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【2021都議選 総括】

遅ればせながら、2021都議選の総括を私なりにしたいと思います。

「断定的な」総括になっているのは、これが私なりの考察だからです。
自分の言葉で話せない人に「断定」は出来ません。これは仕事でもそう。
はっきりと、自分の意見を「断定」することはリスクが伴いますから、自信のない人間には到底できない芸当です。
自分の目と耳ではっきりと確認をし、そして言葉にする作業を経ているからこその「断定」である事をご理解ください。


まずは、今回の選挙。私は選挙速報を見て、「誰も勝っていない選挙」だと評しました。
メディア的にはどうでしょうか。「自民が負けた。都民ファが勝った。」といった論調が多いでしょうか。
深く切り込む系のメディアでは、「勝ったのは公明党だ。さすがの集票力だ」と評するケースも散見されます。

まずは、俯瞰してみてみます。


■以上の図は、2021と2007の比較ですね。

議席からみると、自民と公明・立憲が今回は増え、公明と維新が現状維持。都民ファが独り負けをしている状態です。
自民が議席を増やし、復権したようにみえますが、マスコミ世論は事前の調査も相まって、踏みとどまった都民ファが勝ったような雰囲気です。
自民公明が勝敗ラインと設定した過半数を超えられなかった事も大きいと思いますが、都民ファをはじめどこも過半数を獲得できていません。
勝ったような雰囲気の都民ファは、難しいかじ取りを迫られるでしょうね。


■公明党は勝っていない。

「さすがの集票力」と言われる公明党ですが、それでも73万票から63万票へと得票が減少しました。
約10万票です。彼らにとっては手痛い10万だったと言えます。それでも「10万で済んでよかった」と思っているかもしれませんが、
東京で目減りするのは結構キツいです。あと10万減れば立憲に追い越される。全国得票では立憲に負けている公明ですが、東京では強かった。
そこを逆転されるのは都議選を最重要選挙の一つととらえている公明からすると「負け」以外の何物でもありません。



■都民ファの80万票。

都民ファは、なんとか踏みとどまったように見えますが、ですが得票で見ると、前回よりも約80万も得票を逃しています。
この数字は、単独で公明や共産の総得票数よりも多い数字です。恐るべき数字。これは予想と同等くらいの目減りではないでしょうか。
じゃあ、この票はどこにいったのか。数字で単純に見てみると、この票は立憲もしくは棄権に流れた、とみるべきだと思うのです。

メディアは、自民が過半数を取れなかったのは都民ファにとどまった票が多かったからだ、という見方をしたりします。
観点が違うと思います。もともと、2017で自民に辟易した票が都民ファにあったわけですが、そこから80万の票が流れた。
ここにもっと着目をしないといけない。
何故流れたのか。期待をした都民ファがまったく期待外れだったからです。じゃあ「次はどこに期待できるかな」と80万票は浮遊するわけです。
そこで必要なのが、2017でも繰り返し言われた「受け皿」ですよね。当然野党第一党がその受け皿にならないといけない。立憲の出番です。

立憲の前身を民進党だと仮定すると、今回の都議選で得票を増やしたのは、「立憲」だけです。
民進の38万票が、今回は57万票。約20万票得票を増やしました。
2017の民進は蓮舫体制のど真ん中にあり、どん底でした。離党者も出まくっていて最下層にある状態でした。その時の38万票は強い票だと思いますが、
そこから今回は20万票がプラスされた。どの政党も投票率の低下と共に得票を減らしている状態での+20万票はかなり強いと評価できます。
つまり今回の選挙は「立憲の独り勝ちだった」と言えます。

しかしながら焦点は、都民ファがどこまで堕ちるか・自公がどこまで増やすか、でしたので立憲は正当な評価を受けてはいません。
むしろ擁立した候補の半数が落選をするのなど、とても政権交代が出来る政党とは言えないような雰囲気を出してしまっています。
これはまさにその通り。得票では20万近く増やし、「独り勝ち」をしましたが候補が当選できないという事実は、総選挙では痛手になります。
戦略の全面見直しを行わないと、この得票率唯一アップという好材料を生かしきれずに埋没してしまいます。

前回都民ファが獲得して今回離れた約80万のほとんどは空中を漂ったまま。投票したくても出来ない状態になっています。
これはもったいない話です。立憲は単純に考えても約20万ほどしか吸収できなかったわけですから。


■戦略失敗極まる国民民主と維新。

そこを狙って、早速国民民主党と維新の会が「自分たちはこの漂う80万票を獲りにいく」と豪語しているわけですが、
何年もその位置を狙って路線をひた走っているくせに、それぞれ3万票と6万票しか獲得が出来ていません。
これってただの過信であり妄信ですよね。二者が合流しても9万票。いや、むしろ合流したらお互いの票が離れていきそうで怖くて提案すらできないです。
得票を客観的にみると、東京にこの2党は必要ありません。前なのか後ろなのか、上なのか下なのかよく分からない政党は東京には不要なのです。
数字で出ているので、無駄な抵抗はせずに、維新は関西に集中・国民民主は立憲に合流した方が身のためです。カネの無駄遣い以外何物でもありません。


■自民を倒すためには。

私は、#戦略的政権交代 を訴えていますので、目標は自民党を打ち倒す事です。
この自民を倒すために、都議選では何が必要かというと、このコロナ禍で悲惨な政権運営をしている自民でさえ、約119万票を獲得できるという現実を
まずは理解する事が大事だと思います。

悲惨だった2017安倍政権の126万票から、コロナ対策で失政する2021菅政権では119万票に減りました。約7万票です。
議席は+8。過去2番目に少ない議席だと報じられていましたが、すごくないですか?119万票って。
個人的には80万票くらいにとどまり、立憲にその批判票が流れると期待していたので、この結果に実は驚きを隠せませんでした。
「自民、強い」と。

これだけ失政に失政を重ねる自民がこの得票だとすると、東京における固定票は約100万(それ以上)だと断定していいです。
つまり、都議選で自民をひっくり返すためには、前回の都民ファのように100万票超えは必須、むしろ前回都民ファ188万票に匹敵する数字を
少なくとも取らなければならないのです。至難の業!
政権交代を目指す立憲が都議選をひっくり返すためには、残り100万票がいります。宙に浮く80万票の吸収だけでは足りません。
自民はこれ以上票を減らさない事を前提とするならば、さらに都民ファから票を奪うか・(ごめん)共産から票を奪うかしかないです。
あとは完全に棄権している票を得るか、ですね。

共産から票を奪うのは、言い方は悪いですが簡単です。さらに選挙区をすみわけ、選挙協力をする事。自民を倒す大義名分があればそれは可能です。
逆に都民ファや棄権票を得るためには、逆に「無党派から受け入れられる熱狂を生み出す」必要があります。
断定します。無党派は「熱狂」が無ければ動きません。都民ファはイメージがそんなに良いとも正直思えません。ですが、小池百合子がいます。
彼女は熱狂を生み出す天才。ちょっとでも「なんとなく頑張ってる」といった空気感でも出せれば、SNS時代、どんどん拡散していきます。

立憲の枝野代表は「熱狂」による政権交代を否定します。それは民主党政権と同じ失敗を繰り返すと。熱狂に頼らない政権交代を目指すと言います。
はっきり言ってそれは、不可能です。固定で自民が100万票を確保し、公明が60万票以上でアシストする以上、立憲は残り100万票を取らないといけない。
独自の戦法を貫く限り、このコロナ禍で野党に期待したい声を受け止め切れていない以上、「熱狂」を起こすしか空中浮遊票は獲れません。
このままいくと、立憲は一生都議選では勝ちきれないし、政権交代は果たせないでしょう。
都議選の結果を総括して、その考察は確信に変わり、得票数を見てその根拠を得る事も出来ました。

各政党は、この都議選の票をちゃんと総括しているのでしょうか。もししていたら、どの政党も「ヤバい」と思っていいと思います。
誰も勝っていないのですから。でも表立ってはどの政党も変わっている様子はないし、戦略を見直している片鱗すら見せませんよね。
私にはここがどうもよく分からないのです。なぜ反省し、改善していかないのでしょうか。政治家は本当にアホなのでしょうか。そう思わざるを得ません。



■あとがき

今回は議席数というよりも、得票数に着目をしてみました。総選挙はまた事情が異なりますので、得票がすべて議席に生かされるわけでもありません。
ですが、得票とは、各社が発表する支持率よりも分かりやすい明確な「支持確定数」です。この確定数を増やさない事には、絶対に議席は増えません。
コロナ禍で行きにくい中でも一票を投じる有権者の姿勢を舐めてはいけませんし、その結果を真摯に受け止め、改善に努めなければ本当に無能です。
カンニングペーパーを渡しているのに、テストの時に見ない。みたいな。
BETTERな政党を立憲と仮定するならば、次回の総選挙では都議選と同じような「勝たない躍進」にとどまると思います。
自公で過半数を阻止できればいいのですが、総選挙では都民ファはいませんから、立憲が吸収できなければ空中浮遊しますよね。とすれば自公は安泰です。
立憲はその辺りをもっと危機感を持たないといけないです。責任は重大。今の枝野幸男の考え方ではそれも難しい。
国民が路頭に迷うかどうかは、まさに枝野幸男に掛かっていると思います。次回は、彼の著書「枝野ビジョン」について考察を行います。


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