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外国の文献を購入する費用と研究レベルの関係、今昔

(はじめに)


現在の日本の国立大学図書館は、平成16年(2004年)の国立大学法人化以降、財政状況が毎年悪化して1)、外国の学術雑誌を購入するのが困難になってきて大きな問題になっています。そのため、日本の学術研究のレベルが毎年下がってきています。このままでは大学の研究が続かないのではないかと危惧されています。

1.  現在の図書館の財政状況と研究レベルの関係


それは、政府からの交付金が、ここ20年にも渡って毎年1%ずつ下げられて、国立大学が非常に貧乏になってきているところへ、外国雑誌が毎年高騰しているからです。ドル建てで購入しなければならないので、昨今の円安になると、益々、外国雑誌が買えなくなるからです。外国雑誌を今購入するには、大学の規模にもよりますが、一大学一年間に数千万円から数億円の費用がかかります。特に今の理科系の研究では、外国の文献が読めなければ、研究レベルが下がるのは当然で、日本の研究者が最近怠け者になったからでは、皆さんありません。

2.  900年前の奥州藤原氏の繁栄を支えた、外国雑誌購入費用は潤沢だった


先日(2019年)、中尊寺金色堂を見てきて、知ったのですが、奥州藤原氏は、平泉に、仏教文化を流布するために、仏教経典を当時の中国から大量に購入していました。その費用は金2トンで支払ったそうです。今のお金にしたらどれくらいでしょうか。現在の相場金1グラム10,000円とすると、今のお金で200億円にもなります。900年前に、奥州藤原氏が、外国の文献を購入する費用に、200億円を使って、繁栄を築いたことに大変注目します。現在の日本は、外国の文献が買えなくなってきていて、日本全体の研究力が低下してきている原因になっていると思います。

(おわりに、解決案の提案)


政府の円安誘導で、T自動車会社が、2兆円も利益を出しているのですから、円安で苦しむ大学図書館に少しは還元できないものでしょうか。T社から、全国の国立大学へ、毎年200億円寄付。夢のまた夢でしょうか。
 
文献)
1)https://okumuralab.org/~okumura/stat/090503d.html
 

令和元年(2019年)6月29日 随筆
令和5年(2023年)9月8日 加筆
 令和5年(2023年)10月3日 追記)本記事を前編とします。
後編は「科学技術立国を標榜する我が国に不可欠な電子ジャーナルデータベースとその問題点」 https://note.com/ko52517/n/n14b00ee49fe8
です。併せてご笑覧いただければ、幸いです。

*なお冒頭の中尊寺金色堂の写真は、中尊寺の下記のホームページから、引用させて頂きました。
https://www.chusonji.or.jp/know/konjikido.html

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