小早川 胡桃

エブリスタで書いてます。 ここには、思いつきのショートストーリーを投げ込むつもりです。容赦なく好きなように書きます。 よろしくお願いします。 ↓エブリスタの小早川胡桃のリンクコピー https://estar.jp/users/144340436

小早川 胡桃

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最近の記事

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はじめまして

はじめまして。小早川胡桃です。はじめての記事は自己紹介が良いと書いていたので、誰に向けてか分かりませんが、私を紹介します。 エブリスタで小説を書いてます。エブリスタ内での連載・『元ラブホのシェアビルディングは相談屋』は、もうすぐ完結しそうです。毎日更新日記の『母と娘の二人三脚*禁煙日記』では、タイトル通りです。母の禁煙サポートをしてます。週一回更新日記『3月17日に始めました(小早川胡桃のハキドコロ)』は毎週土曜に書いてます。タイトル通り、小早川胡桃の日常や日常で起こったモ

    • ショートストーリー 今どこにいますか?

      エブリスタ 妄想コンテスト(今どこにいますか?)用作品 「今どこにいますか?」 私の質問に答え無いまま、彼は電話を切った。 「今どこにいますか?」 毎日のように私は彼にメッセージを送る。 夕飯の支度、お風呂の準備、明日の予定。 細々とした家事を処理する中で、何をしているかは必要な連絡事項だ。 それすらも、彼は返信しない。 最初は何時に帰るかだった。 だんだん煩わしくなっていたのか。 帰宅時間の返答は曖昧になったいき、場所で察しろという方向に変わっていった。 徐々にそれも

      • ショートストーリー おにぎりと卵焼き

        エブリスタ妄想コンテスト『私を待っていたもの』参加作品 おにぎりに卵焼き。 それは、母が去る前に残した私宛の夕飯だった。 父と離婚した母の味。 それは、お袋の味として今でも記憶に残っている。 大きなおにぎりの中には、醤油と混ぜたおかか。 ちょっと味が濃い目の甘じょっぱい卵焼きは、焦げが良いアクセントになっていた。 家事が苦手な母の唯一無二の得意料理だった。 学校から帰ると、置いていたのはその二つ。 母は、父や私に愛情が無いわけでは無かったけれど、何よりも仕事を優先する人

        • ショートストーリー ホットケーキ

          素朴な味と香りが、心地良さを運んでくる。 クリスマスの賑わいが過ぎ去り、穏やかなひとときが戻ってきた。 パーティーの飾り付けを押入れに押し込んで、ホッと一息ついた。 毎年、この時間に師走の忙しい現実を見せつけられる。 あと一週間で、餅つきの準備をし、大掃除を終わらせ、お節を作って、子供達の宿題の面倒を見る。 忙しいのは今からだが、パーティーが終わると、年末行事の一つを終わらせた気分だ。 子供達の笑顔が満足感に繋がるから、よけいにそう思う。 普段は野菜なんて箸もつけよう

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        はじめまして

          ショートストーリー クリスマスケーキ

          生クリームとスポンジが口の中で溶けていく。 音もなく消えていくさまが雪のようで、締め切ったドアを開けて雪が降るのを待っていた。 販売中の看板を掲げたサンタクロースの格好のダサイ着ぐるみに、土下座されて買ったワンホール。 いい事があるからと、詐欺師のような占い師のような信用ならない言葉を並べていた。 イヴの真夜中に一人で帰宅する男に、いったい何があるって言うんだ。 そんな風に不貞腐れて、誰かがポイ捨てたビール缶を蹴飛ばした。 缶は、放物線を描いて物陰に飛んでいった。 ビル

          ショートストーリー クリスマスケーキ

          ショートストーリー ブッシュ・ド・ノエル

          切り株の上でちょこんと座るサンタの帽子をかぶったくまの砂糖菓子。 粉砂糖は雪を彷彿させ、ケーキの見た目はおとぎ話のワンシーンのようだった。 見た目だけでなく、味も子供の頃夢見た美味しさ。 チョコレートの甘さは、夢が広がるときのようにゆっくりと身体に染みていった。 ブッシュ・ド・ノエルというケーキを知ったのは、本の挿絵で描かれていたから。 本の内容なんて覚えていないけど、切り株型のお菓子が印象的だった。 母親へ食べたいと、ねだったこともあったけれど、食への関心が低い母におし

          ショートストーリー ブッシュ・ド・ノエル

          ショートストーリー アイスケーキ

          ひんやり冷たく、甘くて、綺麗。 生クリームとサンタ型のチョコレートでデコレーションされている表面に心踊った。 大きなボックスに入っているアイスを独り占めしたい。 ホールケーキを独り占めしたい。 その夢をいっぺんに叶えてくれるアイスケーキ。 今年のクリスマスの相棒だ。 一人暮らしで、サンタクロースどころか友達も訪ねてこないクリスマス。 せっかくなら贅沢を満喫したい。 そう思いながら、お店の人に予約した名前を告げて約束の物を受け取った。 持ち帰って、そうそうにケーキの箱を開

          ショートストーリー アイスケーキ

          ショートストーリー バタークリームケーキ

          バターのコクと砂糖の甘さがじっくりと舌におびた熱で溶ける。 こっくりとした味わいと舌触りは、ノスタルジーな味がした。 母がバタークリームケーキを買ってきた。 クリスマスらしいサンタクロース、赤と緑のゼリーで飾られたクリーム色のケーキ。 母は懐かしいからと衝動買いをしたという。 クリスマスが明日に迫るというのに、なんでわざわざと呆れた。 父も祖父母も呆れ果てると思ったが、皆一様に懐かしさに浸っていた。 昔は美味しくなかった。 皆、二言目にはその言葉がお決まりなのに、嬉しそ

          ショートストーリー バタークリームケーキ

          ショートストーリー クロカンブッシュ

          山のように積まれたシュークリーム。 ピッタリとシュークリーム同士をくっつけているカラメルは、シューに歯ごたえをくれる。 シュワリと音もなく消えるシューに対して、カリッと音だけを残して甘く溶けるカラメルは、混じり合うとさらに美味になる。 愛しい子供達を思いながら、シュークリームを積み上げる。 カラメルに着けては、シュー同士をくっつける。 30センチは積み上げたけれど、まだまだだ。 ウェディングケーキとは言わなくとも、高く高く積み上げたい。 その分、幸せも大きくなるというもの

          ショートストーリー クロカンブッシュ

          ショートストーリー ちらし寿司ケーキ

          甘酸っぱさが優しく喉を通る。 華やかに飾られた酢飯で作られたケーキは、当然、三角形に切られて配られた。 ケーキの顔した酢飯に、サンタを装う大人の風格が出ていた。 私は、今日のクリスマスを忘れることはないだろうと思う。 ご馳走を作って、息子にクリスマスを楽しんで貰おうと、張り切って冷蔵庫を開けた。 この日のために、ポイントデーに買い込んだし、買い忘れがないか何度もチェックした。 スープやチキンはもちろんのこと、お寿司にだって挑戦してみようと思っている。 本来ならちらし寿司

          ショートストーリー ちらし寿司ケーキ

          ショートストーリー フォアグラ、生牡蠣、スモークサーモンの前菜

          年に一度のフォアグラ。 特別なコクをパンに乗せて頂く。 年に一度の生牡蠣。 特別な甘みと塩味を貝を開いて数秒で頂く。 いつもと同じスモークサーモン。 特別の中にも安心感のある味が、美味しさを引き締める。 シャンデリゼ通りを歩いてレストランに行く。 そんな日を夢見て、クリスマスディナーの予行演習をする。 フランス料理を極めたい。 そう思ったのに、修行先は片田舎のおば様の小さな家。 整えられた庭は綺麗だし、のどかだけど、市内の華やかなイメージを持って留学してきた私にはガッカリ

          ショートストーリー フォアグラ、生牡蠣、スモークサーモンの前菜

          ショートストーリー ソーセージ&2種のポテトサラダ

          パキッと綺麗に割れる茹でたソーセージから、熱々の肉汁が吹き出す。 舌を冷ますためにマヨネーズで和えたポテトサラダを食べる。 マイルドなソース舌を休ませてくれる。 箸休め用のポテトサラダは、酸味の効かせたドレッシングが染み込んでいる。 ソーセージの熱さもマヨネーズのしつこさリセットされ、またソーセージにもマヨネーズ味のポテトサラダにも手を伸ばす。 犬を拾うように人を拾った。 お人好しだし、危険だし、救急車や警察を呼んだほうが良かったし、何を考えているんだと、自分でも思う。 だ

          ショートストーリー ソーセージ&2種のポテトサラダ

          ショートストーリー ローストビーフ

          野生味の残る肉の香りと赤ワインの香りのするソースは、迷いもなく溶けて一つになった。 いつも売られているけれど、この時期になると、より特別感が増すローストビーフ。 クリスマスプレゼントみたいに、飾られて塊のまま冷蔵庫に鎮座している。 その姿は、出番待ちの舞台役者だ。 冷蔵庫の手前で、奥の味噌をちょっと邪魔するところなんて、舞台袖の新人役者そのもの。 出番をまだかまだかと待つ佇まいは、我が家の役者と同じだ。 可愛い私の女優は、家の中で元気に練習中だ。 金のガチョウに引っ張られ

          ショートストーリー ローストビーフ

          ショートストーリー フラムクーヘン(ドイツ、フランスの薄焼きピザ)

          サクサクの軽い生地。 サッパリしたサワークリーム。 油の美味しいベーコンとピリ辛の玉ねぎ。 黄金比率の調和は、名残惜しさも感じさせる暇さえも与えずに無くなる。 急に日本が恋しくなった。 昼間こそドイツのクリスマスマーケットは、さすが本場だと感嘆していた。 だけど、夜の痛いくらいに寒い季節。 クリスマスに家族連れで賑わうドイツ人達を横目に、一人アパートまで帰るとさすがにホームシックにもなる。 私かドイツにやってきたのは、絵の修行の場として選んだからだ。 童話が数多く産まれた

          ショートストーリー フラムクーヘン(ドイツ、フランスの薄焼きピザ)

          ショートストーリー ベイクドハム(クリスマスハム)

          甘じょっぱくて癖になる美味しさに懐かしさを覚える。 初めて食べる薄ピンクのしっとりしたハムは、風情があった。 オタク文化も今や世界に広まった。 どこにでもいるサラリーマンが、世界中に友人、知人を持つ時代になった。 毎朝ソシャゲでガチャを回すのが生き甲斐でも、世界中のオタク仲間達と当たったとかハズレたとか言っていると楽しさも百倍だ。 特に、各種イベントでクリスマスの時期は忙しさも百倍。 今は『イヌオトコ、ネコムスメ物語』にどっぷりハマっている。 世界に散らばるオタク仲間達も

          ショートストーリー ベイクドハム(クリスマスハム)

          ショートストーリー シュークルート(塩漬け肉とザワークラウトの煮込み)

          酸っぱい湯気に誘われて店の行列に並ぶ。 塩漬けの柔らかな肉と酸味の効いたキャベツがマイルドに調和する。 じゃがいももソーセージも和気あいあいと肩を寄せ合う。 クリスマスを祝う暖かな料理。 夢にまで見たクリスマスマーケット。 可愛いオーナメント、キャンドル、お菓子。 見るもの全てが新鮮で、心躍る。 人混みを掻き分けて山小屋風の屋台を周る。 シャレーと呼ばれる屋台まで、オシャレでしげしげ見てしまい、オーナメント屋のオジさんに訝しげに見られた。 だけど、クリスマスは誰もを明るく

          ショートストーリー シュークルート(塩漬け肉とザワークラウトの煮込み)