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【第19回】小林農産のフォレストガーデン(前編)

“第17回 みかんの蜜から蜂蜜へ” (https://note.com/kobayashinousan/n/n71fb293deafe)の記事の中で、私は小林農産をフォレストガーデンのようにしたいと思っているとお話しました。フォレストガーデンは奥深いです。私自身の整理のために、小林農産のフォレストガーデンについてお話ししたいと思います。

(1)小林農産の目指すフォレストガーデン

 私はこの里山を「植物や樹木が本来持つ力を活かしたフォレストガーデン」にしたいと考えています。人間が手をかけすぎるのではなく、自然が持つ力を信じて植物や樹木を育て、持続可能な「手間をかけすぎない里山果樹農園」という姿を目指しています。
 里山は人間が生活を営む部分と森の境界の役割を果たしています。里山に全く手をかけなくなると雑木が増え荒廃した山になってしまいます。ただ、私は自然の力、植物や樹木の力も最大限に活かしていきたいと考えています。なので、里山が荒廃してしまわないように手間をちょっとだけかけながら、自然の力も活かしたフォレストガーデンを目指しています。

里山からの景色

(2)小林農産の取り組み

 小林農産ではフォレストガーデンを目指し、様々なことに取り組んでいます。

①森林農法への取り組み
 森林農法とは、
 「樹木を植え、森を管理しながら、そのあいだの土地で農作物を栽培したり、家畜を飼ったりすることを指し、森を伐採しないまま農業を行うことが特徴」
(引用:”アグロフォレストリーとは・意味” .IDEAS FOR GOOD.
 https://ideasforgood.jp/glossary/agroforestry/ )
 とされています。フォレストガーデンではこの森林農法が推奨されており、小林農産でも可能な部分から森林農法の考えを取り入れています。
例えば、里山にたくさんあるクヌギや栗や琵琶の木などの果樹は保護したり、恵みをいただける樹木は新たに植樹したりしています。恵みをいただける栗や琵琶などの果樹は分かるけれど、何でクヌギも保護しているの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。このクヌギはシイタケやしめじ、なめたけ、きくだけの原木栽培を行うために、大切に残しているのです。

原木栽培でキノコの菌を植えて生えるのを待っているクヌギ

樹木の間には様々な薬草や野草も繁っています。雑草や落ち葉も多いですが、小林農産では雑草や落ち葉もそのままにしています。落ち葉も土の栄養となるからです。植物の力を信じて成長を楽しみにしています。
恵みが採りやすいように最低限の整備をしながら森を育て、恵みをお裾分けしていただく。これが現在取り組んでいる小林農産の森林農法です。

②「耕さない」農法

 作物を育てるのに耕さないの?と思われる方もいらっしゃるかと思います。フォレストガーデンでは土を耕さず、炭素を出さないことが重要だとしています。
小林農産は里山ですので、畑があります。なので、まったく耕さないということはありません。作物、特に野菜の苗を植える時などは畑を耕して栽培しています。

しかし、「種」から育てて極力土を耕さずに育てることを試みています。現在、綿(和綿)や黒豆、蓼藍、アケビ、タラの芽、ブラックベリー、ノブドウ、キキョウは土を耕さず種から育てています。植物の生きる力は強く、耕さずとも種からしっかり根を張って、育っています。今年は初めてモリンガを植えました。どのように育っていくのか今から楽しみにして
います。

モリンガの種

この耕さない農法は私が目指している、手間をかけすぎない里山果樹農園にとてもマッチしており、持続可能な里山保全にもつながるのではないかと期待しています。

また、炭素を出さない取り組みとして、耕さない農法の他に作物の2次利用も積極的に行っています。例えば里山荒廃の一因にもなっている「竹」。竹害として問題になっている地域も多くあります。小林農産では以前まで、伐採した竹を野焼きや、市の環境センターにて焼却処分していました。しかしこれでは竹の中に取り込まれていた炭素が大気中へ出ていってしまいます。そこで竹をチップに加工し、防草材として森へまいています。また矢竹は畑で野菜などを育てる時の支柱に活用しています。活用後もそのまま土へ還るので、片付ける手間もかかりません。
そして今年はオクラの茎をえんどう栽培時の支柱にできないか、実験しようとしています。他にも活用できそうなものがないか日々、森や里山で活動しています。

長くなってしまいましたが、今日はこの辺りで。
次回はフォレストガーデンの役割や食との関わりについて、小林農産の抱える課題についてお話ししたいと思います。

小林農産ホームページはこちら
https://kobarin-fruits.com/