見出し画像

蛙化現象⑥

これは投稿者本人の恋愛体験を記録したものである。最初から読みたい方は「蛙化現象①」からご覧ください。

前回までのあらすじ
僕は、大学を休学し幼い頃から大好きだった場所で働いていた。そこで、ある女性のお客さんに出会う。名前は明日香。接客中、徐々に僕の心は明日香に惹かれていった。しかし実際には2回しか会えないまま、僕はその仕事を辞めた。大学復学後、明日香から連絡が来る。それがきっかけでSNSでのやり取りは続き、改めて僕の気持ちは強くなっていった。その結果、明日香に告白。はっきりした返事を聞けないまま、僕達は福岡で再開することになった。

第二章 再開

冷静

明日香は東京の人。以前の電話で、その日は駅近のビジネスホテルに泊まる予定にしていた。しかも同じ部屋。

「安上りだし、ポイント貯まってるから!」

そんなよく分からない理由に僕は押され、年上の女性と同じ部屋で一夜を共にすることが決まっていた。溜まっていたのは、本当にポイントだったのだろうか。

そして時刻は待ち合わせの18:00。

僕は先に見つけた。博多駅中央改札口前に明日香は立っていた。クリスマス間近ということで、その日の駅内は楽しそうに歩くカップルで溢れていた。僕は高鳴る鼓動を抑えながら、彼女に近づく。近づくにつれ、彼女も僕に気づいたようだ。

「明日香?」

「あんちゃん?」

お互い多少照れながら名前を呼び合い、本人なのか確認し合った。他人から見ると、さぞかし初々しい光景であっただろう。

「久しぶりやね。」

お互いが本人であると確認がとれ、僕は平然を装いそう言った。

駅前の広場にはイルミネーションが点灯されていた。再開した僕たちは、ぎこちなくその広場に向かって歩き出した。

「私変わった?」

明日香はそう僕に言った。1年ぶりの再会ということで、自分が老けていないか遠回しに確認してきた。

「全く変わってないよ。」

僕は初めて明日香に嘘をついた。老けていたのではない。ただ少しだけそばかすが増えているように感じた。しかしそんなこと言ったところで、お互いに得しない。僕は本心を伝えなかった。我ながら賢明な判断であったと思う。

そんな他愛もない話をしながら、駅前のイルミネーション、大濠公園と散歩し、やま中というもつ鍋屋さんに入った。

僕はこのお店の鍋が大好きだ。加えて目の前では憧れの人が座っていて、満面の笑みを浮かべながら鍋を食している。この時ばかりは、自分を中心に地球が回っているように感じた。

晩ご飯をすませ、僕たちはホテルへ着いた。テレビを見て、トランプをして、字を綺麗に書くコツを教えてもらった。半分修学旅行のようだった。

ひとしきり遊んだ後、明日香は言った。

「先に浴びてきていいよ。」

シャワーはレディファーストではないのか?というより急すぎないか?それとも単に明日香の優しさなのか?頭に色んな考えが浮かんだが、

「わかった。」

そう答え、僕は先にシャワー室へと向かった。

その後に明日香がシャワーを浴びる。「すっぴんは見られたくない」と上がってきたが、シャワー後も最高に可愛かった。

そしてベットに腰を下ろす明日香に、僕は言った。

「返事教えてほしい。」

僕は告白した返事を、まだもらっていない。正直今までの自分であれば、「返事なんか聞かなくていい。ただ抱ければいい。」そのために試行錯誤して、女性をその気にさせていたと思う。

でも今回は違う。この人とはちゃんとお付き合いしたい。ちゃんと幸せにしたい。誰にもとられたくない。そう考えると、返事を聞かないという選択肢はなかった。

居ても立っても居られない僕に、明日香はこう言った。

「私のバックの中。その中を見てみて。大きいチャックの方ね。」

至って冷静に見えた。「これが年上の女性なのか」と感じつつ、僕はバックの中に手を伸ばす。

そして小さな封筒を見つけた。どうやら手紙のようだ。この中に返事があるはず。

その封筒を開けながら、僕の心は不安で押しつぶされそうになった。彼女の冷静な態度のせいだ。

そこにはプリントアウトされたような綺麗な字で、沢山の文字たちが連なっていた。


今後も、恋愛経験を綴っていこうと思います。現在の時点では、彼女とは別れていません。しかし今後どんな関係になろうと、この過去は大切にしたいと風呂場でビビっと感じました。そこで投稿すること決めました。もし僕の友達がこの投稿を見たら、以下はご理解ください。病んでません。
今後しばらくは、このタイトルでnoteを作成していきます。
それでは続きはまた明日。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?