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ホーム&アウェイ採点

おはよございます。
昨年で13年間続けたプロボクサーを引退することに決めた小原佳太です。

 現在はアマチュアボクシング全国大会二冠、プロボクシングで日本二階級制覇の実績と日本トップで戦い抜いた20年のボクシング知識をより多くの人に知ってもらうメンバーシップと基本を重視しながら戦略面も含めバランスの良いボクシングを伝えるボクシングレッスンを行っています。

 今回の記事ではPrime Video Presents Live Boxing6のWBAフライ級タイトルマッチを見て考えさせられた採点基準とホール&アウェイについて個人的見解を記事にします。
この記事ではWBAフライ級タイトルマッチとは関係なく、勝敗にも触れません。
 始めに基本的な採点基準を説明し、次に採点基準があるのに納得しない判定結果が出る理由
そして、小原佳太自身が経験したホール&アウェイについても記事にします。
また、海外だけではなく国内でも存在するホール&アウェイに繋がる理由についても話します。

採点基準

 はじめにボクシングの採点基準を説明します。
採点基準は各団体により1Rのダウン数が3回になると
TKOになったり若干の違いはありますが大きくは変わりません。
 日本のルールも世界基準に則っており、JBC(日本ボクシングコミッション)で決まっている採点基準は以下の通り。

採点方法
リングサイドに座った3人のジャッジがラウンドごとに10点満点の減点法で優劣を採点しますが、試合が判定になった場合はこれを集計して ジャッジの2人以上が支持したボクサーが勝者となります。4回戦は40点満点、12回戦は120点満点です。
 各ラウンドの採点はですが、互角の場合は10対10、一方が勝っている場合は10対9、一度のダウンやこれに近いグロッギー状態(パンチを受 けてふらふら)のときは10対8、2度のダウンやKO寸前の場合は10対7、3度のダウンは10-6となります。それ以上の差が開いた場合はレフェリーが試合を止めるの で、10対5という採点はありません。
また、10ポイント・マスト・システムというルールがありますが、これは勝っている方に必ず10点を付け、9対9、9対8などという採点はし ないということです。反則による減点は合計点から引きます。
 各ラウンドの採点基準は大きく分けて次の4項目があります。
1.有効なパンチによって、どちらが相手により深いダメージを与えたか。
2.どちらが、より攻撃的だったか。ただし、有効なパンチを伴わない単なる前進は評価の対象となりません。
3.どちらがよりディフェンス技術を駆使して相手の攻撃を防いだか。ただし、これも攻撃に結びつかない単なる防御は評価の対象とはなりません。
4.リング・ジェネラルシップといって、どちらの試合態度が堂々としていて、戦術的に優れていたか。どちらが主導権を握っていたか。

JBC HP:
https://jbc.or.jp/basic/#:~:text=%EF%BC%88%E3%83%A6%E3%83%8A%E3%83%8B%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%EF%BC%89-,%E6%8E%A1%E7%82%B9%E6%96%B9%E6%B3%95,%E3%81%AF120%E7%82%B9%E6%BA%80%E7%82%B9%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

 つまり、各ラウンド必ず勝っている方を決めて、ダウンがないならば
1.与えたダメージ
2.攻勢点
3.ディフェンス技術
4.主導権
の順番で優位性を決めてポイントを振ります。
12R戦いこのポイントが高いほうが勝ちです。

不可解な判定の理由

 上記のように決まった採点基準があるのになぜ納得しない判定があるのか僕なりの見解は好み開催地が関係していて、時には採点者の理解度も含まれます。

 まずは好み、好みとは採点者の傾向とも言えるでしょう。
採点者によっては採点基準があれど採点者自身のボクシングを見る傾向が採点に反映されます。
ジャブによりポイントを振る採点者がいれば、ガードの上からのパンチのダメージは一切採点に反映しない採点者もいます。
 ならばAIや解析映像でよいと思われますがそれでは採点基準の最上位にあるダメージが計れないのです。

 次に開催地の問題ですが単純に歓声の大きさと開催地のボクシングスタイルの傾向があります。
代表例でいうちアメリカはジャブのヒットポイントがしっかり判定に反映されます。
また、フィリピンやメキシコのようにファイタースタイルが判定に有利な地域などもあり観客の感性が大きければ採点者もパンチが当たっている、効いていると考えが流れてしまうことがあります。

 そして、採点者の理解度
この理解度は開催地特有の傾向を理解することにも関係があるのですが、第一は戦っている選手をどれだけ知っているかもポイントをつける基準になりかねません。
 地元のスター選手で採点者もスターの試合を見ているならば「この選手が負けない」と頭にあり勝手にポイントが流れます。

 全て採点者が人間だから起こる採点のブレですが僕の判定決着の考えは
・倒せず判定になったならば採点者に任せる
ボクシングは規定ラウンド内に終わらず判定になることが多いですが、規定ラウンド内に終わらせられずに第三者に判定を任せたならばそれは自己責任と言い聞かせボクシングしていましたので小原佳太は勝ちの88%負け80%がKOです。

経験したホール&アウェイ

 それでは自身が経験したホール&アウェイ体験談を紹介します。

 はじめてアウェイを経験したのは2015年のIBFスーパーライト級挑戦者決定戦をマイアミで戦った時でした。
 この試合は日本人の僕とニカラグア出身のウォルター・カスティーリョ選手がアメリカのマイアミ州ミコースキーで戦ったのでどちらもホールではなく思えるのですが、はじめてアメリカで試合をする小原に対してカスティーリョはアメリカのボクシング番組で試合したこともあり地域も近く知っている人が多く歓声が大きかったです。
これが開催地と理解度に関わります。
 ただ、アメリカという国の観客は素直で僕が有利に立つ後半につれ観客の声援は大きくなりましたが判定は1-0の引き分け。
この試合から第三者に判定を委ねたら文句を言わないことに決めました。
 試合後僕に勝ち採点を付けた採点者が
「他のジャッジは何を見てたか、クレイジーだ」
と言っていたと聞いて救われました。

 次にアウェイを経験したのは2016年の世界タイトルマッチ、場所はロシア。
 会場はもちろん自国選手の応援一色で会場内太鼓が鳴り響き恐いくらいでした。
しかし、この試合はKO負けなので判定行きませんでしたが開催地が対戦相手の自国ならば全てが敵なので恐怖や迷いで力を出せずに終わる場合もあると感じました。

 次はホール判定を感じた2021年坂井祥紀戦。
簡単に試合結果を伝えると坂井選手のジャブで小原の顔が腫れるも途中採点では尽く当たったボディ攻撃を評価され、ボディを攻め続け判定勝ち。
 この試合は理解度がポイントでした。
坂井選手は元々海外で戦っていてデータが少なく、反対に小原はほとんどが開催地の後楽園ホールでKO勝ち。
「小原のボディは効いてるはずなのでポイント」
となったのだろうと思います。

 良くも悪くも国内外で戦いホール&アウェイを理解しましたが、まだまだ自分の目で見たいと思いタイの世界戦を観にいった記事もご覧ください。

東西の違い

 ホール&アウェイとは日本人が海外へ行く、または時刻以外に戦いに行くことだけではありません。

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僕の知識がボクシングが好きな人に届きますように。