上皇后陛下に学ぶ、日本人の精神

10月20日、上皇后陛下が86歳の誕生日を迎えられました。
その際の、宮内庁による近況公表の中で、大変に感銘を受けた御言葉がありました。

最近は、乳がんご手術後のホルモン療法によると思われる左手指のご不自由がおありで、ご移居後は数人の日本人作曲家の曲目を練習されることを楽しみになさっていらっしゃいましたので、おさびしいことだと思います。今まで出来ていたことを授かっていたこととお思いになるのか、お出来にならないことを「お返しした」と表現され、受け止めていらっしゃるご様子です。

今まで出来ていたことは「授かっていた」ことであり、出来なくなれば「お返しした」とのことです。
これぞ、日本人が古来より大事にしてきた価値観なのではないかと、畏れ多くも共感致しました。

思えば、私たちの体は天からの借り物であり、そしてまたいつかはお返しするものです。
であればこそ、お返しするその日が来るまで、日々を一所懸命に生きるのです。

こういった価値観は人に対してではなく、物に対してもあったのではないかと思います。
私たちが物を扱う際に、自分たちが「作った」もの、あるいは「買った」ものなどと、自らの所有物と捉えがちですが、本来は自然の恩恵をお借りし「授かった」ものであると思います。
それであればこそ「もったいない」という言葉も生まれ、最終的には「お返し」するものと思います。
日本人は物という切り離した見方をしない、つまり物というな概念よりは、システムのような概念が強かったのだと思います。
かつての日本人はそのような精神性を備えていたのだと思います。

26日、菅首相が所信表明演説で「温暖化ガス2050年ゼロ」を掲げました。
これを達成するためには、再生エネなど技術的なものだけではなく、根本的な部分で私たちの行動様式の変容が必要と考えます。
大量生産大量消費が常識になり久しいですが、今こそ古来の日本人の精神に立ち返る時だと思います。

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