幼帝の御運も今や冬の月 え? 四十二、三歳になってない?
夏目漱石の俳句に「幼帝の御運も今や冬の月」というものがある。明治二十八年の句である。明治二十八年と云えば下関条約が成立した年だ。以後列強による清国の分割が始まる。明治二十八年の冬の様子が今一つ明確ではないが、ここで漱石は幼帝として薩長に担がれて即位、日本の近代国家への歩みの中心として活躍してきた明治天皇の運がいよいよ怪しくなったぞ、と見てはいないだろうか。
明治二十八年には明治天皇は既に幼帝ではない。ええと、確か明治天皇は元服して即位したので、計算上は既に四十二、三歳になっていたのではなかろうか。つまりこの表現は大人を子ども扱いする揶揄いでもあり、「幼帝として薩長に担がれて即位」したことをいまだに念押しする態度でもある。
こうした俳句を見ても漱石の明治政府・明治天皇批判の姿勢は明らかだろうと思うのだがどうなのだろう。漱石の俳句など、今更読むことがそもそも違法なのだろうか?
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