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スパイに共感してしまう?一級品のエンタメ「楽園の犬」を読んだ

みんなのフォトギャラリーから画像をお借りしました。

有隣堂のYouTubeで「芝選書」として紹介されていました。
一言で言うと、とても面白かったです。

開戦直前、しかも主人公はスパイということで、どうなんだろう?面白いには違いないけれど、現代の感覚で主人公の気持ちが理解できるだろうか?と疑問だったのですが、そんなことはない、むしろ、主人公の感覚は現代のわれわれの感覚、価値感に近いように感じました。
むしろ私としては、主人公に肩入れしすぎて、途中いろいろとつらかったです(ピンチになるたびにドキドキしすぎました)。

主人公麻田は、学歴も高く優れた能力の持ち主ですが、喘息持ちのため、うまく仕事が見つからず、妻子を日本に残して、南の島へスパイとして赴任することになります。
麻田が置かれた環境は、まさに逆境そのもので引き返すことも難しい。そんな中で一人の人間としてどうふるまうのか。環境は選べないけれど、生き方は自分で選ぶんだということがエンタメでありつつも重要なテーマとして私の中に迫ってきました。

納得できなかったのは、因果応報という言葉を麻田が口にしていること。
そこはそうじゃない。と思ってしまった。(麻田、頑張れと私が思いすぎだっただろうか)麻田、君は立派だったじゃないかと。

とにかく、最後の最後までスリリングです。
ネタバレになってしまうから言えないけれど、アレがまさかこうなってしまうとは・・・。
しかし、悲惨であるとかではなく、強いて言えば全体を流れるのは空虚感かな。これは南の島が舞台であることと関係があるように思いました。

以上です。

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