見て連絡しました」というような連絡がきますし。

-記者―
そういった連絡があると、SNSのやりがいにつながりますよね。

-田中さん-
やめられないですよ。

-記者―
ミシンって1台の金額はどれくらいなんですか。

-田中さん-
ミシンにもよるんですが、例えば、カバンを作る用のミシンであれば、新品で1台50万円、中古だと半額ぐらいです。なのでミシンを始めようと思ったら、最低30万円くらいはかかります。

-記者―
個人で買うには結構高い買い物ですね。

-田中さん-
だから、なかなか手が出せないですよね。

-記者―
そこで、動画があって身近にアドバイスをしてくれる人がいるんだったら、安心して買いやすくなるかもしれないですね。

田中さんが仕事やプライベートで大事にしていること

-記者―
田中ミシンさんのこだわりポイントはどこにありますか。

-田中さん-
どんなミシンでも修理できるとか、特殊な縫い方や、効率よく縫うことができるアタッチメントの製造ができることです。例えば、カバンの持ち手の部分が丸い形状のものがあります。これは通常のミシンでは縫うことができませんのでアタッチメントを付けることで縫えるようになります。こういったアタッチメントの製造もミシン屋の仕事なんです。ミシン屋としては、こういったアタッチメントを製造することで、作り手のデザインを形にするお手伝いをしています。作り手の細かい要望に応えることでミシン屋としての付加価値を高めていくというのがこだわりです。


-記者―
なるほど、アタッチメント一つで縫えることが変わるとなると、すごく重要な部品なんですね。

-田中さん-
そうなんです。作り手の理想を実現するためのアタッチメントを製造することが、ミシン屋の腕の見せ所です。

-記者-
事前アンケートの中で誇りに思うことのところに「継続すること」と答えてもらっているんですが、どういうことですか。

-田中さん-
嫌なことがあったりするとやめようかなって逃げ出したくなったりすると思うんですけど、それをずっと頑張って続けてきた僕がおって、その頑張りを裏切ることはしたくないと思います。だから一生懸命やってきた僕の気持ちがあるんでそれは続けていきたいです。続けてないと中々アイデアとか、ここはダメとかが出てこないので、やり続けないと良いも悪いもでてこないっていう感じがします。

-記者-
最初は何をするにしても知識がないしどうしたらいいのってなりますよね。

-田中さん-
はい、そうです。やる前にそれをやらない理由やデメリットを考えるんですよ。そして、仕事とかYouTubeとかInstagramもそうで、どうやったら続けれるかを考えてやっていくということですね。

-記者-
SNSにすごい力入れていらっしゃるということなんですけど、投稿ネタはどうやって探されてるんですか?

-田中さん-
ネタって考えたらしんどいんですよね、続かなくて。だから「ただやってることを載せる」ようにしています。修理して直ったところや、縫ってるところ、あとは商品が完成したところを撮るとか、今はネタを考えてないです。ネタを考えてる時もあったんですけどめっちゃしんどいんですよ。思いつかなかった時にしんどいんですよね。


田中さんにとってのモノづくりとは

-記者-
最後にあなたにとってモノづくりとはなんですか?

-田中さん-
現会長であり、一代目社長のおじいちゃんを知るのって多分僕が最後やと思うんですよ。その原点を引き継ぎたいと思っています。「全ては人の利益のために」という言葉を会長であるおじいちゃんがずっと大事にしてて、会社にもその言葉を額縁に入れて、常に見えるようにしているんですよ。そこを継続していきたいですね。
四代目なり五代目なりに引き継いでいきたいなって思ってます。

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【感想】
お客様とのつながりを大切にし、少しでもミシンを身近に感じてもらえるような工夫が随所に見られました。
自社の売り上げだけでなく、ミシン業界全体を活性化しようと奮闘する姿がとてもかっこよかったです。
現在も着実にSNSのフォロワーを増やしてらっしゃいますので、よければそちらもチェックしてみてください!

(編集者:キタムラ)