ショートストーリー テリヤキバーガー

どろどろのてりやきタレが好きな息子。
包みから取り出す時にすら手を汚させて、食べる時も口の端を汚させて、手間をかけさせる。

子供の成長は早い。
毎日をドタバタと過ごすうちにあっという間に息子は、なんでも自分でやりたがる年頃になった。
つい最近まで、ハイハイも出来なかった息子へ、ハンバーガーを包みから出してやろうとしようとするものなら、自分でやると泣き荒れる始末。
本人待望のテリヤキバーガーの顔が見えた頃には、息子の手は飛び出たタレでベチョベチョ。
肝心のバーガーは、レタスの半分は飛び出して、パンはタレを含んでクタクタになっていた。

それでも、懸命に頬張る息子は愛らしい。
すっかり冷えているだろうが、ものともしない。
テーブルに散らばったレタスにも手を出して、丸々一個食べきった。
満足そうに笑う息子の表情は、達成感に満ちていた。

食べ終わった息子の機嫌を伺いながら、鼻にまでついた甘辛のタレを拭ってやる。
この時間が、あとどれほど続くのだろうかと、顔を拭われて擽ったそうにする息子と笑う昼下りは、とても穏やかだった。

沢山の記事の中から読んで頂いて光栄に思います! 資金は作家活動のための勉強(本など資料集め)の源とさせて頂きます。