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弘法大師3_外国語スーパー記憶術と朝のお勤め

弘法大師の外国語スーパー記憶術

弘法大師は、1200年ほど前、奈良の大学で、ある沙弥(しゃみ:一人前になる前の修業僧)から、スーパー記憶術を伝授されました。それで、弘法大師は、中国に留学する前に日本にいて、すでに、中国語も、サンスクリット語も、完璧に習得していました。このスーパー記憶術、とにかく教科書のお経を声に出して100万回唱えるというものです。

朝のお勤め

私の郷里の讃岐では、子どもの頃、熱心な仏教徒の家庭では、必ず、朝、食事前に、仏壇の前で、「正信偈(ショウシンゲ)」などのお経を、おばあさんやおじいさんと混じって、子供も唱えることになっていました。これを「朝のお勤め」と言っていました。また、講中と呼ばれる講が各集落にあり、月に1回、信徒が集まって、お経を唱える会がありました。父は、その先頭で、見本を唱える人に選ばれて唱えていました[注1]。こういう役割は名誉なことで、父は誇りにしていました。さて、これを振り返ってみると、「正信偈」などほとんど漢字で書かれていて、さらにところどころサンスクリット語の音が入っているので、子どもにはほとんど意味が分からないのですが、とにかく何十回、何百回と唱えていると、発音だけは出来るようになるのです。「キミョー、ムリョー、ジュニョーライ、ナモフカシギーコー・・・」そして、発音が出来るようになったところ辺りで、親戚の叔父さんが、ここはこういう意味だと教えてくれました。

朝のお勤めとスーパー記憶術の関係

最近気がついたのですが、これが、弘法大師がやっていたスーパー記憶術なのだなあと思ったのです。とにかく、日本語にない外国語の発音なんか、ちょっとやそっとで、覚えられません。最近、昔かじったフランス語を30 年ぶりにもう一度勉強しているのですが、フランス語の発音は難しくて、どうしても、一朝一夕には発音できません。そこで、そうだ、弘法大師のスーパー記憶術でやればいいんじゃないか、と思いました。

フランス語学習に適用

それで、最近、「朝のお勤め」に、フランス語600例文と、フランス語動詞活用80語を、とにかく、録音を聴いた後にシャドーイングを、毎日やることにしました。いつ完璧に覚えられるかわかりませんが、とにかく、やってみることにしました。まだ15回くらいなので、あと999985回です。

[注1]::これは現代風に言うと、シャドーイングに他なりません。父が見本にお経の数行をまず唱えると、そのあとを追って残りの講中の人たちがそれをまねて、その部分を唱えます。1000年も昔には、テープレコーダーも何も音響機器のない時代ですので、一番ちゃんとお経が読める人に最初に読んでもらって、それを残りの人が後を追って唱えて、お経を覚えるのです。これを各集落の講中と呼ばれる単位で1ヶ月に1回行っていました。シャドーイングって、大昔からやっていたことがわかります。

*冒頭
の写真は、信州上田市にある前山寺の弘法大師増像と石碑です。

平成31年(2019年)7月26日随筆
令和4年(2022年)1月15日加筆

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