会社の成績表を読み解き財務スキルを身につけろ
皆さん、決算書は読めますか?
決算書を読み解く力などの財務スキルはとても役に立つスキルと言われています。
財務スキルがあれば「お客さんいっぱいいるな~、あそこのお店儲かってるだろうな」というような、感覚でしか分からなかったことを数字で表すことができるからです。
年金にも頼れず、金融投資が必要となってくるこれからの時代、このスキルがあれば投資や事業にも活かせるので役に立つこと間違いなしです!
PLはその会社の経営の成績表を示す
決算書には損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の3つがありますが、今回は損益計算書を学んでいきます。
損益計算書( P/L=プロフィット&ロスステイトメント)は一定期間の経営の成績表(利益)を表したものです。
つまり、1年間でその会社がどれだけ利益を出したか示していると言えます。
さて、突然ですがここで問題です。
誰もが知っている、あの大手化粧品メーカーのPLはどれでしょうか?
オレンジが売上原価、青が販管費、緑が営業利益です。
A社は営業利益が50%近く、B社は販管費が70%かかり、C社は9割近くを売上原価が占めていることは分かります。でも…。
「ていうか、そもそも販管費って何?」という感じですよね。
財務用語は専門的なことが多く、文字から意味を読みとくのが難しいので、今回は専門用語も一緒に学んでいきましょう!
用語が分かれば成績表の中身が分かる
PL(損益計算書)は、収益と費用を比べて利益(または損失)を表している仕組みです。売上に対してかかったコストとその内訳を示しています。
この図はPL(損益計算書)を図解しているスライドです。
一番上に書いてある売上高から色々なものを足し引きしていって、最後の当期利益にたどり着きます。
用語の説明だけしていても分かりにくいので、ここではコーヒーショップを想定してPLを見ていきましょう。まずは売上総利益からです。
売上総利益は本業での利益を示しているものです。売上高から売上原価を差し引いて算出します。
コーヒーショップではコーヒーの販売が本業です。この場合、コーヒーを300円で売りお金を払ってもらったものが売上なので、コーヒーの原価が50円だった場合、売上総利益は300円-50円=250円となります。
次に営業利益ですが、これは売上総利益から販管費(販売費と一般管理費)を差し引いたものです。
コーヒーを売るには人件費、広告費などのコーヒーの仕入原価以外にもお金がかかります。本業であるコーヒーの販売にかかる経費のことですね。
これは「販売費と一般管理費」と呼ばれ、売上総利益から販管費を引いたものが営業利益となります。
どんどんいきますよー!次は経常利益について学びます。
このあたりから段々とややこしくなってきます。でも大丈夫!ゆっくり学んでいきましょう。
経常利益は営業利益から営業外利益と営業外損失を差し引いて算出されるものとなっています。
では営業外利益と営業外損失って何なのでしょうか?
例えばカフェで朝ヨガイベントを行ったとしましょう。ヨガの先生にレクチャーしてもらった後に飲むコーヒーはきっと格別に美味しいはず…。
余談は置いといて、ヨガイベント参加に対して参加料を取った場合、この収入はイベント収入となります。
ここが肝心なのですが、この場合コーヒーショップの本業とは異なる売上から利益を得ていることになりますね。この利益こそが営業外利益なんです。
そして本業以外の売上で発生した経費が営業外損失にあたりますので、この場合だとヨガの先生に支払う講師料などが挙げられます。
山場は越えましたよ!次は税引前当期純利益についてです。
税引前当期純利益は、経常利益から特別利益と特別損失を差し引いて算出します。
特別利益はその期に起こった突発的な収入を指し、特別損失は突発的な支出のことを指すものです。
例えばコーヒーショップを2店舗経営していた場合、1店舗が売却できたらその利益は特別利益となりますし、突然キッチンが壊れて修理費が発生した場合、その費用は特別損失で計上することになります。
重要なのは、頻繁には起こらないことが特別利益や特別損失になるということです。
店舗の売却やキッチンの故障は年間通してみても、そうそう起こることではないですよね。
毎月キッチンが壊れてたら商売あがったりですし…。
たま~に起こるイレギュラーな収入や費用なので、本業での利益などとは分けて考える仕組みになっています。
いよいよ終盤戦に突入!最後は当期純利益について学びます。
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税を引いたものです。税金を差し引くことによって、決算書上での最終的な利益が確定します。これが当期純利益と呼ばれています。
何となくPLのイメージがつかめてきましたか?
PLは全体の売上高から、税金を支払った後の利益までが分かる表となっているため、損益計算書は特定期間における会社の成績表と呼ばれているんですね。
PLである成績表を見れば何をやっている会社かまで分かる
さて、ここで改めて問題です。最初にもお尋ねしましたが、大手化粧品会社のPLは次のうちどれでしょうか?
オレンジが売上原価、青が販管費、緑が営業利益です。
さて、まずは大手化粧品会社のイメージを膨らましてみましょう。
・化粧品は原価安いって聞いたことあるな
・デパートに出店してるから家賃高そうだな
・女優がCMで集客してるから広告費が莫大に掛かりそう
といったことが考えられますね。ここに先ほど学んだPLの知識を当てはめてみると…。
・化粧品は原価安いって聞いたことあるな
→売上原価は低そう
・デパートに出店してるから家賃高そうだな
→家賃は本業での経費だから販管費は高そう
・女優がCMに出てて広告費が莫大に掛かりそう
→広告費も本業での経費だな。家賃と合わせると販管費はめちゃ高そう…。
どうでしょうか?5分前には分からなかったことが今は何となく分かってきたと思います。
C社は売上原価が約90%となっています。先ほど、化粧品の売上原価は低い予想を立てましたのでC社は却下。
続いてA社を見てみましょう。売上原価が低いですが営業利益が50%以上を占めています。化粧品会社がそんなに儲かっているとは思えないので却下。
よって答えはB社と予想できます。さて正解は…?
正解はB社でした!ちなみにA社はSNS系、C社はチケット販売系の会社です。
SNS系会社は売上原価が低く済むので営業利益が高く、チケット販売系会社はチケットを転売していることが多いので、売上原価が高くなっています。
化粧品会社は予想通り、売上原価は低いですが、販管費は高めの数字となっています。
いかがでしたか?PLの用語の意味と会社の特徴について知っていれば、PLを見るだけで何をやっている会社なのかということまで分かってしまうんですね。
最後まで一緒に学んでくださりありがとうございます!
少しでも皆さんのお役に立てていたら嬉しいです!
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