見出し画像

猫は外来種ですよ

「猫は外来種ですよ」。こんなことを書いたら全国の愛猫家の皆さんに抹殺されるかもしれない。でも、私は猫が嫌いなわけではない。むしろ好きだ。だからこそ、猫は外来種だ、と敢えて言いたい。

外来種と聞くとどのようなイメージがあるだろうか。何か漠然とマイナスイメージがあるのではないかと思う。それが「猫は外来種ですよ」に対する違和感に表れているのだろう。

そもそも「外来種」とは何なのだろうか。
外来種とは、本来その地域に生息していない生物種のことを指す。外来種は、人の手によって新しい地域に導入され、生態系のバランスに悪影響を及ぼす。そして、異なる環境に適応しやすく、生態系において他の生物と競合したり、捕食したりして、在来種の個体数を減少させ、生態系を変えてしまうこともあるのだ。

外来種がその地に導入される原因にはさまざまなものがある。その多くは、ペットとしての飼育などによる逸出である。
猫もペットとして全国に広がり、同時に遺棄も増えたのだ。動物愛護の話題で、ペットの遺棄問題はよく取り上げられるが、生態系の観点から見ても、とても大きな問題なのである。

猫は在来種に対する脅威になりうる。猫は肉食性のため、小動物や鳥類を好んで捕食する。野猫や放し飼いをしている猫が二ホンアマガエルやスズメなどを捕食した場合、生態学的に見ると、外来種であるネコが、在来種である二ホンアマガエルなどを捕食したということになるのだ。

猫は、侵略生物なのだ。これは猫がその持ち前の可愛さで世界を侵略しようとしているという意味ではない。日本生態学会が定めた、日本の侵略的外来種ワースト100に「ノネコ」として登録されている。外来種の中でも、対策を優先すべき種であるということである。

また、野猫による感染症の拡散のリスクもある。ネコ免疫不全症候群ウイルス FIVやネコ白血病ウイルス FLeVが野猫によって伝播され、ツシマヤマネコへ感染した事例が確認されている。

2022年6月からは、犬や猫へのマイクロチップの埋め込みによる管理・登録が法律によって定められた。しかし、放し飼いや野生化した猫の管理についてさらに議論を進めるべきであると私は考える。

生態系に被害を与えている外来種はもちろん猫だけではない。最近話題に上がった生物種では、「アメリカザリガニ」や「ミシシッピアカミミガメ」などがある。これらも、ペットからの逸出が非常に問題になっている。

いずれにせよ、これらの問題は、すべて人間が引き起こしたものである。猫の飼い主は、放し飼いをせず、室内で飼うことが大切である。そして、猫に限らず、動物の飼い主は、動物がその命を終えるまで適切に飼養する責任があることを忘れてはならない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?