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職場は習慣の学校なり。経営者は習慣の教師なり

⬛ 良い言葉に触れる

月に一度、世田谷の松陰神社にお参りします。実はこれ、開業以来26年間欠かさず続けている私の大切なルーティン。神社併設の霊園に祖父母の墓があり、その墓参りを兼ねてお参りするのですが、その際に必ずいただいてくるのが「生命の言葉」という御札です。

この御札は、東京都神社庁が毎月発行して無料配布しているもので、
毎月一つ、歴代天皇初め皇族のお言葉や、
文豪や偉人の遺した名言が印刷されています。

これが、毎回すばらしくて、
心にぐっと来るんですよね。

例えば、2020年3月の生命の言葉は、
歌人で精神科医でもあった斎藤茂太さんの言葉、
「人生に失敗がないと、人生を失敗する」とか、

同じく2020年5月の「今日の暮らしは昨日にあり今日の丹誠(たんせい)は明日の暮らしとなる」(二宮尊徳)とか、2018年3月の「うそ云ふな ものほしがるな からだだわるな」(幕末の歌人・橘曙覧の言葉、「だわるな」は「怠けさせるな」の意)にもハッとさせられました。

私はこの「生命の言葉」の御札を毎回3枚はいただいてきて、
うち1枚を病院内のスタッフルームの冷蔵庫に貼っています。スタッフに「これを読みなさい」とか「暗唱しなさい」とか
言っているわけではなく、ただ自然に目に入るような場所に貼っているだけですが、
すごく効果があると思っています。

とはいえ、スタッフからの反応があるわけではないですし、
「先生!素晴らしい言葉ですね」なんて共感のコメントが寄せられたことはありません。
もしかしたら、「また、先生がわけのわからんものを貼ってる・・・」と思っているスタッフもいるかも(笑)。

でも、とにもかくにも
彼らは冷蔵庫を開けるたびに、「生命の言葉」を目にしています。
それで、いいんです。

言葉には、本当にすごい力があって、その力は無意識のうちに私たちの意識に刷り込まれます。
良い言葉・ポジティブな言葉を毎日見聞きし、使っていれば、それはいつしか心の栄養になって、
その人の行動に影響を及ぼすはずです。何か問題に直面したときに「あ、そういえば、あんな言葉があったな」って思い出せば、それが突破口になって壁を超えられることだってある。

逆に、汚い言葉・悪い言葉・ネガティブな言葉ばかり使っていると、
いつしかそれは、その人の生き様も、そうなってしまいます。

だから、私は大切な仕事仲間であるスタッフにも、できるかぎり、
良い言葉に囲まれて生活してほしいと願っています。

⬛ 職場は「育つ場所」でなくてはならない

もちろん、私自身も良い言葉・ポジティブな言葉を見聞きし、自分でも使うように心がけています。

たとえば冒頭で紹介した「生命の言葉」の中では、
2020年4月の「一家は習慣の学校なり。両親は習慣の教師なり」(福沢諭吉)から、
とても大きな学びをいただきました。

最近は、教育を学校に丸投げにしているような家庭もあるけど、
やはり教育の基本は学校ではなく、家庭生活ですよね。
子は親を見て育つ。だから親の習慣は子どもに「遺伝」しちゃうわけです。

実はこれは職場でも同じこと。
職種が何であれ、職場は経営者の思想や行動が如実に現れる場所。
職場を見れば
経営者の頭の中・心の中が見えると言っても過言ではないかもしれません。

そしてそこで働くスタッフは
経営者の考え方に基づいて行動するわけですから、
経営者はまさに彼らにとって「教師」です。

じゃあ、教師の役割ってなんだろう?

そう、「育てること、才能を伸ばしてあげること」ですよね。
決して、自分の思い通りに動かしたり、命令して仕事を強制したりすることではないはずです。

そこで私は諭吉の言葉を自分なりにアレンジして
「職場は習慣の学校なり。経営者は習慣の教師なり」とアレンジして
毎日、心のなかで暗唱し、
自分の行動に落とし込んでいます。

もちろんスタッフには、
病院をスムーズに運営できるよう各自の役割を担って欲しいと思います。
でも、それだけだとスタッフにとって職場は単なる「労働の場」になってしまう。
それって、とてももったいないことですよね。スタッフ自身にとっても、経営者にとっても。

だから成城こばやし動物病院では
代表者である私自身が
学び続け実践し続ける習慣を持ち、
それをスタッフが見、聞きし、
「職場」を「習慣の学校」にしてもらいたいと願っています。

ここで働いたことによって
「成長できた」、
「もっと自分を高めたいと思った」。
スタッフにそんなふうに思ってもらえるようになれたら、嬉しい。

もしも、あなたが経営者で、「人材に恵まれない」と思っているとしたら
それはスタッフのせいではなく、
あなた自身が「習慣の教師」としての役割を忘れているからかもしれません。
事業の利益を追い求めるだけでなく、
職場を「習慣の学校」にして、
優秀な生徒をたくさん輩出していくことにも注力してみましょう。

きっと、スタッフの表情が変わっていくはずです。

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