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「プロセカ」が提供するアツいゲーム体験とその魅力

みなさんは「プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat.初音ミク」というスマートフォンアプリをご存知だろうか。

今や国民的コンテンツとなった「初音ミク」「VOCALOID」と、それらを用いて制作された数多くの楽曲群を中心とした、リズム&アドベンチャーゲームだ。平たく言うと、『ボカロ曲の音ゲー系ソシャゲ』と言ったところだろうか。

初音ミクのゲームはこれまでにもいくつか出ているが、それらと今作の大きく異なる点は、「オリジナルキャラクターが物語の中核を担い、さらに彼らがボカロ曲を歌唱する」という部分だろう。

今作の初音ミクたちは、あくまでもオリジナルキャラクター達をサポートする立場として、シナリオに登場する。


プロセカの強み

当初わたしは、プロセカの一番の強みは「収録できるボカロ曲の膨大さ・多様さ」だと思っていた。

VOCALOIDとしての「初音ミク」が初めて発売されてから既に10数年。ボカロ曲は今や星の数ほどあり、才能を開花させてプロとなるコンポーザーやアーティストが後を絶たないことも、世間の多くの人が知るところだろう。

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サービスインから丸5ヶ月経った現時点で、楽曲数は80を超える


そんな膨大なボカロ楽曲群がバックについているのは、紛れもなくこのコンテンツの強みだ。

それは間違いない。間違いないが、長く遊んでいるうちに、最近は「それだけではない」と強く感じるようになってきた。今回は、今の私が感じているプロセカの魅力について、少し言語化しておきたいと思う。


魅力1:シナリオが良い

プロセカには路線の違う5つのユニットが存在し、それぞれに独自のシナリオが用意されている。

冒頭で「オリジナルキャラクター達が中核を担う」と紹介したが、基本的にはユニット単位で、彼らの葛藤や苦悩、人間関係の絶妙な空気感が繊細に描かれる。まずこの描写が丁寧で、どのキャラクターにも感情移入しやすい物語になっていると思う。ちなみに私はチョロい人間なので誰にでも感情移入する。

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バーチャルシンガー(※作中でのVOCALOIDの呼称)は彼らの背中を推したり、寄り添ったり、時にはただ見守ったりして、彼らが前進するのをサポートしてくれるのだが、この「バーチャルシンガーが強く出過ぎない」ところもバランスとしてとても良い。あくまでもオリジナルキャラクターを立たせる存在ではあるが、バーチャルシンガーの立場が弱すぎるわけでもない。

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ちょっと煽ってくるミクさんも可愛い

これは余談だが、プロセカの開発にはシナリオの質が高いと名高い「ガルパ」の元開発スタッフが関わっているらしい。その背景を知るユーザー達からすると、元々シナリオに対する期待度は高かったようだ。個人的には、その評判に恥じることのないシナリオに仕上がっていると感じている。まあガルパやってないんだけど……。


魅力2:書き下ろし曲が良い

プロセカでは大体10日周期でイベントが開催されている。イベントでは基本、特定キャラとそのユニットに焦点を当てたシナリオと、その内容をイメージした書き下ろし曲がセットで提供される(たまに例外もあるが)。シナリオが良いのは前述した通りだが、ここにイメージソングが付くのである。もうこの時点で既にコンテンツ力が高い。

声優も歌のうまい人を揃えていて満足度が高いし、VOCALOIDと一緒に歌うのも当初の想像より全然耳馴染みが良い。シナリオを踏まえて聴くので、楽曲単体で聴くのとは感情の揺さぶられ方が段違いだ。

またそれらを支える存在として特筆すべきはもちろん、「楽曲を提供してくれる多数のボカロP達の存在」だろう。

「膨大な数のボカロ曲が存在すること」を第一の強みとして挙げたが、それらを生み出したボカロP達も同時にバックについてくれている。そして彼らがプロセカのために曲を書いてくれるのだ。

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プレイ開始前の私は、このアプリを「ボカロ曲のソシャゲ」としか認識しておらず、オリジナルキャラクターやシナリオ等、「新規に提供される要素」に対する関心が薄かった。なので、書き下ろし曲についてもあまり深く考えてなかったのだが、改めて考えるとめちゃくちゃ凄いことである。

ボカロPに楽曲ジャンルの垣根はないし、どんな曲調でもカリスマ性のある人がたくさん居る。そのおかげで、おおよそ10日に1曲という頻度で楽曲が提供されているにも関わらず、毎回質が高く、シナリオイメージに沿う曲を実装してもらえるのだ。継続してプレイすればするほど、この凄さを強く実感するようになった。


魅力3:コンテンツ展開がうまい

イベント毎にイメージソングが提供されることは説明した通りだが、これらの楽曲の追加タイミングは以下の2パターンある。

1.イベント終了後のバーチャルライブで初めてお披露し、直後3DMVと共に追加されるパターン
2.イベント開始時に、2DMVと共に追加されるパターン

ひとまず前者を3D式、後者を2D式と呼ぶ。

3D式では、イベント開始時には曲の全容も、メロディも、歌詞もわからない。イベントページのトップで、ループ音源として短く編集されたBGMが流れるだけだ。これを聞いて曲への期待を膨らませつつシナリオを読み、イベント終了後のバーチャルライブで初めて歌・ダンスを披露されることになる。

歌詞やメロディだけでなく、キャラクター達の感情の乗った歌唱や表情、メンバーの関係性が垣間見えるダンスやモーション、バーチャルライブならではの”生”感、初見のインパクト等……。イベント後のバーチャルライブでは、これら全ての相乗効果が乗った、プロセカならではの強力なゲーム体験が提供されていると私は思っている。

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サービスインからプレイし続けて5ヶ月。今プロセカの一番の魅力を聴かれたら、私は迷いなく「バーチャルライブでのユーザー体験」だと答えるだろう。


2D式では新曲によるバーチャルライブがないため、3D式ほどの体験は得られない。イベント開始時の楽曲公開とシナリオ内容がほぼ全て……だったのだが。前回のイベントでは、終了直後に2DMVのフルサイズがYoutubeにて公開された。

楽曲は基本的にゲームサイズ、つまりは短く編集されたバージョンで実装されるため、フルサイズが出るのはユーザーにとっては一大イベントなのだ。2D式でも、他のメディア展開を活用すればユーザーの熱量をこれだけ維持できるのか……と感心した。今後もあのタイミングでのフル公開をしてもらえるとありがたい。


正直なところ、3Dモデルの質は他の同種のアプリと比較するとあまりよろしくはなく、MVの見ごたえもやや劣る感は否めない。が、ここまでで列挙してきたように、各要素の絡ませ方と供給の仕方による、トータルのゲーム体験がめちゃくちゃ良く出来ていて、盛り上げ方が非常に上手い。

ユーザーを翻弄する方法をしっかり心得ていると思う。


「ボカロ文化」と「プロセカ」

VOCALOIDという文化は、「VOCALOIDが私達の助けになる」のと同時に、「ユーザーみんなでコンテンツを育てる」側面もある。VOCALOIDを使ったり、題材にした作品で多くの才能が開花してきたし、「野生のプロ」が自分のスキルをこぞって持ち込んで、ボカロというジャンルを発展させたりもしてきた。そういった相互関係に、私は元々強い魅力を感じていた。

プロセカのシナリオでは、バーチャルシンガー達がオリジナルキャラクターを支えてくれるが、これはそのままボカロ文化の構図に当てはまる。

そして私たちユーザーは、衣装デザインや楽曲のコンテストを通じてプロセカそのもののコンテンツ形成に関われるし、例えそれらの創作が出来ないユーザーでも、バーチャルライブに参加できる。ライブは観客がいて初めて完成するものだから、誰もが「ボーカロイドを支え、ボーカロイドに支えられる」関係に参加できる。

プロセカは、ここまでに挙げてきた魅力に加え、私の好きな「ボカロ文化の相互関係」をしっかりユーザー体験に落とし込んでくれていて、応援したくなるコンテンツとして成長している。

もしこれを読んで興味を持ってくれた人がいたなら、一度プレイしてみてほしい。そしてシナリオを読んでみてほしい。メインシナリオの解放には少し時間がかかるが、イベントのシナリオはいつでも読めるよう常設されているので、焦らずゆっくり追いかけることが出来ると思う。


私は私で、これからも自分のペースでプレイしつつ、微々たるお布施をしながらこのコンテンツを応援していくつもりだ。

セガさん。カラフルパレットさん。声優とバーチャルシンガーの盛大なリアルライブ、期待してますよ。


おしまい。

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