旅と仲間と

一泊二日の旅行に行ってきた。同級生二人とテーマパーク「志摩スペイン村」を堪能してきた。
宿泊する旅行は前がいつだったか思い出せないぐらい久しぶりな上、テーマパーク訪問は中学の修学旅行のディズニーランドが最後なので計画段階からワクワクしていた。
「少人数の友人達と遠出する」という経験は久しぶりどころか初めてで行く前は少々不安だった。旅行の最中も一人で遠出する時とは違う形容しがたい緊張感があったが、それでいて修学旅行のような圧がある忙しさもなく落ち着きと安らぎが旅全体を包んでいてとても良かった。揺り籠を壊さない事に神経を使うがその分守ってもらえる、みたいな感覚。自分以外にも自分の身を守ってくれる人がいる事の安心感は大きかった。

待ち時間含めて片道5時間半程。往復で11時間は移動に使っていてそれだけでかなり疲れた。そもそも準備段階で予約が必要な切符の種類、時刻表の確認と乗る時間、それらを買うための相談などやらなきゃいけない事が多くこんな大変なのか…と思った。学割等を諦めていれば旅行会社に丸投げできるのだが安さを取るにはそれなりに苦労が必要だと思い知った。
念入りに準備したおかげで疲れはしたものの移動に困ることがなかったのは今回の旅で明確に良かった点だと思っている。面倒ではあるが準備は本編より大事だ。今後も必要があれば怠らないようにしたい。

入村してからのことは特に決めていなかったため、行きあたりばったりで行動。𝒕𝒂𝒔𝒕𝒚でおなじみチュロスを食べた後、昼ご飯を食べながらとりあえずどうするかを相談。一日目は降水確率80%の雨予報で晴れ間が欠片もない曇天にも関わらず、絶妙に水気が無いという天気のおかげで何とも動きが決めずらくこれ以上天気が悪くなる前に屋外系のアトラクションを楽しもうということに。粗方目当てのものに乗った辺りで雨粒を感じ始めたが、まだ舞える!と幾つか回っているうちに強くなってきたので泣く泣くホテルへ。しかし二時間強ほどしか滞在していないと思うが物凄く満足度が高く既に満腹といった状態だった。

村内の様子だが噂に聞いていた通り人がいない。本当に人がいない。平日とはいえテーマパークがこれでいいのか?と思うほどに人がいない。メリーゴーランドは一日目動いている所を見なかったし、気球型のアトラクションは貸切だった。待ち時間が存在していることの方が珍しいし、「待ち時間20分」などと書かれていても実際は体感10分と待たない。写真は人ひとり映らず綺麗に撮れる。あまりにも人がいないものだから会話のネタがほとんど「人いないね」になっていた。だって面白いんだもんそれだけで。
そしてとにかく景観が素晴らしい。美しい街並みを再現した通り、白い建物に映えるカラフルな花々、至る所にある噴水と飾り皿。スペインへの愛をこれでもかとぶつけてくる様には感動した。曇天だったのがひたすらに残念だ。

隣接したホテル内の様子も村内とあまり変わらなかった。人がいない。あんなに静かで広いエントランスは初めてだ。少し不安さえ覚えた。そしてめちゃくちゃ綺麗。室内にも噴水がありヨーロッパ風の柱やアーチが大量に聳え、自動で音色を奏でるピアノの奥の一面窓越しに広く整えられた中庭が見える。
チェックインを済ませて部屋へと向かう。広い。どれだけ歩かせるのか。確かにルートを間違って多少遠回りをしたがにしても広い。一テーマパークのホテルにしては規模が大きすぎないか。そして誰ともすれ違わない。変な時間でもないのに。
二時間ほど時間があるので夕飯前に大浴場に向かうことにした。冗談抜きに今まで見てきた大浴場の中で洗い場が一番大きかった。宿の大浴場にしては珍しくジャグジーまでついていて感動した。そして人が沢山いた。村内よりも人口密度は高かったように思う。
夕食は日本料理のコース料理。翌日の朝食はバイキング。どちらも美味し過ぎるがあまりつい食べ過ぎてしまった。三重の特産品を使った日本料理とスペイン村ならではのスペイン料理、両方楽しめるのが良かった。大満足。

二日目は雨がより強まると思っていたがそんなこともなく雲の切れ間も見えるような天気だった。それでも風が強く雨は相変わらずパラついていてパレードが中止になったりしていたがまだ快適に移動できた。遠足か修学旅行か小学生らしき少年少女を多く見かけ、一日目よりは待つことが多かったがそれでも待ち時間は少なく回りやすかった。
朝飯を食べ過ぎたせいかみんな口数が少ないのが印象的だった。疲れも溜まっているから一刻も早く寝たいけどもうずっと帰りたくないみたいな雰囲気になっていたような気がする。

基本自分は受動的に過ごしていたように思う。大まかな骨組みこそ立てたが細かい所は他二人にほとんど任せきりだった。
それでも今回の旅が楽しくあったのは笑って傍にいてくれたからだろう。やりたいことができた幸せを共有できたからだろう。それだけで楽しくなれる。幸せになれる。共に過ごす人の大切さを今回の旅でより一層実感した。
とても楽しく実りある旅だった。旅に出る機会は日常ではそんなに無いが共にした経験は消えないし思い出した所で減るものじゃない。こんな幸せな関係を持っていられることに感謝して今後生きていきたい。


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