ショートストーリー ししゃも

膨らんだお腹に胸が高鳴る。
頭から二口で口内におさめる。
プチプチとした食感と程よい塩加減が溶け合った。

一本食べては、白米に手を伸ばす。
二本目も同じペースで。
三本目は折り返し。
名残惜しくて、二口で食べていたのが3口ひ増えた。

この名残り惜しさは、今ひとつ好きになれない。
単身赴任で五年間、家族と離れて暮らしているが、休みの度に赴任先に戻り難くなる。
四本目もチビリチビリと味わって食べる。
子供達のことを考えながら次の休日に、何を買って帰るか悩ませる。

僕は、いつもわざと少し難しいゲームを選んで買う。
そうすれば「もう一回」が自然と増える。
楽しむ時間をわざと長引かせるのは、僕の常套手段。

四本目のししゃもの一口をわざと残して、先にご飯を平らげる。
最後の一口は、長く長く噛んで、最後はビールで流し込んだ。

沢山の記事の中から読んで頂いて光栄に思います! 資金は作家活動のための勉強(本など資料集め)の源とさせて頂きます。