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三島由紀夫論2.0

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2022年11月の記事一覧

芥川龍之介の『少年』をどう読むか⑤「幻燈」

芥川龍之介の『少年』をどう読むか⑤「幻燈」

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幻燈 自ら用意した光源で玩具箱を照らしそこに世界を創造すること、これは三島由紀夫が語る自身の創作世界の成り立ちそのものである。

 『電燈のイデア』と題された短いエッセイの中で、三島由紀夫はこんなことを語っている。曰く彼は童話の本を組み立てて宮殿を作る。宮殿には天井を作らない。そして電燈で照らし、その宮殿を支配する。電

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谷崎潤一郎の『卍』をどう読むか④ お乳でも揉ませてもろたらどないやねん

谷崎潤一郎の『卍』をどう読むか④ お乳でも揉ませてもろたらどないやねん

えらいしつこいで 谷崎は「卍」というやんちゃな題名をどうやって思いついたか……ということは作品を読みつつ常に意識しておかねばならないことだろう。谷崎は題名の名人ではないが、『あくび』や『秋風』など題名の意味が解らないと落ちが見えない作品も書いている。いやそれにしてもこれは奇妙な題名なのだ。谷崎潤一郎生誕の地を訪れた時、

 この履物をはこうとしているお爺さん……は関係なくて、このお寺の卍を見て、ま

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