(記録)嘘情報でフォロワーを紹介した。

 2022年8月29日、0時10分。TLに流れてきた「#いいねした人を雑に紹介するちなみに見た人も道連れ」というタグが目につき、便乗することにした。
 深夜なうえ、あくまで仲の良いフォロワーにだけ向けた、たわいもないツイートなはずだった。このタグ自体も、ほかに呟いている人たちのツイートを見ても、いいね数は多くて20程度。朝起きたとき、それくらいついていたら大変だな、と思っていたが…。まさかあんなことになるとは……………。
 とりあえず結果だけ言えば、この記事を執筆している時点でいいね数は49になっている。49人分を紹介しなければならないと考えると、ひどく大変な労力を費やすことが予想できる。49人。学校でクラスメイトを紹介する作文を書いた経験のある人は、この数字がどれほどの重みを持つか理解できるだろう。大台の20を超えたあたりから、ツイートしたことを後悔しはじめていた。
 だが、捨てる神あれば拾う神あり。昔の人は良いことを言う。実は、これを呟いた時点で、そもそも人のことを真面目に紹介するつもりがなかったのが、今回この危機をなんとか乗り切れたことに繋がった。つまり、いいねした人を紹介すると言いながら、その全てをデタラメな内容で書き連ねようとしていたわけだ。この手のものは、正確に、慎重にすればするほど苦しくなる。ならば初めから嘘で固めてしまえば随分と気楽な作業になるはずだ。
 だが、正直なことを言えば、この方針を採用したことにより、いいね数が爆増した背景があることを認めざるを得ない。面白半分でいいねしてくる人が多かったことは事実だろう(もちろん、書いていて楽しませてもらったから、迷惑なわけではない)。もしも真面目にやっていれば、もっと書く量は少なくて済んだのかもしれない。
 過ぎたことなのだから、たらればで考えても仕方がない。後悔はナンセンスだ。だが、49人分の嘘情報を書き込んだことは正直自慢しても咎められることはないはずだ。自分でも、うまく状況を切り抜けたと思う。
 そこで、その49人分の嘘情報を以下にまとめておいた。本当は50人になったとき記事にしようと思ったが、それまで時間がかかりそうだから、予定を早めることにする。箇条書きにして、フォロワーの名前は伏せておく。

3年前に半チャーハンを2杯頼み一人前分食べるという荒技をやってのけ、イグノーベル賞を受賞したすごい人です。
好きなアニメは「赤い光弾ジリオン」。よく主題歌の「ピュアストーン」をよく口ずさんでいる。ものぐさな性格で念力の練習をしているが、最近成果が出始め、足の爪の伸びるスピードを調整する能力を手に入れた。
ハリウッドデビューが間近な美形役者。30ヶ国語を喋れるが英語は挨拶もできないため不安要素は残る。しかしやる気は人一倍あるため期待も大きい。趣味は人間観察。好きな食べ物はボンゴレビアンコ。最近は文房具屋を本気で楽しむのにはまっている。
運動神経抜群で陸上競技なら誰にも負けたことがない。オリンピックの選手に誘われたこともあったが、「自分、練習忙しいんで…」と言い断ったという伝説を持つ。早朝、ラジオ体操で軽くジャンプしたら着地する頃には太陽が沈んでいたという逸話を持つほどの実力者。
3億年後の未来からやってきた。タイムマシンが故障して元の時代に戻れないが、とりあえず現代を満喫している。この人が過去の出来事に介入したことにより、じつは本来の歴史が結構歪み始めている。しかし本人は一向に気にしていないのが可愛いところ。
世界の国旗を丸暗記している。好きあらば国旗の話題をして、みんなを和ませてくれる。最近はザンビアの国旗について語るのにハマっている。いつかニューヨークにある国連本部で働いてみたいと言っているが、そこには世界中の国旗が掲げられているからである。
トルストイとアンパンマンのオタク。「戦争と平和」を、アンパンマンのキャラに置き換えた小説を執筆していたが、丼ものトリオをどのキャラにするか迷いあぐねた結果、挫折。しかしその前衛性が認められ、平成30年度に紫綬褒章を受ける。そして前年度のノーベル文学賞を受賞した。
彼はまだ何者でもない。形容することも不可能だ。まだ未知の可能性を有する彼にはどんな言葉も無意味だろう。ただ唯一言えること、それは彼が最も偉大な存在であり、我々の認識を遥かに超えた場所に在るということだけだ。彼を、我々は「神」と呼ぶことしかできない。
一時期透明人間と同居していたが、一度喧嘩した際につい「お前の母ちゃんデベソ!」と罵ったところ、「うちの母も透明なのになんでわかった!」と驚かれる。実は本人も「さとり」の血を引く超能力者だった。その能力を活かし、今は弁護士として活躍している。
将来の夢は宇宙飛行士だったが、挫折。その代わり「地球も宇宙の一部だからオレらはみんな宇宙人」と悟り、宗教団体を設立。信者を何人か獲得したが、その信者全員が実は火星人だと言うことがわかり、若干パニックになっている。
村から外に出るための唯一の橋が決壊したとき、1000年以上村を守ってきた御神木を切り倒して橋にし、村民の命を救った。しかし長老の怒りを買い、今は各地を放浪している。
平和を訴える愛の戦士。今日も西から東へ、野蛮な戦争を食い止めるために世界中を行脚している。特に、兵士の前で「ふるさと」を歌い号泣させ、武装解除させる技は彼が最も得意としている。最近はよくマックでお昼を食べている。
ピンポンダッシュの犯人を捕まえるプロ。ピンポンダッシュ界隈では「魔窟の韋駄天」と恐れられ、最近は逆に軍神として信仰の対象にまでなっている。その一方で正義と愛を重視する姿勢には、徳光さんも落涙したと言われている。
盗んだバイクで夜の校舎の窓ガラスを壊して回った伝説を持つ生粋のロックンローラー。実はケンブリッジ大学を首席で卒業した天才。事情があって今はゴダイゴのコピーバンドをしている。
完璧主義者。すべてに100%の力を注ぎたいがために、普段から100%の努力を惜しまない。今朝歯磨きをしたとき、本気で歯ブラシで擦る力と、全力で歯ブラシに抗う歯の力が拮抗し、なんだかんだで家が爆発した。本気で貯めていたお金のおかげで、今後の生活に支障はない。
BBQが始まった瞬間に木炭へ水をかけるほどのへそ曲がり。あらゆることに反対しなければ気が済まない。いつも逆上がりしながら生活しているが、頭に血が上ったときはさすがに危篤状態に陥ったものの、「ようやく生きることができる」と言い放ち周囲を驚かせた。彼の言行録はさまざまな文学者や哲学者に参照され、そのたびに新たな側面を浮かび上がらせてくれる。
幼い頃からずっと「青」を「赤」と言っていたことが最近になってわかった。だから色の話になるとみんな混乱する。逆に「赤」を「青」と言う。では青信号はなんと言うのかというと、それはちゃんと「青信号」と言う。ややこしいが、これも人間の不思議だ。
なんでも食べる雑食。腹が減ったときはアスファルトをも食べ、胃を満たした。しかし唯一食べられないのはほうれん草。見るだけでアレルギー反応を起こしてしまう。症状がひどいときは容貌も変わり、木村拓哉のような顔になる。
えげつないくらい身長が伸びすぎて、飲み食いしても胃に食べ物が到達するまでに6時間はかかると本人は言っているが、その姿を見たものはこれまで1人もいない。
カツアゲで以前ひどい目にあった経験から、揚げ物を食べられなくなった。しかしエビフライは大好物。それ以外は揚げられた衣を剥ぎ取ってしまえばなんとか食べられるが、お店の人にそれを注文するといつも怒られる。
江戸時代からタイムスリップしてきた武士。帯刀を銃刀法違反で咎められたが、逆上して警官をその場で切り捨てる。以降現代に蘇った人斬り以蔵として各地を彷徨うが、若者からは圧倒的な支持を受けて、映画化、小説化、アニメ化、舞台化等、彼にまつわる二次創作が活発になっている。
実は世界一の天才外科医。数多くの人たちの命を救ってきたが、無理に命を救うのは、殺すことと実は同義なのでは?という問いに苦しみ、ついに医術の道を自ら閉ざす。しかしそれでもメスを握ろうとする手をどうにかしたく、ついに自縄しようとするが、後手に両手をきつく結ぶためには他人の協力が必要だと言うことを知る。このとき、初めて自分自身の力だけではどうにもならない自然の摂理を思い出し、今度は患者と共に助け合いながら病の治療を目指すセラピストとして、キャリアの再スタートを切ったのだった。
ロシアの永久凍土の中で発見され、現代の医療技術によって見事に蘇った。趣味はお菓子作りと包丁研ぎ。気分が高まると現代人の理解できない言語を使って話してくる。最近宝くじで10億円当てたため、食うものには困っていない。
潔癖症すぎて人類の浄化を企んでいる。趣味は毎朝行うゴミ拾い。空き缶を採取、融かして宇宙要塞の部品を作っているが、完成までにあと600年はかかるらしく、残念そうにしている。牛丼屋3大チェーンだと、松屋が一番好き。
サイボーグ化手術を受け、超人的な頭脳と体力を手に入れたものの、維持費が
高くつき、貯金を切り崩す毎日を送っていた。しかし世界侵略を企む悪の組織を倒してから生活も楽になり、現在は趣味の写真に精を出している。一時期穴を掘るバイトをしていた。
すべてをコイントスで決めようとする性格だが、たとえば選択肢が10個ある場合、コインを投げる回数がえげつないほど多くなることに気づき、反省して出家した。今は仏道に帰依することで邪念を追い払っている。
なぞなぞ怪人。出会う人にさまざまななぞなぞを繰り出して困らせる。一時期はテレビに出演したりと活躍の場を広げていたが、最近はネタが切れてきて「歩行者道路は原付なら通行できるか?」とか、まるで自動車免許の試験問題みたいななぞなぞを仕掛けてくるようになった。
実家は26代続く伝統ある枕職人の家系。それを頭に敷いて寝れば必ず良い夢が見れるという魔法の枕を親から譲り受けるが、夢を見ることが楽しくなり、なかなか目を覚まさなくなる。それを見かねた親がこっそり魔法の枕と普通の枕を交換し、今はことなきを得た。
隙があればすぐ天下国家について語る。ある日友人から「じゃあお前が国作れよ!」と言われ、実際に作ってみせた。これが高天原の国作り神話の起源である。今は丸石調査にはまっている。
歩くのが速すぎて日本で唯一自動車に乗らないまま高速道路で移動することが許されている。むしろ気を抜くとすぐ速度が150キロ近くになるので、そこでも実力を抑えている。顔がウケる風圧がすごいので、外出する時はいつもフルフェイスのヘルメットを着用している。客引きにかからない。
生まれたときから数学の才能に恵まれ、さまざまな難問を解き明かした。実は「素数」という概念を作り上げたのは彼。リーマンは彼が育てた。ある日リンゴが木から落ちるのを見て、人間の行動の大体のパターンを理解したという。
以前、「人は髪の毛をどこまで伸ばすことができるのか」もいう疑問を自ら実験し解決しようと、5年間髪を切らなかったことがある。4年目には長く伸びた髪の毛が繭のように本人を包み込み、その中で暮らし始める。5年目、繭の中から出てきたのは「人間」ではなく「NEO HUMAN」だった。
指一本でモーツァルトを弾きこなせるピアノの天才。最近はピアノなしでもピアノの音色を体から出せるようになり、世界に衝撃を与えた。楽器ならだいたい演奏できるが、唯一リコーダーだけは吹けない。その理由は謎だが、本人に聞くといつも耳を赤くしてどこかに隠れてしまう。
ポケモンを6000時間プレイしたせいで現実とポケモン世界の見分けがつかなくなった。疲れるといつもポケモンセンターを探し始めるが、そんなもの存在しないと言う勇気のある友人はいない。最近はハムスターにしきりに「10万ボルトだ!!」と叫んでいる。
幼少期、不慮の事故により両親と南米ではぐれるも、滅亡したはずのマヤ文明の末裔たちに拾われる。動物たちと言葉を交わす能力があり、また操ることもできる。ようやく日本政府に発見され帰国した際には、乗っている飛行機を南米の鳥たちが追いかけてきたという。その後自身の体験を本として出版したが、ゴーストライター説が浮上。調べてみると、執筆したのはフサオマキザルだった。なお、本人は開き直って現在は猿の書いた本の印税で暮らしている。
ことわざを信じすぎたあまり、実際に石の上に三年座ったり心頭滅却して火に近づいたりする危なっかしい人であるが、なぜか猿は絶対に木から落ちないと考えている。自分自身がことわざになることを夢見、それっぽい行動をよくとっている。(例:竿で金を釣る、大海を蓮葉で渡る等々)
溶接工として生計を立てている。溶接フェチが高じてあらゆるものを溶接していたが、ついに国会議事堂と東京拘置所を溶接すると言う蛮行に及び、逮捕。刑務所では溶接の腕が買われ、囚人と囚人を溶接し食費を節約させるマッドサイエンティストとして活躍している。
将来の夢は歌舞伎役者。中学の頃名門一族に弟子入りを希望したものの、歌舞伎揚と歌舞伎の違いがよくわかっておらず門前払いを受けた。その後独学で歌舞伎を学び、オリジナルの「平成KABU-KI」を創設。燃え盛る火に自ら飛び込むなど過激なパフォーマンスで人気を集めた。なお、令和になってから団体名を「令和KABU-KI」に改名しようか悩んでいる。
平安時代にかの藤原道長を大笑いさせた伝説の漫才師の末裔。本人もぜひ漫才師になりたいと思っているが、組んだ相方が割り箸で、コンビ名は「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」もいう、謎のセンスを持っている。プロになる前からYouTubeでカルト的人気を持っていた。事務所に所属してからはライブに力を入れて、紛争地域でツアーを行なっている。
インドで暮らすことが夢。その理由はガンジーのことを自分の前世だと思っているから。ガンジーに倣い日常的に非暴力不服従をうたっているが、酒を飲むと自分より強そうなものを殴りたくなってしまう。去年は「人間は自然環境に運命を委ねられている。だから地球は人類より強い」というめちゃくちゃな理由で地面をボコボコに殴ったところ、両手を見事に骨折した。
「アストロ球団」を愛してやまない漫画好き。この漫画に書かれた野球を真実だと思い込んで中学の野球部に入部したがまったく違うことを知り失望する。しかしなんだかんだ実力をつけて巨人に入団。しかしやはり「アストロ球団」との差を実感し、2週間で引退した。現在はこけし職人として活躍している。彼が再びバットを握るすがたを見たものは誰もいない。
暑い南国で生まれたため、日本の冬はあまりにも寒く毎年凍えるように暮らしている。しかしある日道を歩いていたところ、謎の仙人によって「心の燈(ともしび)を見つけよ」という訓示を授かり、修行に励み始める。それから幾数年、ようやく胸のうちから気分を昂らせて全身を温める術を身に付けたが、最近釧路に移住したところ、やはり寒かった。
全296種類のメガネを所蔵している大のメガネマニア。彼に訊ねればさまざまなメガネのことを教えてくれる。「ツルなしメガネ」「レンズが煉瓦の眼鏡」「重さ20キロのメガネ」「電動メガネ」等々。しかし本人は眼鏡をかけていない。
ディズニーランドに住んで15年。ディズニーランドの全てを知り尽くしている。いつもはシンデレラ城の窓から入場客を眺めているが、たまに入り口付近のウォルト・ディズニーの銅像のフリをして地上を歩き回っている。ミッキーのペットであるプルートを、同じ犬のキャラクターのグーフィはーどう見ているのか考え、たまに不安になる。
たったひとりでマフィアと抗争を繰り広げた伝説の男。サーフィンがうまく、追いかけてくる構成員を海上から狙撃したことで有名。イルカと心を通わせることもできる。映画「ゴッド・ファーザー」はもともと彼をモデルにする予定だったが企画は頓挫。サーフィン要素はのちの「地獄の黙示録」に引き継がれた。コッポラ監督に多大なる影響を与えた人物である。
自分の舌を満足させる食材を探すために世界中を放浪する大美食家。ついに理想の味を発見したと思ったら、それは「ごはんですよ」だった。それから毎日「ごはんですよ」を3瓶消費する中毒者になり、ついに体を壊す。緊急入院で搬送されたとき、何度も「あれってマスオさんなのかな…」と呟いていた。
私立探偵をしている。最近受けた案件はピノの箱の中に星形のものがどれくらいの確率で入っているか調べることだった。しかしその途中でピノに秘められた暗号の解読に成功し、この地球があと200年で消滅する事実を知る。この事実を世間に知らしめようとするが、買ったピノは悉く溶けてしまい、証拠は消えてなくなってしまった。最近はチョコモナカジャンボをよく食べている。
力士を世界によりアピールしたいという願いから、独自に相撲専門の芸能事務所を設立。結果は上々、世界中で相撲ブームが起こるが、何かの勘違いから「力士=日本の殺し屋」というイメージが付く。この誤解に大きなショックを受けて、今年度をもって事務所は閉鎖。次は寿司職人をアピールすることにした。
ヒマラヤ山脈に住んでいる。その理由は2つある。ひとつは虫が嫌いだからで、虫を塵殺するためにはあらゆる犠牲も惜しまない。過去にゴキブリを見たときは、隣にいた人の頭をハンマーにして殺そうとした。なお、そのゴキブリはただのおもちゃだったが、利用された人は手遅れだった。この死を悔やんで、人間の社会から距離をとろうとしたのが、ふたつめの理由だ。

 以上。件のツイートに新しくいいねが付いてももうやりましぇん。

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