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夏目漱石は何が凄いんじゃ?

 ベートーベンは何が凄いのかということがテレビでさらっと解説されていました。それを仮に夏目漱石でやってみるとどうなるでしょうか?

①『吾輩は猫である』の古今東西の知識に根差した機知とユーモアが凄いんじゃ。

②『坊ちゃん』のキャラクターの立て方が凄いんじゃ。

③『草枕』の「冒頭の掴み」が凄いんじゃ。

④『三四郎』の濃密な大学生活の書き方が凄いんじゃ。

⑤『それから』の高等人種のクズっぷりが凄いんじゃ。

⑥『坑人』のさも見て来たかのような書きっぷりが凄いんじゃ。

⑦『行人』の女房を疑う悩みの救いのなさが凄いんじゃ。

⑧『こころ』の先生の心の闇が凄いんじゃ。

⑨『道草』の養父への厭味が凄いんじゃ。

⑩『明暗』の昔の女への執着っぷりが凄いんじゃ。

……程度な俗なものができあがるのではないでしょうか。一応夏目漱石作品について言われているマス・イメージを勝手にまとめるとこんな感じかなというところでまとめてみました。いわばゴマすりですね。こんなものは文學ではありません。学歴、人気、人望、岩波書店との関係性、教科書収載、全集の充実ぶり、文庫本の売り上げ、……。こうした外側の要素も文学ではないでしょう。

 私の「夏目漱石は何が凄いんじゃ?」はもうちょっと乱暴なものになります。

①『吾輩は猫である』の「大和魂の歌」と「静岡の話」が凄いんじゃ。

②『坊ちゃん』の延岡が山奥なのが凄いんじゃ。

③『草枕』の「入浴シーン」が凄いんじゃ。

④『三四郎』の徹底的に隠すところが凄いんじゃ。

⑤『それから』の眼球から色彩を出すのが凄いんじゃ。

⑥『坑人』の「文学論・認識論」が凄いんじゃ。

⑦『行人』の構成が凄いんじゃ。

⑧『こころ』の乃木静子殉死批判が凄いんじゃ。

⑨『道草』の設定が凄いんじゃ。

⑩『明暗』の二人の小林が凄いんじゃ。

 ……こう言われて、「はてな?」の人が殆どではないでしょうか。ちょっと軽い書き方ですが、改めて漱石作品について考えてみたいという人がキャッチできないかなという下心もさしてなく、ただ思い付きで書いてみました。失礼。














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