ショートストーリー カツ丼VS親子丼

縁起の良い勝利の丼ぶりか。
親子で仲良し丼ぶりか。
困るのは、どちらも美味いということ。

卵が衣に絡んだ絶対王者の味。
カツ丼を選べば、その美味さにひれ伏すこととなる。
それは、同時にカロリーへの敗北宣言。

卵が親を包み込む優しさの味。
親子丼を選べば、優しさに溺れることとなる。
それは、人を駄目にする美味さ。

食堂で唸り声をあげるは、ダイエット中の私。
明日は健康診断。
それでも、丼ものを食べようとするのは、美味すぎる日本食のせいだ。
隣の席から良い香りが漂う。
腹の虫が盛大になった。
美味いものに弱い私に悪魔が囁く。

どうせなら、美味しく食べよう。
どっちにしたって、カロリーオーバー。
だったら、美味しく頂いたほうが得だ。

悪魔の囁きは、私から意思や理性を取り払う。
一種の混乱状態だったのだと思う。
店員を呼び
「カツ丼と親子丼。一つずつ下さい」
ハッキリと注文した。

カツの油のジューシーさ。
親子丼の鶏肉の柔らかさ。
どちらも堪能し、なんの悔いなく食いおさめた。

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