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ウチの組織は何でいつも「検討事項」が宙ぶらりんになるの?

■ある日のこと

「めっちゃ良いアイディアを思いついた!早速実現に向けて動くぞ!」

そう張り切って企画書を作り、上司の根回しなども済ませ、会議にかける。

「うーん、ちょっとこれはなぁ。もうちょっと煮詰めた方が良いんじゃない?」

誰かの一言(主にそのチームの長)で決定が先送りされ、気付いたら1ヶ月が経過している。

そんな経験、ないですか?
うちだけですか?笑

きっと、意思決定のフローがしっかりしている組織や、会議の場が本質的な議論のできる環境になっている組織では、そんなことは起こらないのかもしれません。
ですが、うちでは頻繁に起こります笑

このnoteは、「なんでそんなことが起こってしまうのか」に対する僕なりの考察になります。

少しの間お付き合いください。

■議論は環境の設定が全て

「なんでいつも『検討事項』が宙ぶらりんになるの?」

その答えはズバリ、
「本質的な議論のできる会議の環境が整えられていないから」

例を使って説明します。

僕の働いている児童館では、スタッフから毎日沢山のアイディアが出ます。

「今度の企画ではカードゲーム大会をやろう」
「バスを貸し切って遠足にいこう」
「中高生が利用する部屋にゲーム機を設置しよう」
etc...

まずはそれらのアイディアを担当間で煮詰めます。

「ゲーム機」のアイディアを例に考えてみます。
導入にかかるコストは?利用者のニーズに合ってる?健全育成の観点からはどうなの?
導入に際して、メリットやデメリットを考慮した、様々な意見が出ます。

ここで一つ疑問が生まれます。
彼らは一体「何」を拠り所に議論を交わしているのでしょうか?
僕はこの「何」にあたる部分がすごく重要だと思います。

「何」に当てはめられる言葉はズバリ、「その組織の方針・ビジョン」ということになるでしょう。

「組織の方針・ビジョン」に関しては、各館で異なる部分なので、今回は例として厚生労働省が発表している「児童館の設置運営要項」に書かれている「目的」の部分をそこに当てはめてみます。

1 目的
児童館は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づく児童厚生施設であって、児童に健全
な遊びを与えて、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とするものであること
(平成2年8月7日厚生省発児第123号 各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知) ○第9次改正 (平成24年5月15日厚生労働省発雇児0515第5号)

「児童館は(中略)児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とするものであること」
それを「何」の部分に当てはめる。

すみません、ちょっと難しくなってきましたかね?

つまりまとめると、

「ゲーム機を中高生が利用する部屋に導入するべきか否か」

という議題を検討する際は、上記のように、その検討事項の大前提となる、「我が館をどのような児童館にしていくべきか」というビジョンをみんなが共有していないと成り立たないということです。

じゃないと、各々の価値観でしか発言できなくなります。
「僕はゲームが嫌いだから」
「私は中高生の頃ゲームをたくさんやったから」
「現代はゲームの時代だから」
など、発言に一貫性がなくなります。
そうなるとどうでしょう。
発言力の強い者、議論に強い者が会議の流れをかっさらっていってしまいます。

しかし、みんなが大前提として
「児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、情操を豊かにすることを目的とする」
という館のビジョンを共有していれば、

「僕はゲームが嫌いだけど、ゲーム中のお互いのコミュニケーションが各人の様々な表情を引き出し、『情操を豊かにする』という目的を達成できる」

など、感情や各人の価値観を保留にした、合理的な考え方ができるようになるのです。

もし上記のような「館の方針」が共有されていないとどうなるでしょう。
当然、トップダウンの意思決定フローにおいて、どうしても「館長」の発言力は強くなってしまいますから、「最終決定をくだすのは館長だ」というマインドをみんなが持ち始めます。
そうなると、議論における結論が「館長の価値観ありき」で決まっていくことが増えてきます。

そうなると、会議に参加しているメンバーはどう思うでしょうか。

「これ言うと館長嫌がるからな〜」

「どうせこの意見言ったって、気の強い〇〇さんに反論されるからな〜」

など、自分の意見を言うことに抵抗を覚えていきます。
そうなると負のスパイラルに陥り、会議が生きたモノではなくなってしまいます。
この負のスパイラルは、当然児童館に限らず色々な組織にも当てはまるでしょう。

■どうすればそれを打開できる?

まず最初に、会議をファシリテートする者(大抵はチームのリーダーになると思います)は日頃から、チームのみんなと「ビジョンの共有」をしっかりと行う必要があります。

「我が組織のこれこれのビジョンのもと、本会議ではそのビジョンに沿った意思決定をする」

その前提を共有した上で会議を始めると、各人の価値観に依らない合理的な意見が飛び交う会議になるでしょう。

会議が時間をかけて成長していけば、勝手に企画書の完成度や各人の提案力は増します。

全ては環境設定からなのです。

会議がしっかりと機能するようになれば、各人の「アイディア」はしっかり実現まで至ることができ、スタッフのモチベーションも向上します。
また、意味のある会議を重ねることでチームワークも向上し、利用者にさらに質の高いサービスを提供することができます。

一人一人が共通のビジョンのもと、当事者意識を持って働くようになれば、組織の「環境」は勝手に良くなります。
僕はそういう組織で働きたいと思います。

チームのリーダーに限らず、メンバー一人一人が組織の環境に影響を及ぼす力を持っています。

「ウチはもう手遅れだから」

そう諦めてしまう前に、微力でも自分にできることを考えていくことで仕事にやりがいを見出せるかもしれません。

みなさんの組織はどうですか?
是非自分の働く環境に当てはめて考えてみてください。

今日も読んで頂きありがとうございました!

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