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(昔の記事)映画感想・批評「Salam Neighbor-難民キャンプで暮らしてみたら-」

今回は映画「Salam Neighbor-難民キャンプで暮らしてみたら-」を見た感想について書いていきたいと思います。私自身、ケニアで体育の指導をしていたこともあり、国際協力の勉強の1つとしてこの映画を見ました。ですので、国際協力的な視点からの感想もシェアできたらと思います。

①映画「Salam Neighbor-難民キャンプで暮らしてみたら-」とは?

全体を通して、国際協力などにあまり興味のない方でもかなり見やすいものだなと思ったのでぜひ見てみて欲しいです。

そして今回なぜ私が見たのかというと、毎年開催されているUNCHRのWILL2LIVEという映画祭でこの映画がオンラインで視聴できたからです。この映画以外でも、期間中難民を題材にした映画6本がオンライン視聴できるので是非申し込んでみてください。

②あらすじ

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アメリカ人青年2人が、シリア人が住むヨルダンの難民キャンプで滞在して見る様子を収めたドキュメンタリー。

ザータリ難民キャンプでの滞在許可が降り、青年2人は1ヶ月間、難民と同じように暮らすことになる。難民キャンプでの生活を通し、隣人と接することで、1人1人がどんなバックグラウンドで難民となったのか、どんな思いで日々暮らしているのかを知っていく。

現地の状況を知ることができ、難民のリアルな声が聞ける映画。

③過酷な現実を突きつけられた。

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この映画を通して、世界の厳しい現実を改めて実感しました。どこかで過酷な生活をしている人々がいるということを知っていながら、日本に住んでいるとそんな世界はどこか遠くのものに感じてしまいます。私にとっては、現地に行ったりしている時はそんな現実が今身近で起こっている、これはリアルなんだとハッとさせられるような感覚になります。そしてこの映画でも、このような過酷な世界は本当にあるんだとハッとさせられました。

いくつかシェアポイントをピックアップしていきたいと思います。

まずは、難民の生活のリアルを感じて心が痛みました。こんな過酷な状況で生きている人がいると考えると本当に泣きそうになりました。

シリアの内戦から逃げるシリア人は、国を脱出する時バレないように、自分の子供に睡眠薬を飲ませ続け泣かないようにして過酷な道を進むそうです。実際にゴツゴツした足場の中、子供がつまづいているところを引っ張って家族で脱出する姿も映されていました。

そして、キャンプに着き安心して過ごせると思いきや、シリアに残った家族を心配しながら、キャンプないの厳しい環境で生活していくのです。中でも、衝撃的だったのは、キャンプまでシリアの爆撃音が聞こえてきて、時には周辺が揺れることもあるということです。難民達は、自分の家族が攻撃されている音を聞きながら隣の国で生活しなければならないのです。

しかし、難民達はアメリカ人の青年が来ると、僕らと全く変わらない元気な姿で接するのです。青年2人も最初楽しげな雰囲気でしたが、難民の厳しいバックグラウンドを知っていくうちに、難民達の笑顔の裏側を知り泣き出してしまいます。

これは、まさに自分も同じ体験をしました。ケニアの学校の子供達は、とびっきりの笑顔でいつも私に抱きついてくれました。そんな中、ある日校長先生に、もし自分が寄付できそうなものがあったら寄付しようと思うんだけど、何が必要?と私は聞きました。私は体育の用具のことを聞いていたつもりでしたが、校長先生からは、まずは子供達が食べるご飯そしてテストを受けるためのお金が欲しいと言われました。そのことを聞いて、子供達の現実を改めて突きつけられ、校門の外で1人泣いたことを今でも鮮明に覚えています。

そんなリアルな部分もこの映画では描かれています。

④キャンプ滞在、最後の日

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最終日に、みんなで1つのキャンプに集まり話すシーンがあるのですが、そこの会話が非常に考えさせられたので、シェアしておきます。

世界の人々はこう考えている。アラブ人やイスラム教とは血も涙もないテロリストで偏狭な思考を持つ過激な集団なんだとね。俺たちを見て君もそう思う?ここにいるイスラム教徒はメディアが報道するイスラム教徒と同じかい?

どこの国でも人はさほど変わらない。俺たちは善人だ、対立は政治のせいだ。

そして最後アメリカ人の青年がこう言います。

アメリカ人とかシリア人ではなくて、僕たちは隣人なんだ。隣人が困っていたら助け合うべきだよ。

本当に変わらなければならないのは、現地の人ではなく隣人である私たち日本人なのかもしれません。

⑤伝えるツールとしての映像や映画はすごい

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先ほども少し書きましたが、この映画を見て私はこれはリアルに起こっていることなんだとハッとさせられました。というのも、本などを読んで現地の状況や国際協力について学んでいてもどこか遠いところについて書いているようで、まるでリアルには存在しないものみたいに、ある意味感じてしまいます。

その点で、映画や映像の可能性を改めて感じました。映像を通じてだからこそ、本よりもリアルで胸に来るものがあるなと私は感じました。私ももし現地に行く機会があれば、現地の様子を映像で届けるということもしたいと思いました。

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