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March Madnessとは?

自己紹介

こんにちは、コウです。小学生の頃からNBAが好きで、高校生の時からアメリカ大学バスケの情報を見ています。今はソフトウェア・エンジニアしながらアメリカバスケ情報を追っています。

はじめに

前回はNCAAとは?の記事を書きましたが今回はその中でMarch Madness(ポストシーズンの大会)に注目したいと思います。アメリカ大学バスケファンはシーズンから見ますがMarch Madnessの時は全米が結果を追います。

選手たちは優勝を目指しているのでわかりますがなぜバスケファンでもない一般の人までが自分たちのbracket(ブラケット、大会予想)を作るまで気にするのか?今回はこれらのポイントに触れていきたいです。

ちなみに今週の日曜日(日本時間の月曜日)がSelection Sundayなのでどのチームが出場できるかとどのシードで入るかが決まります。

March Madnessとは?

正式名称はNCAA Divison 1 Men’s Basketball Tournament、通称NCAA March Madness。3月から行われる最大のポストシーズンイベントです。D-1の大学のみで、D-2やD-3のチームは別の大会があります。
勝ち残り式なのでunderdog(アンダードッグ、負けそうなチーム)が優勝候補に勝つ時があって波乱万丈な大会なのでMadnessです。

大会自体は半月ぐらいかかります。3月中旬の日曜日(日本時間の月曜日)にSelection Sundayがあって、その週からFirst Four(大会形式で説明します)、First Round(本大会の1回戦)、Second Round(2回戦)が行われます。Second Roundから4日後にSweet Sixteen(3回戦)とElite Eight(準々決勝)、6日後に準決勝、その2日後に決勝です。

March Madnessに行くには?

D-1では32のカンファレンスがあります。各カンファレンスのトーナメントを優勝したチームはautomatic bid(オートマチック・ビッド、自動的に出場が決まる)がもらえる。シーズン中の成績がよくなくてもカンファレンスのトーナメントを制したら出れる形です。Ivy Leagueだけカンファレンス・トーナメントがないのでシーズン後カンファレンスで1位のチームがautomatic bidをもらえる。32チームはこれで決まります。今シーズンはIvy Leagueがシーズンをキャンセルしたので31チームがautomatic bidで決まります。

残りの36チーム(今年は37チーム)はat-large bid(ワイルド・カード)で委員会が決めます。ここは少し複雑ですが、シーズン中の成績だけでは決めないです。強いカンファレンスにいるとどうしても勝率が低くなってしまいます。反対に弱いカンファレンスに所属していて圧倒的に強いチームでしたら勝率は高くなります。これをバランスするために方程式を使ってランキングを決めます。シーズン中どんな相手と対戦し、どこで対戦し、結果はどうだったかを見ています。D-1の大学を4つのquadrantやtier(グループ)に分け、quadrant 1のチームにどれだけ勝ったか負けたかで評価が変わります。Quadrant 1の定義も対戦場所によって変わります。自分のチームがホームの場合は相手のランキングが1-30だった場合、ニュートラル・コート(お互いホームでもアウェーでもない)の場合は1-50、アウェーの場合は1-75です。なので強いカンファレンスで負けが多くても、大事な試合に勝っていれば選ばれる可能性があります。逆に小さいカンファレンスはトーナメントを優勝しない限りなかなか入れません。

大会形式

68チームなのが少し変な数字ですが簡単にすると16チームずつの大会を4つ行われると考えて大丈夫です。アメリカは広いので大会を一箇所でやるのが困難なのでEast、South、Midwest、Westの4つのregion(リージョン、地区)に別れます。例えば2017年ですが、First Four、1回戦と2回戦の会場は9箇所ありました。

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引用:wikipedia.org

West地区にいても必ず西の会場でプレーするわけではありません。2017年のWest regionのbracketですが、Salt Lake CityでプレーするチームもいますがOrlandoやBuffaloでもプレーします。全米からチームが集まるので東海岸のチームが西海岸に行ったりするのが大変なのでできるだけ近い地区でプレーをするようにします。

あと重要なのがシードです。各region内でシードが1から16まであります。第1シードが16とまず当たり、反対側に第2シードが15と当たります。

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引用:www.oregonlive.com

ちなみにこちらが2017年の3回戦以降です。青が3回戦と準々決勝で赤が準決勝と決勝です。

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引用:wikipedia.org

64チームだと綺麗な数字ですが68チームあるので4チーム余ります。残りの4チームはどこでプレーするのか?これがFirst Fourと言って、8チームが4枠を巡って試合をします。

例えばこちらは2018年のEast regionです。少し見えづらいですが16シードにLIU Brooklyn / Radfordとあります。11シードも St. Bonaventure / UCLAとあります。こちらがFIrst Fourで対戦する2校で、勝った方が16シードと11シードになります。これとあと2試合で合計4試合が行われます。

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引用:www.sportingnews.com

どうやってどの8チームがこのFirst Fourで対戦するか?これは後ほど説明するシードとも関連しますが委員会は出場する68チーム全てを1-68のランキングをつけます。Automatic bidをもらった下位4チームとat-large bidをもらった下位4チームで構成されます。今年からは65シードが66シードと対戦、67シードと68シードが対戦します。こちらは大抵 automatic bidからのチームなので残りのat-large bidの4チームはお互いで試合をします。本大会のシードを見てわかりますが16シードはautomatic bidからきたFirst Four勝者、11シードはat-largeのFirst Four勝者です。

シード

シードの決め方は前項で少し触れましたが委員会が全チームを1-68でランキングを決めます。First Fourを除いて4つブロックがあるので各シードは4チームずつ。その4チームの中でランキングがあります。例えば1シードはEast、South、Midwest、Westと4チームあります。1シードの場合はできるだけ移動距離を少なくするために1シードの中の1位から順にregionが振り分けられます。今年は開催場所がインディアナ州なので移動はそこまでないですがもしGonzagaが総合1位の場合普段ならWest regionでプレーします。対戦相手もできる限り1シードの1位には2シードの4位が当たるように組みますがいろんなルールもあります。例えば同じカンファレンスのチームがもしシーズン中(カンファレンス・トーナメントも含めて)3回以上対戦した場合は地区決勝までは対戦できないようにします。同じカンファレンスでシーズン中2回対戦した場合は地区の準決勝、同じカンファレンスで1回対戦した場合は2回戦から対戦できます。あとカンファレンス外のチームでシーズン中対戦した場合はFirst Four及び1回戦の対戦は避けます。これらのルールがあるのでシードもひとつずらす場合もあります。例えば12シードのチームが上記の基準に当てはまった場合は13シードに変えられる場合もあります。

全体のシードの決め方ですが、NCAAはNET(NCAA Evaluation Tool)を使ってランキングを決めます。数字を使いますがコンピューターのモデルだけでは分からないこと(例えば重要選手の怪我、コーチが不在、移動距離など)もあるので委員会は様々な情報を使って順位を決めます。

NETは大きく以下のふたつで構成されています。
1. Team Value Index:場所を配慮した試合結果。
2. Net efficiency:オフェンスの効率 ー ディフェンスの効率から基づいた数字。これも相手の強さと試合の場所を考慮して調整されます。

なぜバスケ大会が毎年ここまで注目されるのか?

これは純粋の大学バスケファンだとシーズンを締めくくる大会なのでどのチームが優勝するかが楽しみです。強いチーム同士の試合はレベルが高いですしほとんどの場合はシーズン中対戦したことないチームが大会で会うのでどうなるかわかりません。

大学バスケファンではない人たちはどうですか?これは最初に話したbracketに関係します。自分たちの予想を発表してそれに対して賭けをするのです。友達同士でやる人もいますし、会社でやったりしますし、最近ではネットでもできます。全試合が無料で配信されるので結果も生で観れます。最初の数試合の会場は別々なので同時にいろんな試合に切り替えて追っています。面白いのが必ずしも強いチームが勝つとは限らないです。一発勝負なので普段は強いチームでもその日調子悪かったら負ける可能性があります。試合数も多いので割とランダムなのです。特に1回戦と2回戦は波乱万丈です。

統計的に各地区の1シードが16シードに負けるのはゼロに近いです。でも2018年初めてそれが実現しました。それも僅差ではなく、20点差の勝利でした。2シードが15シードに負けるのもあまりありませんが数年に一回はあります。11シードが決勝まで行ったことがあります。一番低いシードで優勝したのは8シードです。相性もあるので苦手なチームと対戦するとどうなるか分からないです。3ポイントに頼っているチームだとその日どんな日になるかによって結果が変わります。上級生がいるチームだと経験もあるので初めての大会でも落ち着いているかもしれません。逆に下級生、特に一年生が中心のチームだとプレッシャーがすごいのでシーズン中は大丈夫でも大会では思うように動けない時もあります。

どれだけ研究しても完璧なbracketは今までないです。その年によってupsetが多い時もありますし、そこまでない時もあります。なのでもし掛けても本当に誰でも勝てます。選び方も様々です。D-1のバスケチームがある学校ですとOB・OGも暑くなります。自分の母校が優勝すると予想する人たちも多いです。学校のマスコットで選ぶ人たちもいます。対戦校のマスコットを比べて強そうなマスコットが勝つと予想するのです。変な選び方でもある当たったりします。何が起こるか分からないのが楽しいです。

Underdogが勝つと注目されます。世間の元々の予想よりも遥かにいい結果を残すと全米がそのチームを応援します。彼らはほとんどの人が勝てないと思っているので気楽にプレーができます。逆に上位シードチームは勝つのが当たり前とされているのでプレッシャーが半端ないです。こんな状況でunderdogが勝ち続けるのをCinderella run(シンデレラ・ラン)と言います。ほとんどの場合は優勝しませんが強い印象は残します。

最後に

今回はざっとMarch Madnessについて説明しました。あと数日でbracketが決まって来週の木曜日(日本時間の金曜日)から大会が始まります。ハラハラしながら結果を追って、生で観れるところは観ます。もちろん自分でbracketを作ってできるだけ試合結果を当てたいですが感動やびっくりがあるのでそれも感じたいです。日本ではまだそこまで報道されていませんがお時間がありましたらぜひ観てみてください!

March Madnessで使う用語

既に説明しましたがよく使われるので再び紹介します。アルファベット順ではなく、時系列順で並べます。
Selection Sunday(セレクション・サンデー):日本時間では月曜日ですが、大会に出場できるチームとシードが決まる日。
Automatic bid(オートマチック・ビッド):自動的に出場が決まる。カンファレンス・トーナメントを制したチーム。Ivy Leagueのみがシーズンの最終順位。
At-large bid(アット・ラージ・ビッド):委員会がシーズン中の成績で決めるチーム。
Bracket(ブラケット):トーナメント表。アメリカでは自分のブラケットを公表して予想が当たったか確認します。
Underdog(アンダードッグ):負けると予想されているチーム。
Upset(アプセット):勝つと思われていないチームが勝つこと。
Cinderella / Cinderella run(シンデレラ・シンデレラ・ラン):Underdogが勝ち続けること。
First Four(ファースト・フォア):本大会の4枠をかけてautomatic bidの下位4チームとat-large bidの下位4チームが試合をすること。
First Round(ファースト・ラウンド):少し間際らしいが、First FourはFirst Roundではないです。First Roundが本大会の1回戦。なのでFirst Fourから勝ち上がったチームでも本大会の1試合目は1回戦。
Second Round(セカンド・ラウンド):2回戦。
Sweet Sixteen(スィート・シックスティーン):3回戦。
Elite Eight(エリート・エイト):準々決勝。
Final Four(ファイナル・フォア):準決勝。
MOP・Most Outstanding Player(モースト・アウトスタンディング・プレイヤー):大会最優秀選手で基本的に優勝チームから選べれます。

引用


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