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図解でポン!!(第1回「図解とは」)

ストーリー

~図解に目覚めた文子さん~
文子(ぶんこ)さんと図一郎(ずいちろう)くんはどこにでもいる高校生。この2人の何気ない会話からこの話は始まる。

「最近、タイトルに
”図解”ってつく本が目につかない?」
「うん、本屋に行けばよく平積みされているし、検索してもAmazonでも2004年当時の7250件から今は30000件以上ととすごい量がひっかかるよね。“図解”で説明することが、注目されてきているんだ。」
「それってどういうこと? 図解なんて学校では習わないし、何か物事を説明するには文章が一番だと思うんだけど・・・」
「確かに国語や小論文の時間には文章の書き方を習うけど、それって「読ませる」文章のことだよね。でも、場合によっては「読ませる」文章より「見せる」文章が必要なこともあるんだ。」
「「見せる」文章って?」
「例えば、この「世界各国の気温」の数値データを見てごらん。」
世界各国の気温
「ロンドン、ニューデリー、シドニー、東京の順に、各月の気温が羅列されているわね。でもすごくわかりづらいし、こんな風に表現する人はいないんじゃない?」
「確かにそうだね。じゃあこれはどうかな。」
世界各国の気温(表)
「かなりわかりやすくなったわ。行(横)を見ればある月の各都市の温度がわかるし、列(縦)を見れば、その都市の各月の温度がわかる。さらにここでは東京を網掛けすることによって強調しているわね。」
「そうだね。表を使った表現で随分整理されたよね。でもデータの傾向を一目で理解するには本当に最適かな? 例えば、東京とシドニーの気温の推移の特徴ってすぐにわかる?」
「東京とシドニーねえ・・・(しばらく表を見てデータを比較する) 表を見てみるとシドニーの気温が高いときは東京は低く、シドニーの気温が低いときは東京は高くなっているわね。」
「う~ん。確かにそうだけど、これを見るともっとよくわかるんじゃないかな。東京とシドニーは正反対の動きになっているね。北半球と南半球では季節が逆だから、気温の動きも逆になっていることがすぐに読み取れるよね。」
世界各国の気温(グラフ)
「これが図解っていうことなのね。必要性が少しわかった気がするわ。」
「それは嬉しいな。今はわかりやすい例として数値情報を“数値→表→グラフ”と変えていったけど、文章情報を“文章→箇条書き→チャート”と変えていくことも重要視されているんだ。これからも時々図解のメリットについて話していくよ。」
「ありがとう。表現手段が広がっていくのがとても楽しみだわ。」

(第2回目に続く)

解説

~なぜ図解は便利なのか~
そもそも図解が注目されているのはなぜなのでしょうか?
それは、図解表現には文章表現に比べて以下のメリットがあるからです。

-図解のメリット
・すばやく伝えられる
・理解しやすい伝え方ができる
・印象に残りやすい

文章で表現された内容を理解する場合、一つ一つの文の意味するところを理解しながら最後まで読み進んで全体を把握しなければなりません。しかし、図解による表現を用いると一目で全体を把握させることができます。

私の授業(情報と数学)でも生徒に対して短い時間で端的に説明すべき場合が数多くあります。また大学でのゼミ発表、社会に出てからのプレゼンテーションなど、そのような機会は実にたくさんあるのです。(パソコンを使用してプロジェクターで説明することが多くなってきたことも、その背景にはあります。)
下の例を見てみましょう。これは私がコンピュータールームの使い方を授業で説明したときに使ったスライドです。

【文章】
【箇条書き】
【チャート】

【文章】のスライドはさすがに使いませんでしたが、【箇条書き】にしたスライドを使って最初は説明していました。

【箇条書き】のスライドは紙のマニュアルとして各自読んでもらうには適しているかもしれませんが、授業で簡潔に説明する際に使うスライドとしては適したものではありませんでした。

そこで【チャート】形式のスライドに変更したところ、内容が一目でわかるようになっただけでなく、以下の2つの点を明確に示すことができるようになりました。

・毎回必ず行う作業は4つのステップ
・初めて利用する時には、必ず“パスワードの変更”を行う

ここで、図解の種類をまとめると下記のようになります。

-図解の種類
1. 表・・・「文章情報や数値情報をマトリックス(行列)に表現したもの」
2. グラフ・・・「数値情報をビジュアル化したもの」
3. チャート・・・「文章情報をビジュアル化したもの」

人によって図解の捉え方は違いますが、この連載では「3」のチャートで表現すること、つまり「文章情報をビジュアル化すること」を図解化することとして、「図解化のコツ」、「図解を授業でどのように教えていくか・どのように活かすか」について解説していきます。

注)“グラフ”の一部も“チャート”という表現をする場合がありますが(円グラフをパイチャートなど)この連載では上記のような定義をします。

課題

「下のスライドを図解化してみよう」

何はともあれ図解をしてみましょう。
図解化のコツは幾つかありますが、詳しいことは次回解説しますので、今回はともかくチャレンジしてみてください。

ヒントをいくつか出すと・・・
1)キーワードを抜き出してみる
2)グループを作る
3)構図を考えて、タイトルをつける
などです。

第1回課題

次回は「第1回課題」の回答例について解説していく中で、図解化におけるキーワードの選び方やグループ分けの手法について学習します。
それでは。

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