川上未映子の『夏物語』をどう読むか⑯ 夏の扉
八月三日に仙川が死んだ、と遊佐から電話で知らせてきた。癌だった。夏子の唯一の理解者(?)が死んだ。
遊佐の誘いを断り、夏子は「簡単なもの」を作ってそれを食べた。
なんだそりゃ? 簡単なものなんて食い物がこの世にあるか?
夏子は仙川さんのことをあれこれ考える。まるで作家か死ぬまで本を買わない読者のように。
夏子は逢沢のことを思う。そして突然「わたしは本当に逢沢さんとセックスができないのだろうか」と言い出す。
何しとんねん。仙川さんが死んだのに。ここはそういうことのためにつかうものではないと夏子は思った。
久しぶりの緑子からの電話はいたちの話だった。
夏子は新幹線で大阪に帰る。ペットボトルの水を飲んでおにぎりを食べる。
逢沢から電話がかかってくる。逢沢は今大阪にいるという。そして三十分だけ会いたいという。
この章はこれだけ。
やはり十五章が詰め込み過ぎだった。
所謂緩急をつけるというやっちゃ。
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