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「野球肘」について知ろう!

はじめまして!
千葉県松戸市の整形外科クリニックで理学療法士
プロ野球選手のパーソナルトレーニング
県内高校野球部のトレーナー活動をしている
佐藤康と申します。

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私がこれまでに医療機関や現場で活動する中で、

「もう少し早く選手がケガに気づくことはできなかったのだろうか」
「もっと早く対応できればここまで悪化しなかったはずではないだろうか」

など、
選手自身のケガに対する認識の低さと
同時に自分の指導力のなさを感じていました。


選手自身もしくは指導者に正しい知識があれば、
こうなる前に予防できたはず

そのような思いが私の活動の基盤となっております。

このnoteでは
選手・指導者向けに
野球における障害や動きについて発信していきたいと思います。



野球におけるケガとして圧倒的に多いのが投球障害です。
よく耳にする野球肘・野球肩などがそれに含まれます。

はじめは「野球肘」についてわかりやすく説明していきたいと思います。

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■野球肘とは?

投球動作によって受けるストレスの繰り返しで起こる
筋肉・腱・靭帯の障害や骨軟骨の障害を総称していいます。


|野球肘の原因となる肘のストレス

野球肘の原因となるストレスとして

肘を捻った「外反ストレス」
肘を伸ばした「伸展ストレス」があります。

(論文:臨床スポーツ医学2014-5 肘関節障害 より引用)

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肘の捻りが大きくなることで起こる「外反ストレス」では
肘の内側・外側に痛みがあり、

肘を強い力で伸ばしたときに起こる「伸展ストレス」では
肘の後ろ側に痛みを訴えるケースが多くあります。

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|野球肘のタイプ分類

それぞれ部位により
「内側型」
「外側型」
「後方型」
と分類されます。

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同じ関節のケガであっても
筋肉・靭帯・神経・骨、軟骨など、
どこを痛めてしまったのかで
その回復・競技復帰までの期間は異なっていきます。


つまり、それぞれのケースによって
「どの程度休ませるのか」が変わってくるのです。


一般的に、
筋肉の痛みであれば、1~3週間で治るのに対し、
靭帯のケガでは5~8週間ほどかかるといわれています。

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(著書:野球 肩・ひじ・腰の鍛え方・治し方 より)

筋肉に比べて、骨や靭帯の方が治癒に時間がかかるということです。

つまり、
野球肘だから、治るまで○○週間というのではなく、痛みの原因を把握して判断しなければいけません。

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|まとめ

ここで押さえておきたいのは

・野球肘はやむを得ずにしてしまったケガではなく防げるケガであるということ

・内側型に比べて外側・後方型の方が重症である可能性が高いこと

・筋肉よりも骨・靭帯の損傷があると治る時間が長くかかるため復帰まで時間を要すること


正しい知識で野球肘を未然に防げるアドバイスができるようにしましょう!


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■どのような選手に起こりやすいのか?

千葉県内における野球肘検診など投球障害予防の活動をされている団体、スポ・ラボ様が選手の特徴について挙げられております。
https://www.cyber-baseball.jp/primary/6221/

約5000人ほどの選手に実施したフィジカルテストによる多くのデータから肩・肘を痛める選手に特徴的な10項目です。
(スポ・ラボ より引用)

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項目の数により
上記に当てはまる項目が多かった選手は
投球障害をきたす可能性のある確率が高くなります。

ぜひ、一度チェックしてみましょう!!


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■指導者が確認できる!肘の痛みチェック方法

最後に、グラウンドでも確認できる痛みのチェック方法について、
動画と併せてお伝えします。


|圧痛チェック

肘の内側・外側・後方を押して痛みがないか確認をしていきます

肘の内側

内側にある骨のでっぱりを押したときの痛みを確認していきます。

肘の外側

外側にある骨のでっぱりを押したときの痛みを確認していきます。

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|肘の動きチェック

肘が左右同じく曲げること・伸ばすことが
できるかを確認していきます。

また、曲げ伸ばしを最後まで行ったときに
痛みがないか確認します。

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|ストレスチェック

肘を捻ったときに痛みがないかを確認していきます。


上記がチェックに当てはまる場合は
整形外科のある医療機関に受診し相談しましょう!

早めの対策は重症になることを防げます!

選手が「痛い」といえる環境づくり
選手の「痛い」に気づける対応
が望まれます。

まだ、野球肘の対応・対策をされていないチームがございましたら、
上記の3つのチェックから実践してみてはいかがでしょうか。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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