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〈Blender〉モデリング初心者が女の子を作って動かすまでの備忘録 #2 【下絵準備2】

今回はBlenderに下絵を取り込んでいきます。今回記事で使用しているBlenderは2.83.2ですが、編集時の最新バージョンである、2.93LTSでも同じ手順で行えます。

[記事の更新]
2021.8.4 

下絵の挿入・全身絵

私がモデリングを始めた2.79と、2.8~では下絵の見え方の仕様が大きく変わっています。

2.8以降はどの視点からも下絵を見ることができたり、下絵をパースがつくように見ることが可能になりました。一方2.8以前では、斜め視点やパースビュー(透視投影)では下絵は見えないようになっていました。

2.8以前の仕様の方が日本アニメ風キャラモデリングをするのに適しているため、そのように設定していきます。
日本アニメキャラ特有の文化というか見え方なのですが、パースがきつい状態ですとリアル寄りになってしまい、イラスト調には合いません。(理由は後述)

まずテンキー5→テンキー1と押下。テンキー5を押すことでモードが平行投影になり→テンキー1を押すことで前視点になります。

視点ごとのテンキー(モデリング時、多用します)
以下のテンキーを押すと、その角度ぴったりにカメラが切替わります。
1:正面(フロント)
3:横(サイド)
7:上(トップ)
9:その視点の逆側
2,4,6,8:それぞれの角度に等間隔で回転

画像1

画像>参照で取り込みます。現在フロント視点なので、正面のボディ絵を追加します。

画像2

この状態では特に設定をしていないため、視点をグリグリしてもずっと絵が見えます。

先述した通り設定を以下の通りに変更していきます。

画像3

プロパティから「軸に平行な時のみ表示」をONにします。続いて「透視投影時に表示」をOFFにします。

同じ要領でテンキー3を押下してサイドビューにし、全身横の下絵も追加します。

下絵の追加・顔

取り込み方は一緒です。下絵が2枚重なってしまうのでどちらかの下絵のプロパティから「アルファを使用」にチェックを入れ、半透明にして両方表示します。

画像4

ポジションとスケールを合わせます。 

続いて横顔を取り込みます。Z位置とスケールを前顔と同じになるようトランスフォームをコピーします。

画像5

サイドビューにし、横顔と全身横のポジションを合わせます。

[やや重要]下絵の設定方法から考えるモデリングのパース

少し技術的な話になるのですが、なぜ2.8以前の設定にしたのか。
今後モデリング全体を通して大事な話かもしれないので、ぜひ読んでいただければと思います。

但しこれには賛否両論あり、正しい方法がこっちという結論はないため、「なるほど」程度に解釈して頂ければと思います。

まず3DCGソフトはビュー表示を「透視投影」「平行投影」の2種類のモードに切り替えられます。
「透視投影(パースペクティブ)モード」は、オブジェクトにパースが掛かる状態でビュー表示します。現実世界と同じで、遠くのものほど小さくなる状態です。

画像6

対して、「平行透視モード」はパースを一切計算せずビュー表示を行います。つまり、どれだけ遠くにあっても同じ大きさ・長さに見え、遠近感が感じられません。
Blenderではテンキー5を押すことで、2つのモードを切り替えることができます。

画像7

平行透視は真横や真正面から見ても奥行きによる差がな無くなるため、設計図通りに作る際に非常に有効です。

今回は下絵を「平行透視」の時にだけ見えるように設定をしました。それには以下のような理由が挙げられます。

・イラストデザイン(三面図)はパースをあまり意識しない平行透視寄りで描かれるため

↑透視投影モードで真横から見ると、パースによって手前と奥に差が生じ、三面図通りにモデリングを行うことが難しくなります

・日本のキャラはパースがきつくなる程、見え方に違和感を感じる傾向にある。

イラスト

透視投影は現実のカメラレンズと同様、焦点距離を決めることができます。
焦点距離が短いほど、パースは激しく掛かるようになります。

iPhone12の標準レンズは26mmですので、いかに見え方に違和感があるかがわかるかと思います。

【平行透視一択ではない理由】

理由の一つとして、最終的には各々対応ソフトのカメラで撮影するが挙げられます。

先述しましたように、平行透視はパースを全て無効にするため非現実的です。なので最終的には透視投影のカメラでモデルを見たり撮影することになります。
もし平行透視で最終的な撮影をしてしまうと、立体感、遠近感が感じられなくなってしまいます。

イラスト2

↑同じ視点で2モードを見比べ。
キャラだけなら平行透視カメラでもなんとかなるかもしれませんが、VRChatなど、背景と一緒に撮影する際は透視投影でないと現実味のある映像は撮れません。

最終的に透視投影で見るのだから「モデリング段階からパースをつけ、パースがかかった状態でもか可愛く見えるようにするべき」という意見も一定数あります。

…このように、どちらにも重要な役割があり、「このモードでモデリングすべき!」と断定することは難しいです。
しかし、三面図は設計図的であるため、ある程度は平行透視でモデリングすべきだと私は考え、今回は先程のように「平行投影モード、完璧なフロント、サイドビューからしか見えない」設定を施しました。
この設定は下絵がどう見えるか程度の内容ですので、確実自由に行って頂ければと思います。

一番良いのは、
「形状づくりは平行透視」→「最終調整は透視投影」かもしれません。(気力があればですが…)定期的にモードを切り替えるのもありですね。
但し私は透視投影でどう触ったら可愛くなるのか見当があまり付かず行いませんでした。

そのため平行透視でモデリングした私の場合、やはりパースには弱く、撮影時にはなるべくパースがキツくない望遠レンズ(100mm前後)で撮影している状況です。

また、映像界ではこの問題をなるべく解決しようと様々な工夫がなされています。

ぽぷりかさんは、モデルの顔を意図的に潰すことで奥行きを物理的に小さくし、顔だけ平行透視のような見え方にさせるといった方法を採用しています。

その他にも、キャラと背景で別々に焦点距離が割り当てられるとツールで解決したり(リンク見当たりませんでした…)といった方法もあります。

このモデリングとパースの関係性は知っておいて損はないと思います。
今後完成したモデルをどう撮影するか方向性が決まっていれば、どちらのモードでモデリングすべきかも意識できるかと思います。

この日本キャラとパースの関係性は記事も沢山ありますので是非興味がありましたら読んでみてください。

これで下絵の準備完了!次回から早速モデリング開始!

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