ショートストーリー イチゴパフェ

春になったことを感じさせてくれる。
見た目も華やか。
ボリュームもそこそこ。
ちょっと贅沢な春の祝いにピッタリだ。

娘の不合格祝いで近くのファミレスにやってきた。
娘は今年から浪人生となる。
その祝いだ。
皮肉ではない。
娘がこれで良かったと、清々しい顔をして私に言ってきたのだ。

理由は、受験勉強中に気晴らしで行った図書館の司書さんが、素敵な人だったそうだ。
勉強を頑張る気になれる本をすすめてくれたり、人気の参考書やオススメの参考書を教えてくれたり、応援の声をかけてくれたりと、随分親身になってくれたそうだ。
その間に、娘も自分の夢や将来像が変わったそう。
娘の受けた大学には、司書になれるプログラムは無かった。
とはいえ、司書になる運命を断たれるわけではないので、受かれば大学へ行き後から社会人になってから、司書を目指していたようだ。
正直、娘がそこまで考えているとは思っておらず、そのことを聞いた時には目を剥いた。

娘は言う。
新たな夢を前に、生まれ変わるつもりで勉強すると。
だから不合格通知を貰った今日は、心ゆくまで祝う。
行きたい場所へ行く自由を取り戻した娘に、また一年の戦いに挑む英気をつけてもらうために。

目の覚めるイチゴの甘酸っぱさとクリームに娘と二人、笑い合う。
きっと娘のはじける笑顔は、来年の今頃同じように咲いているだろう。

沢山の記事の中から読んで頂いて光栄に思います! 資金は作家活動のための勉強(本など資料集め)の源とさせて頂きます。