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熱海での”ひもの”をつかった新しい試み。ひもののイメージを新たにする店舗、オープン。

「朝ごはんに干物」という文化

熱海で生まれ育った僕にとって、幼い頃から、朝食に干物があるのは、あたり前の光景だった。

朝ごはんの干物 © Hamatsu Waki

いまも干物はよく食べるし、また、僕らが運営するguest house MARUYAでは朝食に、目の前にある干物屋で”自分で買ってきて焼いて食べるスタイル”での朝ごはんを楽しんでもらうようにしている。

guest house MARUYAの朝ごはん © Hamatsu Waki

実はこの「朝ごはんに干物」というきっかけになった店は熱海銀座にある、あをきの干物本店が発祥だったりする。伊藤博文など明治政府の重鎮たちに干物を提供しはじめてからそれが広まったという。

こちらのサイトから抜粋すると・・・
「その当時、旅館の朝食と言えば お刺身 が定番だったと言います。
しかし、滞在日数の長期化に伴って刺身に飽きてくる人が続出。そんな明治政府の重鎮たちに対して「開いた新鮮な魚に塩を効かせて乾燥させた “干物” はいかがでしょう」と新たな提案をしたのが、あをきのひもの本店・二代目店主の青木敬次郎けいじろうでした。」


歴史ある干物店が並ぶ熱海銀座

熱海でも最も古くからまちの中心だった通りの一つである熱海銀座には、この「あをきの干物本店」も含めて、干物屋が3軒並んでいる。

最も古いと言われているのが、和銅3年(710年)から続くという「小沢ひもの店」。

それぞれに歴史があり、一つひとつのお店にストーリーがある。

ひもののイメージを新たにする店舗、オープン

このように、熱海の食といえば「干物」だが、そんな熱海に新しい店舗が本日(1/11)オープンする。
それは、これまでの熱海にはなかったような、干物の新しい楽しみ方を提案するレストラン。

https://www.instagram.com/kamanari_atami/

この「Himono Dining かまなり」をオープンしたのは、江戸時代から150年以上続く干物屋「釜鶴」。干物を自社で製造販売している店舗も少なくなってきている中、いまも自社での製造にこだわっている。

そんな釜鶴が、「ひものへのイメージを新たにする料理や商品、体験を提供する」ことを目指して始めるのがこの「Himono Dining かまなり」。

「Himono Dining かまなり」での、ひととき

プレオープンの昨日、実際にお店に行き、料理も味わったが、
料理はおいしく、また、ごはんの後に足湯でぼーっとするのも最高だった。
個人的には、干物のハーブグリルが絶品だった。

プレート

このお店、営業時間は朝から夕方までで、朝ごはんとしても味わえる。
朝ごはんとその後の足湯。それだけで、ゆったりした時間を味わえ、1日が豊かになったように感じた。
ちなみに、昨秋新たにオープンした宿 Kiten -slow & work stay - でも、今後この「Himono Dining かまなり」と提携しての朝ごはんを提供していく予定です。

かまなりの店内
店頭の足湯

干物づくりを体験

あと、この「Himono Dining かまなり」には干物づくりを体験できるスペースもある。
釜鶴は、これまでも過去のオンたまでも干物づくりの体験をさまざまな形で実験もしてきたし、また保育園や小学校などで子どもたちへの体験も行ってきた。干物という食文化をいかに残し伝えていくか、そんな取り組みをこれまでもしてきている。

今回、この店舗には、干物づくりの体験スペースを併設している。

ひものづくりの体験スペース

そして、熱海おんぱくでは、この干物づくりの体験を、より特別に味わってもらうためのプログラムもあるので、よかったらご参加を。

干物のイメージが変わる!熱海きっての美干物『釜鶴』の秘伝の技を特別指南!「熱海魚市場でセリ見学&買い付けからの干物造り体験」

ということで、魚市場でのセリ見学もして干物を実際につくる体験をするプログラム。1月22日(日)の朝から開催です。

老舗だからこその目線と挑戦

僕はこの釜鶴の二見一輝瑠(ひかる)と出会い、知った。老舗の商店の目線を。
印象に残っている言葉がある。「子どもにどう継がせるか、じゃなく、孫が継ぎたくなるようなものをどうつくっていけるか」
これまで150年年を超える歴史がある店だからこそ、あたり前のように数十年先、100年先を見据えている。

僕らが掲げる「100年後も豊かな暮らしができるまちをつくる」ということ。それをあたり前のようにやってきて、そしてこれからもやっていこうとしている。それが老舗なのだなと思わされた瞬間だった。

そんな彼だからこそ、熱海の一次産業やあるいは熱海のまちの未来のこともしっかり見据えている。僕らの活動の黎明期から、彼はNPO法人atamista、株式会社machimoriというものにも自らもリスクをとり、時間も割いてずっと関わってくれている。

そして自らも、熱海の可能性や価値を高めるための新しいチャレンジをし続けている。

【参考情報】
熱海銀座以外にも熱海の街なかには、干物と日本酒を楽しめるお店として干物ダイニング「yoshi-魚-tei」がある。こちらは港町、網代で干物を加工販売する「ハイパー干物クリエーター」のお店。こちらもおすすめ。


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