世界を驚かせた采配の秘密 西野朗監督 講演
2020年1月30日に、テリマトリックスCRM FORUM 2020の特別講演、西野朗氏の講演を公聴してきました。
「世界を驚かせた采配の秘密」ということで、コミュニケーションや組織づくりにおけるポイントを2018年のロシアW杯に沿って振り返る内容でした。以下、簡単な講演のポイントと、感想です。
最高の講演でした。
1. 2か月しかない中でのチーム作り
選手はW杯直前の監督交代でサッカー協会に不信感もあっただろう。その状況で監督としてすることがたくさんあったが、選手とベースの信頼関係を築くことに注力した。最終的には信頼関係の土台がないと脆いものになると思った。
2. 選手たちとのコミュニケーション
ベンチの選手たちはおとなしい選手が多かったが、この選手たちがチーム作りの上で大切だ。試合の流れを変える場面で必要な選手たちなので、いい準備をしなくてはいけないが、心身ともにコントロールが難しい。なので、ベンチの選手にはMTGで意見を聞いて発言させたり、一緒に練習したり、目配せしたり、夜は部屋に呼んで話したりした。全員が同じ思いでロシアに入らなくては勝てない。
これがチームというもの。出るのは5分や10分かもしれない、でも「本当にこの組織に必要だ」と全員に話した。
3. 選手のモチベーション維持
「全員が心身のコンディションを高めたほうが個人の特徴を出しやすい雰囲気になるので」、W杯まであえてメンバー固定しなかった。
4. 0-1で“負けた“ポーランド戦について
普通、FWを入れて1-1を目指しに行くだろう。
でも、勝ち上がる戦略の一つだった。見たことない景色でサッカーをさせてあげたかった。
ベンチには、攻撃的な選手もいたが、キャプテン長谷部を呼んだ。
ピッチの選手間で統一感がないと、DFは守りたい、FWは攻めたいとなって、失点してしまう。
長谷部には、0-1をキープしろ、イエローをもらうなということだけを指示して彼を投入した。
彼は見事リーダーとしての役割を果たし、0-1で”負けた”。
5. “2-0からやられた”ベルギー戦について
2-0がサッカーで一番危険スコアと言われている。
2-0だと2割くらいの選手が勝てるだろうと「ホッと」してしまう。
そして、試合内容はその2割の選手に合ってしまう。
監督である自分自身も勝てると思ってしまい、具体的な指示を出せず「そのままいけ!」としか長谷部に指示をできず、結果、「FWはもう一点取りに行く、DFは守らなくては」という意思の下、失点を重ね、相手の十八番カウンター攻撃で屈した。
世界は、0コンマ何秒、数センチ足を延ばせるか、ズボンを汚せるかの世界だが、実践できていないのは自分だった。
決断できなかった。この空気感でジャッジが遅れた。
これまでの経験が世界では通用しなかった。
世界最高峰の経験が乏しかった。
しかし、日本人らしいサッカーはできたので、次へバトンを渡せたと思う。
6. 今後
これまでW杯優勝監督は、母国人のみ。
気持ちを通訳してもらい伝えることは難しい。
だからタイ代表監督は自分の中でチャレンジ。チャレンジ頑張ります。
7. 感想
西野監督は、信頼関係の構築、特にメインではない選手とのコミュニケーション、皆の意識の統一と、組織づくりのプロフェッショナルなことに驚きました。
ビジネスの世界でも、これらは重要だと思います。
私も、仕事で関わる方々と引き続き、1on1や、ランチや夜ご飯で定期的にコミュニケーションを取っていく必要があると感じました。(ありきたりですが)
フリーアドレスや、在宅勤務など、仕事環境の多様化により、これまで以上に大切なことかとも思っています。
また、仕事でも、全員が心身のコンディションを高めたほうが個人の特徴を出しやすい雰囲気になると思いますので、マネージャーはもちろん、一人一人の意識が大切になってくるでしょう。(抽象的な表現ですが)
近年言われている、ティール組織やツリー型組織と呼ばれる組織に近いものでしょうか。
最後に、西野タイ代表、応援しています!
元々ファンでしたが、西野監督のことがより好きになりました!
(札幌のチャナティップをよろしくお願いします!)
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