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2ヵ月で美術検定2級に合格した話

とっても今更ですが、2023年12月27日に合格発表があり、美術検定2級合格しておりました!!
ボーダーギリギリでしたが、無事合格できてホッとしております。


ここで私のスペックをおさらいです。

・世界史を勉強したことがない(理系)
・美術は好きだけど偏っている(版画と現代アートばっかり)

そんな私が、何を使って、どれくらい勉強したのか? 本番の試験、実際どうだった?などなどを書いておきたいと思います。

美術検定は割とマイナーな試験で、受験者の情報がとにかく少ない。
勉強方法が「まず敵を知る」タイプの私からすると、かなり不安でいっぱいでした。
なので、これから受験する誰かのヒントになったらいいなぁと思い、ここに私が行った勉強方法を残しておこうと思います。

1.勉強時間

タイトルにもありますが、「約2ヵ月」で試験に臨みました。
かなりギリギリの戦いだったので、みっちりと詰め込みました。

平日:約3~4時間 × 週3 or 4日
土日:約3~4時間 × 週2日
合計すると、週15~20時間くらいですね。

平日は仕事終わり17~21時くらい。
リモートワークの日をメインに勉強していました。
場所はドトール・マックが多かった
(安い&コンセントがある)(ドトールはたまに割引チケットもらえます)

土日は、図書館に3~4時間くらいこもりました。
時間的には多いですが、頭がオフモードに入っているので平日の方がはかどった印象です。

なので、合計時間としてはかなり多いと思います。
2ヵ月で100~150時間はやったと思います。

※参考に、他試験の平均勉強時間数を調べてみました。
簿記3級:150~200時間
ITパスポート:100時間
FP3級:30~120時間
(これだったら簿記3級とれるじゃんと思いつつ、好きだから150時間もできたんだよなという感想)

それでも正直範囲はギリギリでした。
1ヵ月ちょいでやっと西洋美術史が終わって、日本美術は気合で終わらせました。
(ただ本番の試験は西洋美術の難易度が高い傾向にあるので、結果としてこのボリューム配分でオッケーでした。このあと詳しく書きます)

勉強しながら興味が湧いて「もっと詳しく読み込みたい!」という部分を飛ばしてしまったのは、少し後悔しています。
2級は知識も応用も一歩踏み込んだ問題が多く、丸暗記だと太刀打ちできないので、深く考える時間が必要だと思います。
(逆に言えば3級は知識メインなので、150時間やれば絶対受かると思います。)
なので、勉強機関としては半年くらい、時間と心のゆとりをもって勉強する方がベターだと思います。

2.勉強方法

次に「どんな方法で勉強をしたのか?」です。

基本的には各時代ごとに、
① 3級の問題を解く → ② 参考書を自分の言葉でまとめる → ③ 2級の問題を解く
のサイクルを繰り返しました。
(これに加えて、暇さえあれば山田五郎さんのYoutubeを見ていました。後述しますが最強です。)

まずは基本の勉強から詳しく説明していきます。

① 3級の問題集を解く

まず何も勉強していない状態で3級問題集を解きます。
目的は以下2つです。
・その時代の概要を知ること
・自分が何を知っていて何を知らないのか?(現在地)を知ること
(ほぼ×で打ちのめされて落ち込むまでがセットでした)
これを事前やることで、② の精度と効率が上がったと思います。
※使用した問題集はこちら ↓


② 参考書を自分の言葉でまとめる

この部分は、正直好き嫌いあると思います。
私は手で書いて思考を整理したい派なので、参考書を読みつつ、自分の言葉でルーズリーフに書いてまとめていました。

しゃしん

「なんで書いて整理する必要があるの?」という部分を説明します。

何が一番苦労したか&そして分かりにくいかったかって、美術史の各時代の区分なんですよね。
世界史を勉強した方なら分かるかもなのですが、「○○時代が終わりました!」「ここから△△時代です!」みたいではないので、厳密にやろうとすると撃沈しました。
(そら「西洋美術史」なんだから、色んな場所で色んなことが起きて当たり前ですね。その点日本美術は比較的分かりやすい。)

とはいいつつ、ひとまずは各時代ごとに区切って勉強していました。
参考書だとざっくり時代ごとに分けてくれているものも多いので、まずはそれに従って、「これはどういう時代なのか?」という特徴をつかむようにしました。

あとは師弟関係や友人知人、リスペクトマンが多すぎる
のちの○○に影響を与えすぎ&与えられすぎです。
この関係は時代を大きく跨いだりするので、見て覚えるよりも書いて整理が一番かなと思います。

他には万博や展覧会も大量に出てきます。
これはスマホでカテゴリごとにメモしてました。
(長くなるので、リスペクトマン含め別記事にまとめます)

ということで、私は一度書いて整理をする(自分の中で関連付ける)のをおすすめします。

参考書は2冊をメインに使っていました。
公式テキスト(各時代の説明があるもの)
分厚いカラーの本(作品のカラー写真が多くあるもの)

勉強しながら結構これ大事だな~~と感じたのが、実際の作品を見ることです。
というのも、説明文「○○という特徴があり…」って言葉を読んでも、なんやねんそれ…となるだけで、全然イメージがつかないんです。
そして文字から想像するよりも、見た方が断然早いです。
(興味がある時代なら多少分かるかもですが、少なくとも私は印象派くらいしか想像できませんでした。)

もちろんですが、すべての作品を実際に鑑賞することは不可能です。
なので、カラーかつ大きな写真を見ることで、特徴をつかみながら勉強を進めました。


③ 2級の問題集を解く

ここまできたら、ざっくりとその時代の知識が入っている状態なので、2級の問題集を解きます。

すると、大体撃沈します。
まず3級と2級で問題のつくりが全く違います。
3級は基本一問一答形式ですが、2級は問題文があって下線部があって空欄があって…といったような形です。
(3級は小テスト、2級は期末試験のイメージ)
なので、単なる知識だけだと解けない問題ばかりです。

でも、事前に①②をやっていることで、「なんの話をしているのか?」ということはかろうじて分かります
(ここ、超重要だと思ってます。一つも分からないという状態だとへこみまくって帰ってこれなくなります)

とりあえず答えてみて、解答と解説を見て、ふむふむとまた新しい角度からその時代を知ります。
そして新しく出てきた事柄があれば、②のルーズリーフに追記しました。

※使用した問題集はこちら ↓


④ 問題集を解き直す

①~③をすべての時代で終えたら、また、①からスタートします。
3級の問題集を解いて、間違えた箇所を参考書やルーズリーフで確認、2級の問題集を解き、また参考書やルーズリーフで確認。
その繰り返しでした。

試験直前(大体1週間前)になると、もう深い考察や派生知識を知らべている時間はないので、ひたすら問題集で間違えたところをつぶしました。

※ただ正直、問題集にかじりついても同じ問題はほぼ出なかったですね…
ここは試験問題についての部分で詳しく話します。

3.勉強方法(+α)

ここまでは基本の勉強方法でしたが、他の時間でやっていた+α をお伝えします。

① 山田五郎さんのYouTubeを見る

これ、かなりおすすめです。
やる気が出ない日は、基本山田五郎さんの動画を見るようにしていました。

基本は1動画につき1人をフォーカスしているので、「この動画だけ見てたら受かる!」ということはほぼないと思います。
ですが、得られる知識がとんでもなく広くて深いです。
ただの絵の解説だけでなく、その方が生きた時代や流行宗教や哲学の知識まで教えてくれます。
(私はひたすらそれをスクショして、概要をメモしてました。)

あと、その方の有名作品以外も紹介してくれるのも、推しポイントです。
実際に2級を受けて分かったのですが、オンライン試験ということもあり、基本参考書にのっている「この人はこれを描いたよ!」で出てくる有名作品は出てきません。
なので「この作家は他にどんな作品を描いているのか?」を知ることが重要になってくるのですが、相当時間がかかるので、まずは山田五郎さんの動画を見ながら楽しく学ぶのがよいかと思います。


② 美術館に足を運ぶ

結局これが一番楽しいですし、記憶にも残ります(笑)
いくら写真を見ても、美術館に行く度に、本物の作品にはかなわないな~~と思うことが多々あります。

ただ、美術検定勉強中であれば、選ぶポイントとして「時代やジャンルを取り上げた企画展に行く」ことが重要かと思います。

個人的にですが、企画展には以下の大きく3つに分かれると思っています。
① 個人作家を取り上げた企画展(ゴッホ展など)
② 時代やジャンルを取り上げた企画展
(印象派展など)
③ 地域を取り上げた企画展
(スペイン展など)

こと「美術検定の勉強のため」に行くのであれば、②をおすすめします。
かつ、あまり範囲が特定されすぎていないものがベターです。
(例:「浮世絵展」よりも「戦後から現代までの日本美術」みたいなタイトルの方が〇)

というのも、美術検定は、古代から現代までの幅広い美術史が試験範囲です。
特に2級は、特定のジャンルをものすごく深掘りされる、という訳ではなく、「どういう流れでこの動きが始まったのか?」「そこに大きくかかわっていた人は誰か?」みたいな問題を問われるので、特定の詳しい知識よりも大きな流れをつかむことが重要になります。

私もプライベートであれば版画ばかり見ちゃいますが、これを意識して「古代ローマ展」に行ったことで、古代美術への理解がかなり深まりました。


4.2級の問題傾向

次に「実際にどんな傾向の問題が出たのか?」をお話しします。

もちろん問題そのまま載せるのはNGなので、ざっくりとした傾向です。
そして私の曖昧な記憶をたどって書いていることので、どうかご容赦ください(笑)

① 全体の傾向

<問題数>
西洋美術:6割、日本美術:4割

<難易度>
西洋美術:かなりハイレベル・有名どころは出ないと思った方がよい
日本美術:大まかな時代背景や有名どころを押さえておけばOK
活用問題:今現在、美術業界が抱えている課題についての知識が必要(法律系)

<問題量>
美術史:全体的にかなり多い。どんどん解かないと終わらない
活用問題:文章が長い。全部じっくり読もうとすると終わらない

総括としては「センター試験」と似た感覚でした。(※世代がバレますね)
今の「共通一次」がどうかは分からないのですが、「とにかく量をこなす」ことが求められる試験形式です。

ざっくり箇条書きした中でも、少し詳しいポイントをお話します。

② 西洋美術史の難易度について

繰り返しになりますが、西洋美術については「有名どころは出ない」と思っておいてOKだと思います。
特に知名度が高い作家に関しては、「他にどんな作品を描いたのか?」まで把握しておく方がベターです。

受験後にこの参考書を立ち読みしたのですが、結構よきでした ↓

また、作家以外も、「北方ルネサンスってどこ?」みたいな基本知識はほぼなかったです。涙
2級を受ける方は、こちらの参考書も見ておいた方がいいと感じました。

私も含め、西洋美術が好きな人が多いので、少しハードルを上げているのだと思います。
その点、日本美術はもう一段ハードルが下がり、基本知識が多いように感じました。
(3級だと「浮世絵とは?」、2級だと「この時代の有名画家は?」といった感じですかね)

③ 活用問題について

かなり厳しいです。
参考書にのっているレベルは出ないと思った方が無難です。
しかも1つ1つの配点が高いので、1問のミスが致命的になります。

試験直後にX(旧Twitter)で感想を見漁っていたのですが、「文が長すぎてそもそも読み終えられない」という方がちらほらいました。
普段本が好きで活字になれているのですが、たしかにそうじゃない方は、かなり厳しいだろうなという感覚でした。
美術史にも言えることですが、とにかく全体的に量が多いので、「分からない問題は飛ばす」が鉄則です。

また、求められる知識もレベルもかなり高いです。
普段から博物館法や公的機関の取り組みに対してアンテナを張っていることが求められる問題ばかりでした。
正直「これで落ちたら何を勉強すればいいんだ…」と思っていたので、ひとまずは安心しましたが、1級も2級も、小手先の対策は難しそうです。
※そして解説がないのが、またモヤモヤします。

「対策」という部分ではずれるかもしれませんが、基礎知識としてこの本を読んでおくと、書いてある内容が分かりやすいかなと思いました。


5.最後に

実際に0から美術史を勉強して、試験を受けてみて、「手も足もでない」という感覚ではなかったです!
3級であれば、もっとフランクに挑んでOKだと思います。

西洋美術はレベルが高いといいつつ、基本問題もきちんとあるので、取れるとこを落とさなければ6割はとれるのではなないかと思います。

また、全く世界史の知識がない状態で挑んだので、「高校や大学で学んでたよー」と言う方は、もっと勉強しやすいのだろうなと感じました。

※ちなみに公式テキストばかり紹介してますが、回し者でもなんでもないです。
美術検定側が「すべての問題はここから典拠しているよ!」という参考書があるので、そっちを使った方がいいかもです。


1つ前の記事でも書いたように、美術史を学んで世界が広がりましたし、ものの見方も大きく変わったように感じています。

決して安い試験料ではないですし、参考書のお金も買えばかかります。
しかも、取ったところで給料も上がるような試験ではありません。
それでも私は、受験後に「受かっても受かってなくても、勉強してよかった」と思えました。

少しでも悩んでいる方がいたら、ぜひ勉強してみてください。
その手段は、美術検定でなくてもいいと思います。

少しでも誰かの参考になれば幸いです!
また記事書きます~~~

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