私が出合った美しき夏鳥3種
暖かな気候になって訪日する
羽色鮮やかな渡り鳥たち
以前、ツバメの巣について紹介した記事のなかで、気候が暖かくなって渡ってくる鳥を「夏鳥」と呼ぶこと、ツバメもまたこの夏鳥に含まれる鳥類であることを紹介しました。このツバメだけでなく、暖かな気候になって日本に渡ってくる鳥はまだまだいます。
今回は私がこれまでに出合った夏鳥を3種、紹介したいと思います。……正確にお伝えすると、「写真として記録することができた夏鳥3種」というのが正しいですね。写真が不足しているので3種に限定していますが、ほんとうはもっとたくさん紹介したかったです……。
◯キビタキ(Ficedula narcissina)
越冬地はおもに東南アジアで、夏になると日本各地の山地林で繁殖する小鳥です。雄の体色は黄色と黒の2色が鮮やかで、夏の新緑によく映えます。
英名は「Narcissus Flycatcher(ナルシスのハエとり)」といい、「Flycatcher 」は鳥類のヒタキ類を指すそうです。ただ、このキビタキは実際に飛んでいる昆虫をフライングキャッチするそうで、精緻で俊敏な動きができるようです。みた目といい動きといい、とてもカッコいい鳥ですが、英名の「Narcissus 」はまさに「ナルシスト」の意味だそうです。
◯アカショウビン(Halcyon coromanda)
冬場はマレーシアやタイといった東南アジアのジャングルに渡り、夏場は日本各地で繁殖する真っ赤な体が特徴の鳥です。おもに魚を食べるカワセミ科にはめずらしく、魚やサワガニだけでなくトカゲやカエルなども食べます。
数が少ないそうで、野生でみかけるチャンスは少なそうです。私はたまたま動物園で保護された個体を観察する機会があり、写真はこのときに撮ったものです。南西諸島に行くと、村落の周辺でみかけることもあるそうです。
◯ササゴイ(Butorides striata)
東南アジアから渡ってくるサギ類で、近年減少傾向にある鳥です。京都府ではかつて準絶滅危惧種として扱われてきましたが、2021年に絶滅危惧種に改訂された経緯もあります。おもに川や水田、湖沼に生息し、木の葉などを擬似餌にして魚を獲る「撒き餌」行動が有名なので、名前を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
その羽毛が笹の葉に似ることから、このササゴイという名がついたとされています。半夜行性ということもあり、草が茂る黄昏時の水辺でササゴイがいても、周囲と同化してみつけられないかもしれません。
カワセミやコルリ
記憶に残る鳥たち
じつはつい最近、家の近くでコルリをみかけました。ですが、撮影が間に合わなかったことに加え、現在私が所持している撮影機器はスマートフォンくらいで、カメラを持っていないので撮影はそもそも難しかったように思えます。
コルリ、カワセミ、カワガラス……これまでさまざまな夏鳥と出合ってきたのですが、いずれも撮影の機会を逃してしまって、その姿は私の記憶のなかだけに収められています。
いつか立派なカメラを買って、存分にいろいろな生き物たちの姿を記録したいところです。
・杉坂学(監修)『色と大きさでわかる 野鳥観察図鑑』成美堂出版 2003年
・細川博昭『身近な鳥のふしぎ』ソフトバンク クリエイティブ 2010年
・財団法人 山科鳥類研究所「オオルリ(Cyanoptila cyanomelana)キビタキ(Ficedula narcissina)識別マニュアル」環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室 2009年
・「今年はひっそり? 京都府唯一の営巣地、ササゴイの飛来減少」両丹日日新聞 2021年7月10日