コゲラは打音より発声に頼る
しま模様が特徴
小柄なキツツキ
コココ、コココ、と木を叩く連続音が聞こえたと思ってみあげると、頭上に小鳥が木を叩きながらちょこちょこと飛び回っていることがあります。白と黒のしましまな体色に、スズメくらいの大きさ。これはコゲラというキツツキの仲間です。
コゲラを含めキツツキの仲間は、木を叩いて音を鳴らす「ドラミング」行動が有名です。この行動は縄張り宣言やつがい相手を呼び寄せる際にみられるものなのですが、コゲラのドラミングは比較的ひかえめで、どちらかといえばキッキッキ、と特徴的な声を張り上げて、存在を主張するそうです。小さな体でもその声はよく響くので、ドラミング音よりも鳴き声でコゲラを発見することもよくあります。
1980年代頃から
都市部でも確認
じつはこのコゲラ、全国の都市部(緑の多い公園や学校のキャンパスなど)でも観察できます。もとは深山に生息する鳥なのですが、意外と巣作りに最適な木が都市にあることに気づいたようで、1980年代以降から都市進出したそうです。
その食性は植物の種子なども含まれますが、一番多く食べるのは昆虫やクモ類といった節足動物とのこと。なので、人が多く行き交う街でいわゆる不快害虫の類を抑制してくれる存在なのかもしれません。
枯れ木で巣作り
伐採での被害も
さて、キツツキの仲間というと、木に穴を開けて巣を作ることで知られています。コゲラも例にもれず、穴の開けやすい枯れ木で巣作りをするのですが、都市部にある枯れ木は通行人の安全を守るため伐採されがちです。そのため、営巣木の枝が処理され、巣を失う個体も報告されているそうです。
とある推測によると、コゲラの体の大きさに比して広い縄張りを形成するのは、意外と山地には営巣に適した枯れ木は少ないからと考えられています。山でも都市でも子育てが難しい野鳥。もし野外でこの鳥をみつけたら、体のわりに苦労を背負った鳥なんだと思いを馳せてみてください。
参考文献
・細川博昭『身近な鳥のふしぎ』サイエンス・アイ新書 2010年
・石田健(2005)「コゲラ」Bird Research News Vol.2 No.5 P4-5