おもしろいこと

 「おもしろいこと」ってなんだろうなあ、と思った。

 昨日の深夜、深夜ラジオを流しながら布団に入る。佐久間さんの「がははは」という笑い声に、なんだかつられて笑ってしまう。佐久間さん、というのはオールナイトニッポンのレギュラーパーソナリティを務めているテレビ東京のプロデューサーさんで、中学生の娘を持つ父でもある(←いつも思うけど情報量過多。)昨日の話はたしか、カフェでコーヒーを飲んでいて、いろいろやらかしたという話。180センチを超える大男が、慌てたり、バイトの店員の反応をいちいち気にしているさまを思い浮かべると、おかしみがあって、でも愛らしい感じがした。日常の一コマだけど、とてもおもしろい話で、おもしろい人だなあと改めて思った。

 おもしろい出来事、身の回りの日常であまり起きてないなあ。この文章を書きながら自らを省みても、「おもしろいこと」のフォルダは空っぽだった。身の回りにおもしろい人がいるわけでもないし、僕自身おもしろい人ではない。どうしようもない。仕方ない。ただ、僕は空っぽな器だと、まざまざと見せつけられた気がした。

 そんな折に、こういう句に出会いまして・・・

「おもしろき ことも無き世を 面白く すみなしものは 心なりけり」

 面白くないこの世の中を、面白いとみなすのは心の持ちようだ、というわけだ。これは幕末の志士、高杉晋作の句だという。動乱の時代を閃光のごとく駆け抜けた、まさに主人公である高杉。彼ですら、世界がつまらないなぁと思った瞬間があるのかもしれない、と思いをはせると、なんだか親近感が湧き上がってくる気がした。

 おもしろいことを見つけられないのは、己の心のありようが未熟だからなのかもしれない。だからいろいろなものを見落としているんだろう。見落としてしまうくらい小さなおもしろさの火種に、ふーふー息を吹きかけてあげて、いつか「おもしろいこと」フォルダがいっぱいになればいいなあ。

空っぽな人間のままでいるのは嫌だから。






筆者、ポエマー星人コアラ

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