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35歳女、初のガールズバーで大はしゃぎする

GWも終盤、友人くん達とだらだら飲み、朝まで飲むぞコースが決まりかけたタイミングでガールズバーのキャッチに声をかけられる。

女(わたし)がいる中で声をかけてくることにびっくりしたけれど、連休だからか今日はあまり人が集まらなくて‥‥とのことだった。
確かにいつもの土日に比べて街自体に人が少ない。

女性は無料と聞き「ちょっと気になる……」とこぼすと、友らがテキパキと諸条件を確認してくれて入店が決まった。2人は行ったことのあるお店だったらしい。

わたしが一緒だと2人は楽しめないんじゃない?と聞くと「まあ多少それはあるけど、今日はいいよw」と言ってくれた。

ありがとう!すまないが今日はわたしに新しい世界を見せてくれ!


雑居ビルの中、薄暗いバーのような空間でチャイナモチーフの服に身を包んだ女の子たちがバーカウンターの向こうに控えている。

ま、まぶしい‥‥
薄暗いのに店員さん達が発光して見えるよ‥‥!


客層は若めで、20代~30代前半と思われる人が多く、カップルなのか友人なのか分からないが男女ペアも来店していた。
男女ペアに声かけたキャッチ冒険家すぎん?
思った以上にカジュアルな場なのかもしれない。

真ん中がいちばん楽しめるだろうから、と友人が配慮してくれ、わたしは大きな男ふたりに挟まれる形でカウンターのスツールに腰掛けた。

「こんにちはー!」
「いらっしゃいませ!」

小柄で胸の大きな可愛い声のゆきぽよ似の女性(以下ゆきちゃん。かわいい)と、
背が高くてスラッとしたハスキーボイスの水川あさみ似の女性(以下あさみちゃん。美人)が元気よくやってきた。


ふたりともかわいい~! とキャッキャするわたしに


「いやいや!おねえさんが何言ってんすか!」
「お肌もキューティクルもピカピカ~♡」
「オールホワイトコーデが似合うのは美人の証拠っすよ!」

と、ヨイショしてくれた。

ねぇ~~なにこの優しい世界~~~!
どうしよ~~~!!!悦



「街コンとか相席屋でいいな~って思う人に出会ってもお持ち帰りされる前に相手が潰れちゃうんだよね~♡」

「最近のメンズ、朝にスムージーとかアサイーボウルとか食べるんすよ。こっちはしじみ汁なのに!アサイー投げつけたろか思うわ!」

ゆきちゃんとあさみちゃんはとてもノリが良くて、スピード感あるトークで盛り上げてくれた。
このノリがわたし達に見事に刺さる。
ゆきちゃんは日本酒、あさみちゃんは芋焼酎のソーダ割が好きという渋さもまた刺さる。

男同士で来るなら今日とはまた違った楽しみ方‥例えばドストライクに好みな女の子を指名してのんびりお話するとか‥をするのかもしれないけれど、今日はわたし(女)がいるからそれは出来ないだろうし。
ゆきちゃんとあさみちゃんみたいなノリのいい女の子とわいわい盛り上がれるのは大当たりだったように思う。


カラオケもできますよ!と勧められたのであさみちゃん一緒に歌おー♡と誘い、履歴ですぐ目についた浜崎あゆみの曲を適当に入れた。

あさみちゃんはあえてドスのきいた声で歌ってみたり、あゆのモノマネを交えてたりして盛り上げてくれた。

よく考えたら10近く年も離れているから彼女たちには全然世代じゃない曲なはずだし、ハスキーボイスの彼女はきっと歌いにくい曲だったんだよね。なのにおもしろに昇華してくれてさ、

なんて出来る子なんだ……!
お姉さん感動しちゃった。

ちなみに、わたしが一緒だと若干気を遣うと言った友人はゆきちゃんと一緒に「おっぱい!おっぱい!」と叫びながらハイボールを飲んでいた。
全然気なんか遣ってないだろ。



一瞬で75分が終わり、思っていた以上の額のお会計が出てきたが友人らは「こういうもんだ」と言っていた。やっぱり指名料や女の子のドリンクが高額なんだねえ。
でもこのお店は勝手に追加でドリンク飲んだりもしないし、指名料についてもきちんと説明があるし、自動延長もしないで声をかけてくれるんで良心的なお店なんだそうだ。

退店する前に、わたしはひとつ大きな後悔を抱えてソワソワしていた。
それはゆきちゃんとあさみちゃんが26歳だと聞いたときに「一番いいときだね!」と言ってしまったこと。

わたしがふたりと同じ26歳のとき、
懇親会でお客様に年齢を聞かれ「26です。来週27歳になります」と答えたことがある。すると、男の先輩に手を叩かれ「26でいい。余計なことは言わなくていい」と耳打ちされたのだ。
27歳になるのは余計なこと?
そのとき『わたしの価値は若さであり、しかもそれって26歳までなんだ』と悟り、とてもやるせない気持ちになったのだ。
なのに、今日わたしは彼女たちに同じ呪いをかけてしまった。


終始盛り上がっているし今更訂正するのもおかしいなと思ったけれど、どうしても心残りで最後退店するとき目の前にいたゆきちゃんに声をかけた。

「あのね、わたし30過ぎてからの方が人生すごく楽しいの。だから、元気に楽しく年を重ねてね。楽しみにしてて!」

きっとみんな、突然どうした?ってなったと思う。酔っぱらったおばさんの謎マウントに見えたかも。
ゆきちゃんは一瞬きょとんとしたけど、そのあとニッコリ笑って「そうなんだあ!たのしみーっ!」と言ってくれた。


ゆきちゃんとあさみちゃんにお礼をして、店をあとにする。

ガールズバーって“若くてキャピっとした女の子とおしゃべりする場”でしかないと思っていたし、正直そこで働く彼女たちの技量みたいなものも、クラブ > キャバクラ > ガールズバー みたいな認識だった。本音をいえば甘くみていた。何も知らないくせに失礼なやつだった。

相手のことをよく見て、相手に合わせた楽しませ方をしてるんだ。彼女たちはすごい。

どうだった?と尋ねる友人に、楽しかった!スナックで楽しんだっていう感覚に近いな~!と鼻息荒くいうと「でもこの街は特殊かも」と返ってくる。

たとえばおじさんだらけの街だと女性がバスローブ姿で出てくるような、性的な雰囲気を濃くしたお店が多くなるとかなんとか。
街によって店によって店員さんによって雰囲気が違うんだって。そりゃそうか。


来月引っ越そうと思っているのでこの街には気軽に来れなくなるのだけど、その前にこの馴染みの街の知らない部分を覗けたのも嬉しかった。

というか、ガールズバーにハマる人の気持ちがちょっと分かってしまったよ。

元気のないときフラッと寄ったら蘇生しそうだなと思ったもん。人を元気にすることのできる人たちは本当にすごい。
男性たちをたくさんハッピーにしてる彼女たちも同じようにハッピーでありますように!


お店の女の子とのLINE交換というイベントも初めて経験したけど、かわいいメッセージがピコンと届いてほっこりしちゃったのであった。

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