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投げるための「胸郭」
今回は、肩や肘の土台となる「胸郭」についてお話ししたいと思います。
「胸郭」というワードを耳にしたことのある方は多いと思いますが、どの部分を胸郭というのかわかりますか?
胸回り・・・
肋骨・・・
体幹・・・
胸郭のトレーニングをしたい!という声は選手からも聞きますが、
実際に聞くと、その場所や動きは意外とあいまいな答えが返ってくることが多いです。
はじめに
胸郭について簡単に説明したいと思います。
胸郭とは
胸をかたちづくる骨格をいいます。
例えば腕を振る動作を想像してみましょう。
本来、腕を振るには
肩の関節と肩甲骨が動くことによって
しっかりと振る動きができます。
しかし、腕を振る動作は
肩と肩甲骨の動きだけで完成するのかというとそうではありません。
肩・肩甲骨・胸郭
それぞれの部位が同時に、十分に動くことによってスムーズな動きとなっていきます。
それでは
投げるための「胸郭」について話を進めていきたいと思います。
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12月のテーマは「動作分析」
■胸郭・胸椎の動きとは
胸椎は大きく分けて6つの方向に動きます。
まずはそれぞれの動きのチェックをしてみましょう。
<前後方向>
<横方向>
<回旋方向>
【胸郭の回旋運動】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) May 11, 2019
坐骨上に胸郭の中心が移動する回旋動作を求める
回旋時の下位胸郭の拡張ができることが重要
拡張不全があると
回旋側腰背部の筋をかためやすく、
胸椎側屈により胸郭の中心は反対側に偏位しやすい
肩甲骨の安定性-体幹回旋の分離した筋機能が必要となる#投球機能評価 pic.twitter.com/YsZ5vs6mth
これら胸椎の動きは胸郭全体の動きに大きく関わっていきます。
つまり、
胸椎の動きが制限されると、
胸郭の動きも大きく制限されてしまうため、
体の動き・投球動作にも影響していきます。
■投球のしなりをつくるCカーブ
投球動作において
“しなり”というワードをよく耳にしたり、使ったりすることがあるかと思います。
腕のしなり・体のしなり
などをイメージされるのではないでしょうか。
投球動作における“しなり“には
体がもっとも開く動作である
【Cカーブ】が重要になります。
Cカーブとは
図にあるように、
これには胸郭に加えて股関節・腕が組み合わさり、
大きなしなりの【Cカーブ】がつくられます。
図でもわかるように、
胸郭は肩と股関節に挟まれた
Cカーブの動きの中心となります。
投球フォーム指導やトレーニングにも応用できるデータ
— 佐藤 康 (@ko_bmk) September 12, 2019
「骨盤が体幹よりも先に回旋」#仙台育英 #笹倉世凪 選手pic.twitter.com/Pb9f9M7iyp https://t.co/8xEhVF8wkE
そのため、肩と股関節だけでなく、
胸郭がかたくなってしまうと、
図にもある<しなりの少ないカーブ>
となってしまいます。
肩+胸郭+股関節でのからだ全体のしなりが
不足した状態で投げると、
腕(とくに肘・肩)に“しなり“の負担が強くなりやすく、
ケガの起こりやすい投げ方となっていきます。
つまり、図のように肘の外反ストレスが強くなり、
肘に痛みを引き起こす要因となっていきます。
外反ストレスについては、コチラにまとめています。
■“投げる“に求められる胸郭の動き
投球におけるCカーブには
胸郭の動きが重要であることは少しご理解いただけたかと思います。
投球フォーム指導やトレーニングにも応用できるデータ
— 佐藤 康 (@ko_bmk) September 12, 2019
「骨盤が体幹よりも先に回旋」#仙台育英 #笹倉世凪 選手pic.twitter.com/Pb9f9M7iyp https://t.co/8xEhVF8wkE
それでは「Cカーブ」には
どのような動きが必要となるのかについてまとめたいと思います。
肩や股関節の動きに加えて
【胸椎の伸展と回旋】がポイントです!
つまり、
<背中を反らせること(伸展)>と
<胸を張れること(回旋)>の動きが
組み合わさることで大きなしなりを生む要素となります。
そのため、伸展・回旋の動きをしっかりと動かせることが
野球肘の予防・パフォーマンスにも関わってきます。
■胸郭の動きを広げるトレーニング
先ほどお伝えした
<伸展と回旋の動き>と
<横方向の動きである側屈>
のトレーニングについて解説したいと思います。
<背中の反り(伸展)を広げるトレーニング>
STEP1
STEP2
【投球動作に必要な胸椎伸展トレーニング】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) July 3, 2019
肩3rd外旋位をキープできることで、肩甲骨外旋・後傾に作用し、体を尾側に引くことで胸椎伸展を促す
バンドの張力を保持させることで、小円筋・棘下筋の遠心性収縮での制御を高めることができる!
動きが習得できた選手はW-upにも活用してます!#中学野球 pic.twitter.com/jtwbikcnUr
<胸の張り(回旋)を広げるトレーニング>
【Trunk rotation】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) January 12, 2019
投球動作は並進運動と回転運動により成り立っています。
回転運動に必要な胸椎の動き!
下半身が安定したまま、
・胸郭が拡がるか
・肩甲骨の位置が保てているか
両側の骨盤に対して、両肩のラインが70°以上を目指しましょう! pic.twitter.com/8wmr2w377A
四つ這いができたら、足を開いてトレーニングしましょう。
【投球・バッティングに必要な“割れ“をつくるトレーニング】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) February 22, 2019
股関節内転筋+胸椎回旋Tr
軸足重心で上半身を回旋
回旋をすることによって、股関節内転筋のストレッチがかかる
「割れ」をつくるには、
下半身が安定し、骨盤-胸郭-肩甲帯の分離した動きをできることが重要
#ピッチング#バッティング pic.twitter.com/AZKHl3q3Q1
<胸郭の横の動きを拡げるトレーニング>
【テイクバックに必要な胸郭-骨盤帯トレーニング】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) May 16, 2019
-胸郭+股関節内転筋ストレッチ-
坐骨荷重/側屈
+
腕を挙上(肩甲骨外旋・後傾に)
上半身中心を坐骨上に近づけ
胸郭の横の拡がりをつくる
チューブで筋収縮を利用すると
肩後下方の動きを引き出しやすい pic.twitter.com/bF1cdFtK2T
これらのトレーニングは
あくまで一例にすぎませんが、投球動作を十分に行える・ケガの予防にはとても大切な動きの基礎になります。
また、選手の実際の意図はわかりませんが、
プロ野球・広島東洋カープの大瀬良投手も投球前にこのような動きをしておりました。
胸郭の動きという視点でみると、
投球前に高めておきたいことがわかりますね!
【カープ大瀬良投手のW-up】
— 佐藤 康 (@ko_bmk) July 13, 2019
-骨盤帯/胸郭の分離-
上半身の回旋に対し下半身の重心移動を制御する必要がある
胸郭の右後方回旋に対し右足の足圧の移動を制御できることで「割れ」ができる
これにより
回旋側の下部胸郭の拡張した分離運動が可能
投球前のW-upにも効果的!pic.twitter.com/mIofsX6Yhx
まとめ
・胸椎には大きく分けて6つの動きの方向がある。胸椎の動きが制限されると、胸郭の動きも大きく制限されてしまうため、体の動き・投球動作にも影響していく。
・投球動作に大切なCカーブ。肩と股関節だけでなく、胸郭がかたくなってしまうと、しなりの少ないカーブとなり、肘の負担が大きくなり野球肘を生む要因となる。
・Cカーブに求められる胸椎の伸展と回旋を十分に動かせることが大切である。
これまでに野球肘を予防するために必要な要素として連載を続けてきた
「強いヒジのつくりかた」
「強いヒジをつくるための肩」
「投げるための胸郭」
読み手の方によっては
簡単な内容であるかもしれませんが、肘―肩―胸郭これらは投球動作においても切っても切り離せない関係です。
野球肘を予防し、ケガから守る方に少しでも伝わり、ケガから守る一助になれたらと思っております。
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