【論文解説】扁平足のインソール装着による骨盤・肩甲骨への波及効果
お久しぶりです
こば@kobakutsuです。
今回は、扁平足のインソール装着による骨盤・肩甲骨への波及効果について、J-STAGEに掲載された論文を紹介します。
そもそも扁平足とは・・・
足のアーチが低くなって足裏全体が地面に接する状態のことです。扁平足は、足の痛みや疲労、姿勢の悪化、膝や腰の関節障害などの原因となることがあります。
インソールは、足のアーチをサポートして踵骨の位置を調整することで、扁平足の症状を改善する効果が期待されます。しかし、インソールの装着が下肢だけでなく、骨盤や肩甲骨などの上位の関節にもどのような影響を与えるのか、十分に明らかになっていません。
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そこで、原崇之氏らは、大学生39名を対象に、インソールの有無で
踵骨傾斜角度
下腿踵骨角度
FTA(足首-膝-股関節の角度)
骨盤前傾角度
肩甲骨上方回旋角度の変化
をデジタルカメラで撮影し、画像解析ソフトで計測するという実験を行いました。被験者は、アーチ高率(足のアーチの高さを表す指標)によって、正常足群(NF群)と扁平足群(FF群)に分けられました。
その結果、以下のようなことがわかりました。
両群ともに、インソールの装着で踵骨傾斜角度と下腿踵骨角度が有意に減少した。これは、インソールが踵骨を回内位から中間位付近に誘導し、脛骨・大腿骨が外旋方向に移動したことを示している。
※ざっくり言うと、踵の骨の傾きが真っ直ぐに近づいた!
下腿踵骨角度は、インソール非装着時にFF群がNF群より有意に大きかったが、インソール装着時には両群ともに同程度になった。これは、インソールが扁平足の脛骨内旋を改善したことを示している。
※ざっくり言うと、インソールを使ったらスネが内を向いていたのが真っ直ぐ向くようになった。
FTAは、インソールの有無にかかわらず、両群ともに有意な変化はなかった。これは、インソールが足首-膝-股関節のアライメントには影響しなかったことを示している。
骨盤前傾角度は、インソールの装着で両群ともに有意に減少したが、変化量に有意差はなかった。これは、インソールが骨盤を後傾させたことを示しているが、扁平足の有無による差はなかったことを示している。
※おそらく運動連鎖に関係しています。ざっくり言うと土踏まずが下がるとスネが内を向き、太ももが内を向き、骨盤が前に傾きます。インソールで土踏まずが下がらないようにしたので巡り巡って骨盤が前に傾きにくくなった。
肩甲骨上方回旋角度は、インソールの装着で両群ともに有意に増加した。これは、インソールが肩甲骨の動きを改善したことを示している。
※難しい話をします。ここはスルーでOK
これは筋膜の話なのかもしれませんね!アナトミートレインでいうところの上半身の螺旋の繋がりと後ろの繋がりでしょうか。身体のひねり運動に関わる筋肉の繋がりで、足裏でクロスする前脛骨筋と長腓骨筋の繋がりは、脚の外側を通りお腹の前を通り、肋骨下部の辺りから後ろに通り菱形筋や前鋸筋といった首~肩甲骨に影響すると言われています。
土踏まず(足裏でクロスする前脛骨筋と長腓骨筋)を支えたことによる筋膜的影響かもしれません。
この研究から、インソールの装着が扁平足の踵骨の位置や脛骨の向きを正常足に近づけるとともに、骨盤や肩甲骨のアライメントにも波及効果を及ぼすことが示されました。
これは、インソールが運動連鎖の観点から下肢・骨盤・肩甲骨の関係性を改善することを意味しています。また、デジタルカメラでの計測方法が臨床現場で有用な測定方法であることも示唆されました。
この研究は、扁平足のインソール装着による効果を客観的に評価する貴重なデータを提供してくれましたが、一方で、以下のような課題も残されています。
被験者数が少なく、年齢層も限定的であるため、一般化できるかどうかは不明である。
インソールの種類や形状、装着時間や頻度などの条件が明らかにされていないため、インソールの最適な選択や使用法については不明である。
静止立位時の変化だけでなく、歩行時や動作時の変化も検討する必要がある。
インソールの装着が症状や機能にどのように影響するか、長期的な効果や副作用はどうかなど、臨床的な評価も必要である。
以上のように、扁平足のインソール装着による骨盤・肩甲骨への波及効果について、掲載された論文を紹介しました。
※今回の論文はこの「世界一わかりやすい 筋肉のつながり図鑑」を見るともっと理解が深くなるかも。優しく分かりやすく書いてあるので結構おすすめ!
ざっくりまとめ
インソールを使うと、骨盤が前に傾かなくなり肩甲骨が動きやすくなった!でも、実験した人は少ないから絶対こうなるかは分からないよ。あと、これは運動連鎖が関与していそう!
いってらっしゃい! 😄✨
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