自分の中の鎖国と人生の充実

 江戸時代、様々な理由があったにせよ幕府の方針で、我が国は鎖国状態だった。明治維新以降、特に西欧列強に追いつけ追い越せ!と、鎖国時代の遅れを焦って取り戻そうとして失敗したという捉え方も多く、鎖国は、どちらかというと負のイメージが多いと思う。
 しかし、日本の歴史を見ると江戸時代は、日本の中でも特に優れた文化が華開いた時代であり、今も世界の人が日本に対する憧れやプラスのイメージを抱く代表的な日本文化は、江戸時代に生まれたものが多い様に思う。結果論かもしれないが、江戸期に日本文化が華開いた要因としては、①日本人が一万年以上続いた縄文文化という基底文化とも言える文化的素地を備えていたこと、②日本人が、世が泰平であることの有難たさををしっかり享受しつつ、平和を維持する為には不合理、非効率な世の中の仕組み(封建制度、参勤交代、あえて橋を作らないなどなど)を甘受したこと、③利益目的の外国勢力の影響を排したこと、④日本が六十六のクニに分かれていたものの、それぞれのクニが、独自の努力で多様な文化を生み出しつつ、参勤交代等で交流が生まれ相互に発展していったこと等が考えられると思う。
 一方で、現代はどうか。平和を望みながらその為の代償を払うこと無く、便利さ、効率性のみを追求する。私は転勤族だが、日本全国、どこに行っても大型ショッピングモール、電化製品の店、フランチャイズの飲食店などなどがあり、時々、あれ?今どこにいるんだっけ?と思うことがある。何かその土地ならではのものを求めようとすると、江戸時代発祥の精神や物となることが多い。食べて、寝て、排泄するだけなら、全国どこに行っても同じ様な街並みは便利ではある。しかし、そこに外国人が憧れを持つ様な日本文化はあるのか。
やはり、先に挙げた条件が揃っていることが前提ではあるが、国も個人も、熟して成長する為には、一定期間の鎖国状態が必要なのではないだらうか。特に、望まない情報が大量に流入してくる今の時代、強制的に自分幕府が自分に鎖国を命じることは必要なことだと思ふ。
 ということで、まぁ実際は、ということでもないのだが…年末年始は、特に誰とも会わず、会うのはzoom(長崎の出島のつもり)で、自分の中でプチ鎖国をすることにした。その為にネット環境、スマホからなるべく離れる。そして、しっかり自分と向き合う。自分史上最高の文化が熟成するのが楽しみだ。年明け、泰平の眠りから覚めた時に慌てて失敗はしない様に気をつけつつ…

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