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4360万円誤送金から考えるシステム開発

4360万円がなぜ起きたのかの概要が明らかになった(2022/5/20時点情報)。
↓ リンク先は1月もすれば消えるだろう

誤送金に至った経緯

  • 本来は振込先と金額が記録されたフロッピーディスク(以下FD)を銀行に渡すのみ

  • しかし新任の担当職員が銀行に提出する必要のない「振込依頼書」を提出

  • 振込依頼書は上記データを作成するとシステムにより自動で印刷される

  • 振込依頼書には振込合計金額10万円 x 463世帯=4630万円と、名簿の一番上の人の名前だけが記載される仕様

  • 銀行は振込依頼書に従い名簿の一番上の口座に4630万円振り込んだ

直接的原因

  • 新任職員が「振込依頼書」を提出する必要がないことを知らなかった

間接的原因の仮説

  1. 必要のない振込依頼書の作成した( (1)か(2)かは特定できず )
    (1) 操作を誤り「振込依頼書」を作成した
    (2) FDに記録するデータを作成すると自動的に「振込依頼書」が作成される

  2. 組織としてのチェック体制の不備

  3. 振込方法
    インターネットバンキングを利用していれば発生を防げた
    ※ 他の問題が起こる可能性はあるが

考察

ここまでまとめて見ると新任の担当職員の能力に原因があると言うよりは、組織の管理体制とシステム運用体制に問題があると考えられる。

学び

何を目的にシステム化するか?と言う問いを与えてくれる。

多くの企業・自治体で往々にして失敗するパターンが「アナログをそのままデジタル化する」である。

本来は解決すべき課題があり、それを実現するためのデータを設計し、そのデータを収集・処理するインタフェースとしてアプリが必要であればアプリを、紙が必要であれば紙を使えばいいのである。

漠然と「アナログをデジタル化して業務効率アップ」と言うアプローチでは、表面上は仕様を満たしたシステムが出来上がるが、使い勝手が悪く業務とのミスマッチが発生しそれを人の手で埋める、と言う日本の伝統工芸品を作ってしまいがちである。

そしてその人がいなくなった際に今回の様な悲劇が起こるのではないだろうか。

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