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実家ごはんの思い出

実家の母は、家のごはんに静かなこだわりを持っている人です。
時代もあるのだろうけれど、お惣菜を買ってくることはほとんどなく、カップ麺もまずなし。
(なぜか袋のインスタントラーメンはアリだった)

子どものころ、年に1回か2回登場するカップ麺は、わたしの中では「レアなごちそう」だったし、父が泊まりで不在のときなど、母がたまーーに買ってくるお弁当は、母には申し訳ないけれど、「むしろ嬉しい!」という存在でした。

あの頃は、わたしが精神的に子どもすぎてよく分かっていなかったのだけれど、週5でフルタイムの仕事をしながら、日々手を抜かずにごはんを作り続けるって、すごいことだと思います。
母のごはんに対する意志の強さが、大人になってから理解できました。
(わたしは疲労が溜まると即座に手抜きします)

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さてその母が作るお弁当も、毎度ちゃんとしていました。
冷凍食品のおかずが入っていることはほとんどなく、高校生が満足する程度のボリュームもあって、日々美味しく食べていたものです。
汁っぽい煮物を入れるのだけはやめてほしかったけれど。

お弁当のボリュームを演出するのは、やはり揚げ物。
みんな大好き!から揚げや、各種フライ。とんかつ。
それらに交じって、頻繁に登場したのは「天ぷら」でした。
お弁当に入れるのだから、カラっとした食感なぞ初めから諦めています。
そこで母は、揚げた天ぷらをあまじょっぱい天つゆ(というよりタレ)で絡めてお弁当に投入していました。

見た目はアレかもしれないけれど、これがとにかく美味しい!
なんといっても、甘じょっぱい揚げ衣は、ごはんに合う。
揚げ物としてのボリューム感もあって、高校生の胃袋は満たされていたのでした。
これはきっと母の思惑どおりだったことでしょう。
すっかり乗せられ転がされていた高校時代だったのでした。

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さて、この話を夫にしたら、「え、お弁当に天ぷら…?しかも甘じょっぱタレに絡めて…?」と微妙な反応でした。
美味しいんだけどなぁー。と思いつつ、夫の家の価値観では「ちょっと貧乏くさい」という感じなのかも?と理解。
価値観の押しつけは良くないと、それ以上話題にすることもありませんでした。

そんなやり取りがあったことも忘れていたのですが、先日お出かけした際に立ち寄った産直にて、お惣菜を物色していたら、ものすごく実家テイストの天ぷらが売られていたのです。
にんじんだけのかき揚げと、さつまいもと、ちくわ。そして時間が経ってしっとりした揚げ衣。

こ、これは!ひさびさにやりたい…!
ということで、やってやりましたよ。

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今回のタレは、纏わせる分量、やや控えめ。
でも、なつかしい実家の味を久しぶりに堪能し、すっかりノスタルジックな気分になっていたのでした。
お母さんの味って、永遠に原点なんだなぁ。
でも、これを「美味しそう」と思わない夫の価値観も、きっとおかあさんの手によって培われたもの。
まぁいっか、あたしが美味しければいいのだ。とひとり悦に入っていたのでした。

ちなみに、お皿に同居しているおにぎりはレンジでチンするあれです。
この辺に母の価値観が組み込まれていればなぁ。

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