【映画感想】映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!

(このテキストを書いたのは2015年1月7日です)

ぼくには別れた嫁さんとの間にできた息子がいて、この春で小2になります。

「妖怪ウォッチ」のアニメ放送がテレビで始まって以来、彼はそれまでドップリとハマッていた仮面ライダー&ヒーロー戦隊をあっさり卒業し、会うたびにテレビの話題は妖怪ウオッチの事しか話さなくなりました。一番好きな妖怪は、グレるりんのようです。

話をあわせるため、妖怪ウォッチに食指の沸かなかったぼくでしたが、エピソードを追っかけることにしました。huluで配信していたので、1話から最新話まで。

そもそもポケモンにすら興味がありませんでしたから、その派生、ぶっちゃけていうと「パクリ」にしかみえなかった妖怪ウオッチを、これからチェックしつづけるのは辛い、というのがアニメ版を観はじめる前の素直な想いでした。

ところがアニメ版を観てみると、随所に仕掛けられた細かいネタをはじめ、大人が観ても充分に楽しめる作品で、気が付けばぼくは毎週の配信を楽しみに待つようになっていました。

そんななかでの劇場版公開です。出来るなら一緒に息子と観たい。そう思って月に一度の面接日に「映画に行こうよ」と誘うのですが、最近息子は映画館を怖がるようになっていました。劇場が暗い事に加え、音が大きい事が嫌みたいです(映画が始まってしまえばそれらを忘れ、集中して鑑賞できる)。

「DVDで観ればいいじゃない」

そんなつれない事を言う息子に対し一度はあきらめた父でしたが、しかしやはり劇場で観たい。改めて説得する事にしてみました。

「劇場ではね、『ダークニャンメダル』がもらえるんだよ。これはパパはもらえない、とても貴重なメダルなんだよ。DVDにはついてこないし、パパは一度でいいからダークニャンメダルをこの手にしてみたいんだ。もらったメダルはもちろん君のものだけどさ。ねぇ、妖怪ウォッチの映画が観たいよう。映画館に行こうよぅ」

とても40半ばのおっさんが7歳のこどもにいう台詞ではありませんし、これでは立場があべこべです。しかしぼくの哀願に息子は折れてくれ、一緒に映画館に行くことになりました。

ぼくは3DSを持っていないのですが、息子はクリスマスプレゼントに買ってもらったらしく、電車での移動中などに「妖怪ウォッチ2」をプレイしていました。隣から覗き込みつつ、そのシステムやストーリーを確認しました。よく出来ているなぁ、と思いました。そして丁度、この映画の導入部であるデカニャンが出現し、おばあちゃんの家へ電車で移動するクエストのところまで行ったところでこの映画を観る事になったのです。タイミングとしては最高だと思いました。

そうしてゲームと地続きで鑑賞で来た劇場版はいかにもといった感じの構成でしたが、テレビ版に比べれば、かなり退屈でつまらないストーリーでした。

特に、妖怪ウォッチを発明したのはケータのおじいさんだった、という設定。アニメ版では妖怪の世界に妖怪ウォッチが存在し、その流れで零式が出たというエピソードもある訳だから、どこまでいっても納得がいかない。この辺は後づけで追加設定をするのかもしれませんが、今現在もこのご都合主義すぎる設定に「ないわー」と思っています。

アニメ版の各エピソードはそれぞれの回に出てくる妖怪にあわせて話を作っていると思うのですが、劇場版は起承転結のメインが「ケータのおじいさんに妖怪ウォッチを作る決意をさせる」でしたから、「最後は妖怪ウォッチが戻ってくる」という事は見えているのですから、そうなるための筋書きや演出がどんなものか、というのは重要な部分だと思うのですが、その大切な部分がまさに「こどもだまし」レベルの演出で、非情に残念でした。せっかくなんだし素直にうおおお、ってアツく感動したかったな、と。

しかしながら前半中盤の退屈さを吹き飛ばすかのように、妖怪ウォッチが戻ってからのクライマックス展開は「待ってました!」と言いたくなる妖怪召喚の嵐。「倒したと思っていたボスが最終形態に」という、スーパーヒーロー大戦をはじめとした東映特撮ヒーロー映画を観ているような大盤振る舞いの演出も、ありがちですが面白かったです。

話として「ある日妖怪が呼び出せなくなってしまった」なんて設定はこれっきりでしょうから、次回からは場面場面で"東映的"な(配給が東宝だってのは知ってるよ)「おまちどう、俺たちだよ」的盛り上がる演出をバンバン入れていただきたいものです。お祭り観に来たんだから訓話は勘弁してほしいよ。

本編が終わりエンドロールが始まると、場内のあちこちで踊るこどもたちの姿を見ることが出来ました。息子は恥ずかしかったらしく、一瞬ゲラゲラポーってやったあとは、曲に合わせて歌を口ずさむ程度。そういえば上映中、他の子どもとは笑いのツボが違うのだな、なんてことがわかったりして、たまにしか会えない息子の成長具合や性格の変化を間接的に知る事が出来るのも、劇場鑑賞のいいところだと思いました。

エンドロール後に来年の冬も映画やるよ、という告知が出ておしまい。次は期待してます、次は。そう念じつつ売店でパンフレットを買い、記念のプリクラ(600円、高ぇよ!!)を撮って映画館を出ました。

息子に、

「観てよかったでしょ。もしDVDまで待ってたら、三学期始まってから冬休みに映画館でこれ見た友達の話に入っていけなかったんだよ?」

と聞くと、大きくうなずいていたのでした。

妖怪ウォッチ好きのお子さんがいるなら親子で是非!! そうでないならDVDまで待っても全く問題ないです、おわり。


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