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『僕は君たちに武器を配りたい』/瀧本哲史

 こんにちは。こばやしゆなです。今回は、若者が、残酷な日本社会を生き抜くための本です。「ブラック企業」や「就職ビジネス」という言葉はよく聞きますよね。そのようなことが書いてある本です。

瀧本哲史さんについて

 大学卒業後、マッキンゼー&カンパニーにて、主にエレクトロ二クス業界のコンサルティングに従事しました。独立後は、企業再生やエンジェル投資家としての活動をしながら、京都大学で教育・研究・産官学連携活動を行っています。

医学部が将来に不安を抱いている

 今の時代、医者が余っている状況に陥っています。私たちの中では「医学部」という言葉を聞いたら、「高学歴」「高い地位」「高収入」という三拍子そろった一生職に困ることはない安泰な人生を送れるイメージがあります。しかし、今の医学部の40%の学生たちは瀧本さんの「起業」についての講義を受けています。かつての高給な仕事の代名詞であった医師が、現在ではいわば「ワーキングプア」の仕事になりつつあるのです。このようなことが世界規模で起こりつつあります。

勉強と収入は比例しない

 「勉強をして努力をすれば幸せになれる」や「会計知識を習得すれば収入が上がる」と思う人は多いと思います。それについて瀧本さんは、「勉強(努力)と収入は比例しない」と言っています。それはなぜかを言うと、簿記や会計・医者は同様に、それ自身を勉強する人があまりにも多いため「人余り」の状況になってしまうからです。これが今の日本の現状なのです。今の事柄は、上記で説明した医学部の学生が将来に不安を抱いている理由とつながります。

勉強ブームの陰には「不安解消マーケティング」がある。勉強すれば大丈夫と安易に思う。

 現代の学生は、資格を取得することやTOEICで高得点をとることに必死になっている学生が多くいます。また、同じようにスキルを向上し、不安を解消している学生も多く存在します。そのため、学生たちは「不安解消マーケティング」に陥ってしまいます。しかし、マーケティングに陥ったところでどうすればよいのか分からなくなってしまう学生も多く存在している。それが今の一番の問題なのです。

上記の解決策は「コモディティ化にならない」ということです。

これからの時代、すべての企業、個人にとって重要なのは、「コモディティにならないようにすること」なのだ。

 同じ能力を持った人が何人も存在すれば、いつでも交代することはできます。そこで、自分にしかできないことを見つけること。つまり、代り映えしない労働力になることが個人のコモディティ化なのです。

就職ランキングが関係ない

 私たち学生が就活する時は、就職ランキングで「良い企業」「悪い企業」というようにランキング化・数値化されたものを見て判断して決めています。しかし、実際は40年前に「学生の就職人気企業ランキング」の上位を見ると、現在までに一度潰れている会社が多いのです。これは、日本を覆った規制緩和とグローバリーゼーションの波に耐えられなかった会社はみな倒産やビジネスそのものがコモディティ化して苦境にあえいでいることが分かります。

 中国や韓国、台湾などの国が高度に産業化する前の時代であれば、コモディティ商品を作っている日本企業も国際的な競合が少ないことから、その専門分野に特化することで業績を伸ばすことができました。しかし、その位置に安心し続けて、グローバル化が進む中で努力を怠った企業の多くは、商品がコモディティ化するとともに没落してしまいました。

一歩、二歩先を睨み、業態変更をした企業しか、生き残れない時代となっているのである。

と瀧本さんは述べています。このように常に視野を広げて経済状況を見ていかなければ、本当に生き残れないということを分からせてくれます。

人材流出現象が起こっている

 今、国内で「人材流出現象」が起こっている。大阪府を例に挙げると、大阪府は日本で最も生活保護自給率が高い地域です。これの原因は、優秀な人材が首都圏に出てしまい、稼ぐ力が少ない人の比率が相対的に増えたことです。このように、国内レベルで起きていたはずの「人材流出現象」が国レベルで起こり始めているのです。日本では、IT業界のエンジニアの人々が国内需要が減少し、余ってしまっています。また、こき使われているIT技術者たちが沢山います。

 しかし、アメリカや中国では、スキルを持ったIT技術者は人材不足の状況が続いていました。そこで、仕事を求められるエンジニアは日本に見切りをつけて、アメリカに移住することを決めることが多いと言われています。実際、日本では600万円程の給料のプログラマーでも、アメリカでは、1000万円くらい稼げるような状況にあることも移住する理由の一つです。

情報弱者になってはいけない

 瀧本さんは、「情報弱者の大衆から広くお金を集める」という手法を行っているのが金融業界と述べています。

 まず、投資会社は二つのタイプに分かれます。1つは、広く個人を相手に小口を商いする会社。2つ目は、特定の法人や信頼のおける個人とだけ高額の取引をする会社に分かれます。

 ここでお伝えしたいのは、一般の個人投資家向けに売られている金融商品は、「プロが買わないような商品だからこそ、一般人に売られている」ということ。つまり、一般個人投資家は、本当に儲かる投資先には、アクセスすることすらできない仕組みになっているのです。

 別の言い方で言えば、個人を相手に金融商品を売る会社にとって、一番ありがたい顧客となるのは「自分の頭で物事を考えない人」なのです。

FX(為替取引)はまさに、そういう金融ビジネスモデルの筆頭である。一言でいえば「中級階級向けパチスロ」と言っていいだろう。

と瀧本さんは述べています。確かに、FXは「投資」という言葉を詳しく知らない大学生が主に行っているイメージでした。私の周りの友達も実際FXをやっている方は多くいます。恐らく、ターゲットは大学生のような「まだ、投資について知らない」という人でしょう。

 このように、「情報弱者」なってしまうとターゲットに絞られてしまうことがあるということが理解できる内容でした。


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