見出し画像

磁気治療って効くの?という話

薬剤師のK,Oです。

先日、ピップエレキバンを使ってみたところ、肩こりに効いたので、どういう機序で効くんだろう?と気になり、調べてみました。




肩こり・筋肉痛に効いた話(個人の感想)


先日、ジム通いの筋肉痛・肩こりで苦しんでいたところ、家族から「ピップエレキバン」の使用を勧められました。


「磁気治療なんか効かないだろ~」

と、全く信じていませんでしたが一応、肩に貼ってみることに、、、

翌日。貼った個所だけ症状が改善。


「あれ?もしかしてこれ本当に効く??」


それと同時に「どういう機序で効いているのか」が気になり、調べてみることにしました。(理系の性)

名前の由来は磁気を想起させる単語「エレキ」に、絆創膏の「バン」から。
マグネットではなくて???



作用機序を調べてみた

ピップのWebサイトに説明がありました。

ピップでは、磁気が血管の内側にある内皮細胞に働きかけて、血管拡張物質「NO(一酸化窒素)」の合成を促進すると考えています。
この物質の働きで血管が徐々に拡がり、血行を改善していきます。

ピップエレキバン® | ピップ(株) (pipjapan.co.jp)


なるほど。

NOは確かに血管拡張作用があるので、最もらしい説明です。

狭心症治療で有名なニトロは、体内でNOに変化し血管拡張によって心臓の負担を減らす



磁気が血管内皮細胞に働きかける際の細かい作用機序や、NO産生について検討した論文を探したのですが、、、詳しいデータが見つからず
ピップのHP記載も「~と考えています」という口調なので、詳細は解明されていないのかもしれません。




根拠を示すデータがちょっと微妙な件


磁気治療の歴史は古く、中国最古の医学書「黄帝内経」にも、磁石を用いる治療法が出てくるそうです。
日本でも磁気ネックレスブレスレットなど色々ありますよね。

ピップエレキバンは1972年に販売開始。

区分は「管理医療機器」という扱いで、
厚生労働省に有効性・安全性が認められた機器ということになります。

ある程度の効果が認められたからこそ、発売されていると思うのですが、色々調べる中で、磁気治療の効果の是非については、肯定的・否定的な意見どちらもある様子。


ピップの研究結果が公開されているページがありました。

ピップの磁気研究結果公開中|ジキラボ|ピップ(株)
https://www.jiki-lab.com/result/



磁気でコリ改善が認められました!」

という結果なのですが、気になったのが全体のサンプル数(n数)

全21件のデータで、検証している数が少ないのでちょっと信頼度低いな、という印象です。



結論

あくまで個人の感想ですが、自分はピップエレキバンの効果はあるように感じました。
ただ、磁気治療の根拠については未だ懐疑的です。

磁気バンドやネックレスといったものに効果があると思えませんし、少なくとも自分が知っている医療機関では、磁気治療器というものは扱っていませんでした。(検査のMRIくらい)

大学でも磁気治療については習いませんでしたし、今回いろいろ調べてみたのですが、どれも根拠として弱く、マユツバな治療法という印象がぬぐえません。
(もし良い論文や情報があれば教えてください。)


ただ、漢方薬のように機序がわからなくても使われる薬もあるので、
「何故効くかわからない=効かない」ではないと思います。

薬や湿布ほどの効果はないにせよ、肩こり対策の選択肢の一つとして、うまく使えば良いのではないかと思いました。

良いデータがあれば、また書きたいと思います。
ではまた!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?