観劇感想「もしも命が描けたら」
▶2021年9月5日(日)in兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
眠れないので観劇の備忘録を書いた。(過去、ふせったーにあげたものを加筆修正しています)
※めちゃくちゃネタバレがあります。
なんやいろいろ
舞台の観劇暦も短いし、回数もそれほど行けているわけではないのでわたしが経験ないだけだと思うんだけど、主題歌という主題歌がある舞台(ミュージカルではない)を観るのは始めてなので色々新鮮だった。
今回の舞台は田中圭さん目当てで行ったようなものなので、田中圭の存在感はさておき。
黒羽くんと小島さんはほとんど初めて見る人だったけど、3人芝居というのもあり、ふたりとも2役だった。
衣装チェンジはないのに、それぞれちゃんと別人に見えるのですごいな……。黒羽くんの存在感というか、雰囲気がすごかった。そこにいるだけで色気がある。
セット
すごくシンプル。舞台上に大きい丸い床のセットがあって、奥側が少し高くなってて傾斜がついてる。
板の上には、大小異なる石がごろごろ転がっていて、月面イメージなのかな?と思っていたら、どうやらこの石がお芝居するときの小物の代わりになるよう。
配達する荷物だったりテーブルと椅子だったり、はたまたモブになったりする。勝手に動いたりしてはくれないので、役者がお芝居しながら上手く使って動かしたりする。黒羽くんが演じる三日月が序盤~中盤は黒子の役割を担っているので、テーブルセッティングしたり役者がお芝居以外のこともするのがとても面白かった。
背景にはずっと月が映し出されていて、展開に合わせて満ち欠けする。月人の心の変化に合わせたり状況説明に使ってる(と思う)
足元の丸い板もプロジェクトマッピングで色んなアートが施されていて面白い演出だったんだけど、わたしが観劇した場所が1階席10列目だったのもあって若干見えづらい。これは1階最後尾あたりか、2階席から見下ろす形で見たほうが絶対よかったな。
芸文は1階席も傾斜がついていて比較的見やすい会場だけど、傾斜のない会場だとせっかくの演出が見えなくて残念かもな~。
覚え書き(ごちゃごちゃしてます)
消灯したあと、真っ暗な中でYOASOBIの主題歌が流れる。フルだったのかな?観劇したホールは演劇中心に使われるホールでコンサート用ではないんだけど、演劇でももちろん音楽使うことがあるからそこまで音響悪くないはず。
なんだけど、曲との相性なのか、低音がボワボワして若干聴き取りづらいなと感じた。座ってる席にもよるのかもしれない。スピーカーの位置とかの関係で。YOASOBIの曲は早口なパートがあるので、そこは低音のボワボワが邪魔してかなり歌詞も聴き取りづらかった。
冒頭、月人の三日月への独白、体感20分くらいずっと月人が喋ってる。長台詞が過ぎる。
えっ???ほんとに田中圭ずっとひとりでしゃべってない???セリフの量おかしくない???
作中で、三日月の晩に起きた出来事とかを、月人が三日月に「君も見てたよね?」というところがたびたびある。この「見てたよね?」はまぎれもなく空に浮かぶ月のこと。
しかし、黒羽くんが演じる三日月が、見る側にわかりやすく役者を配置されているだけなのか、月人にも人に見えてるのか、本当にずっと空の月に話しかけているのかわからなくてちょいちょい混乱する。
でも実際はどっちの捉え方でもいいのかもしれない(何を言ってるかわからないと思うが)
圭くんのセリフ量、これが脚本にあるのもヤバイし、病み上がりの人間がやってるのもヤバイ。しかも噛まずに全部言えてる田中圭もヤバイ。つまりかなりヤバイ。
三日月は月人の独白を聞きながら丸の板の周りをずっとぐるぐる歩いてるんだけど、それだけですごく華がある。黒羽くんすごいね…。
後で気づいたけど、このとき三日月は時計回りに歩いていて、時計の役割もあったんだろうなと思うなどした。何回か丸の板の周りをぐるぐるする時があるけど、多分反時計回りの時もあったから、多分なんか展開に合わせてたんだろうな(覚えてない)
すべてを諦めて達観して生きてる役をやる田中圭から得られる栄養がある。敬語で距離感あってかわいい。
月人は星子さんとの出会い編で、語り手の役割も果たしているので、冒頭の独白と合わせてもマジでセリフ量がおかしい(ずっとセリフ量の話してる)
語り手からの説明が入るので、ストーリーのわかりやすさはある。しかし、これがまたけっこうくどい。
朗読劇ではなくてお芝居(役者の掛け合い)が見たい……となるので途中ダレた。後半はちゃんとお芝居があったのでよかった(よかった)
前後するかもだけど、月人と星子さんのベランダのシーンでめちゃくちゃルンルンで柵のセット持ってくる三日月可愛くてびっくりした。黒子やってる時にちょいちょいかわいいリアクションしてくれるんだよね。
人の顔を描かないと決めていた月人が星子さんの顔を描くと約束したところでフラグが立っ……もうこの先の展開読めるやん…それはフラグなんよ…………。
そして案の定フラグ回収してしまって未亡人になる月人。
そして冒頭のシーンに戻ります。ここにつながるんだね~~~~~。
三日月に向かってゴッホの「星月夜」の話をするんだけど、この作品に描かれてる月は三日月ではなかった説があったはずなので、月人が「三日月に魅入られている」のと三日月に「三日月の君と満月の君は違う」って言っていたのとなんかこう、うまいこと絡めてあったりするんですかね?(考察力がゴミ)
命を捨てようとする月人に三日月が「その命を削って誰かを生かす能力」を与えるんだけど、これが「命を描く力」でタイトル回収。なるほどねえ。
この後虹子さん編に入る前にもっかい主題歌が流れるんだけど、歌詞の内容が「あっこれ冒頭の話だったのか」って分かる構図でとてもよかった。
よかったんだけど、このタイミングで主題歌流すなら一番最初の主題歌いらなかったな?インターバル短すぎるし…。
曲に合わせて月人と三日月が舞台の前方に横並びで歩いてきて、歌詞の「さよなら」に合わせて、円形のセットの端からポンと飛び降りて暗転するのすごく好きな演出だった(飛び降りるという表現にしてるけど、実際は円形セットは奥側に高さがあって斜めになってるので手前は舞台とほぼ同じ高さ)
一度死んで(実際は死ねなかったけど)命を描く力を持って新しい人生をまた歩み始めるという切り替えがわかりやすくてよかった。
虹子さんが月人の名前に引っかかったとこで「えっ、これ母親フラグでは?」と思うなどする。
スナックのママの虹子さんが常連さんとお酒飲むシーン面白かったな~三日月が小ぶりな石を二つと、でかい石を一つ持ってきてソファーに並べていって、この石がモブ常連客になるのおもしろいな~~。
終盤、陽介がめちゃくちゃ陽キャで、三日月の美しさと儚さどこ行った????二役大変だな~テンション全然違うし演じ分けがすごい。
陽介が陽キャすぎてコメディシーンが挟まる。それまでめっちゃシリアスだったので落差がすごい。
どういう流れか忘れちゃったけど、いきなり帰ってきた陽介が怒ってる虹子さんにクイズを出すという謎の展開が起きる。
陽介「にゃ~」「にゃ~」「にゃ~ ハハッ(ミッキーマウス)」
同じことを田中圭もアドリブ(だと思う)でやらされる。
もしかしてこのシーン全部アドリブなのでは???日替わり小ネタ?
虹子さん役の小島さんがガチで笑っちゃって(声は出してない)、完全に客側に背中向けちゃってるのおもしろかったな…。そしてそれを茶化しにいく黒羽くんと、遠くでニタニタしてる田中圭。
月人と陽介のシーンすごく好きだった。なんか対等というか気兼ねなく思ってること全部吐露しあえる感じが。
虹子さんは、枯れかけたカーネーションを月人が描いてまた咲かせるのを見て最初は喜んでいたけど、枯れたカーネーションを見て「やっと枯れたんだね」みたいなことを言うところで、なんかウワーーッてなっちゃった。
だって月人は本当は死ぬはずだったものを自分の命を削って蘇生してるんだから、自然の摂理に反していることをしてるわけで…自分の命を使って誰かの運命を変えちゃってるんだよな~~。
月人と陽介は月と太陽という構図なわけだけど、陽介が月人を照らすわけではなく、月人が自分の力で陽介を照らす=月人の命を削って陽介に命を分け与えるふうになってるのはグッときた。
ていうかやっぱ虹子さんお母さんだったの……。
アーーーッそういうこと?????月人がずっと三日月だったの?????そうだったの?????輪廻転生奴!?
三日月が月人に「自分で命を絶ったら星子さんに会えない、辿り着くところが違うから」みたいなこと言ってたのも、三日月が以前月人だった時に自分で命を絶ったら星子さんに会えなかったから、そっちの道じゃないってことを言ったということ?
でも結局今世の月人も星子さんに多分会えなくて三日月になったから、次の月人にまた託したってことでいいんですか?
パンフのインタで「観た人によって違う作品になればいい」って言ってたから多分正解ないやつですね。
それぞれのバックボーンとか細かい部分が気になるところはあれど、話のテーマやモチーフ(タイムリープとか輪廻転生とか)は個人的に結構好きでした。
1回の観劇だと、やっぱストーリーの細かい部分とか考察するには色々足りないので、ただの初見感想でした。