season1-20 リディア・ザ・タトゥー・レディー
【前回までのあらすじ】
英語が喋れるようになれるようになりたくて米兵ご用達のストリップクラブでバーテンのバイトを始めた小橋。
英語は徐々に喋れるようになってきた。そのストリップクラブのオーナーは自由奔放で、恋愛禁止なのに自分だけお気に入りのクラウディアと付き合っていた。
40人いるダンサーの中で一番嫌いだった朝青龍似のダンサーにむかついていた小橋だったが、猫に餌をあげている場面に出くわしてからなんだか憎めない存在になった。
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ダンサーとの恋愛はご法度だ。オーナーを除いて。ダンサーはあくまでお客さんの為に存在しているもの。それを一店員が自分だけの物にしようとするなんて絶対にダメなことである。
だがしかし、僕は一度だけ、ダンサーに恋をしそうになったことがある。
その相手とはリディア。タトゥーが入っている笑顔がかわいい女の子だ。
ダンサーは40人程いるが、20歳だった僕からしたらほとんどのダンサーが年上だった。その中でリディアはただ一人の同い年のダンサーだった。実はそのリディアはオーナーの愛人クラウディアの妹だ。三姉妹で三人ともダンサーをしており、超がつくほどの美人姉妹。クラウディアは40歳ぐらいの美人お姉さん、次女のバーバラは28歳ぐらいのドストレートな美人。そして三女のリディアはザ・妹といっていい感じの女の子。三人とも凄く人気があった。
リディアは僕と同い年という事もあり、よく話しかけてくれた。あくまで友達という感じの会話。会話の内容も、薄い内容。だけど、僕からしたらそんなたわいのない会話をしてくれるリディアが嬉しかった。
昨日何食べたかとか、今日何食べたいかとか、最後に食べたいのは何かとか、あの人が食べていたものが美味しそうだったとか、明日何食べようかとか。
まじでうっすい会話。でも、なんだかそんな会話さえも楽しいのはみんなわかるだろう?
食べる事が大好きな子だった。おそらく十年たった今のリディアは激太りしてるはずだ。
リディアが僕に話しかけてくる理由は同い年という理由以外にもあった。オーナーの愚痴だ。
リディアにとって、お姉さんがオーナーと付き合っているから家にもたまにオーナーが来るらしい。家でのオーナーは普段のオーナーと変わらないらしく、すべてにおいて命令口調。そしてクラウディアとの情事の時の声は近所迷惑になるんじゃないかというでかさらしい。一度、オーナーの声しか聞こえなかったから一人でしているのかと思って覗いてみたらちゃんと二人でやっていたらしい。それほどオーナーの喘ぎ声はでかい。
僕、というか従業員全員オーナーの愚痴を言わせたら止まらないので、リディアとするオーナーの愚痴話は楽しくてしょうがなかった。
よく笑い、よく食べる天真爛漫な同い年の美女。好きにならないはずがない。だけど恋愛禁止のルールがあるから好きになるのをなんとか止めている、そんな状態だった。
そんな僕を、現実に引き戻した出来事があった。
ある日店に行くと、リディアが上機嫌だった。どうしたんだと聞くと
「ひ・み・つ♡」
という表情で楽屋に去っていった。かわいい。可愛すぎる。なんだひ・み・つ♡って漫画でしか見たことないぞ。どうせ後でもう一回聞いたら教えてくれるんだろう。その内容はどうせ美味しい物食べたとかそんな理由なんだろう。なんて可愛いんだ。
そしてリディアはバーにやってきた。ずっとニコニコ上機嫌だ。そしてリディアが僕に言ってきた。
「ねぇ、何があったか聞かないの?」
なんだよ。さっきはひ・み・つ♡だったのに、今度は言いたくてしょうがないんじゃあないか。なんて可愛いんだ。だけどここでどうしたのと聞くのはつまらない。僕は興味ないフリをした。
僕「聞かないよ。」
リ「もう、聞いてよ。お願い♡」
僕「じゃあ自分から言いなよ。」
リ「聞いてほしいの。ねえ聞いて。」
僕「しょうがないなあ。どうしたの?」
リ「ひ・み・つ♡」
僕「もうなんなんだよ。」
なんて面白くない会話だ。
でも当時の僕にとってはまるでリディアと付き合ってるような気分にさせる会話だった。
そしてリディアは言った。
リ「あなただけに見せてあげる。こっちおいで。」
そう言ってリディアは僕を誰もいないバックヤードに連れて行った。
何を見せてくれるんだろう。もしかしてリディアから告白されるのか?そしてらどうしよう・・・僕は店員だ。隠れてこっそり付き合うか?でもばれたらヤバイ。クビになる。でも愛は止められない。付き合いたい!
そう思いながらリディアの話を聞いていた。
リ「ねえ、これ見て。すごいでしょ!」
リディアはそう言い、おもむろに上裸になった。
正直リディアの上裸ぐらい見慣れている。だけど、これは話が別だ。ふたりっきりの状態で僕のためだけに見せようとしてくれている。この上裸は特別な上裸だ。思いに答えよう。
そして僕は普段とは状況の違うリディアのおっぱいを受け止めようと思い、しっかりとおっぱいに向き合った。
そして、僕の恋は覚めた。
リディアは、乳輪に太陽のタトゥーをいれていた。
嬉しそうに笑うリディア。今までは無邪気に見えていたその笑顔。無邪気を越して逆に邪気を放っているように感じた。
僕は、精いっぱいの苦笑いをして、バーに戻った。
そしてその夜、涙をこらえながら一人でした。
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